トルネードキャッシュに関する質疑応答を公開
米財務省は13日、制裁対象としたトルネードキャッシュについての質疑応答(Q&A)を公開。ユーザーがトルネードキャッシュ上で凍結されている暗号資産(仮想通貨)を引き出す方法についても回答した。
背景として、米財務省外国資産管理局(OFAC)が8月に、ミキシングサービスであるトルネードキャッシュを、犯罪資金洗浄に使われているとして制裁対象に指定したことがある。トルネードキャッシュは、イーサリアム(ETH)チェーン上で動作し、取引を匿名化するミキシングサービスだ。
制裁の影響は、正当な目的でトルネードキャッシュっを使っていた一般ユーザーにも及んでいる。例えば、ステーブルコインUSDCの発行元である米サークル社は、制裁リストにあるアドレスをブラックリスト化し、ユーザー資金の移動を停止していた。
制裁には批判の声も上がっており、米コインベースは8日、今回の制裁指定を不当とする訴訟について資金を提供すると発表している。
コインベースのブライアン・アームストロングCEOは「制裁の結果、多くの無実のユーザーが資金を捕捉され、重要なプライバシーツールを利用できなくなった」「財務省が、ある技術に制裁することは権限を超えた行い」だと説明した。セキュリティ確保など正当な目的でトルネードキャッシュを使っていたユーザーが資金を凍結されてしまった例にも言及している。
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資金引き出しライセンス
今回のQ&Aで、米財務省は「トルネードキャッシュが制裁対象に指定される8月8日よりも前に開始された取引」については、その仮想通貨取引を行うために、OFACにライセンス申請することができる」と案内している。
トルネードキャッシュ関連で資金が凍結されてしまったユーザーは、制裁が発表される前に開始された取引であれば、資金を引き出せる可能性がある格好だ。米財務省は、次のように説明した。
(ライセンス申請のためには)送金者および受金者のウォレットアドレス、取引ハッシュ、取引日時、仮想通貨の量など、トルネードキャッシュとの取引に関するすべての情報を提出しなければならない。
OFACは、その取引が他の制裁対象行為を伴わない限り、このような申請に対して有利なライセンス審査方針をとる。
その他の事項
制裁指定後、何者かがトルネードキャッシュから、著名人などに次々とイーサリアム(ETH)を送りつけていた。それが制裁対象との取引とみなされれば、受取人にも問題が生じるとの懸念も浮上していたところだ。
これについても米財務省は言及。「本来は、OFACの制裁ルールはこうした取引に適用される」としつつも、トルネードキャッシュ以外の制裁に関連していない限り、ユーザーがその取引を報告しなくても、法的措置をすぐに取る可能性は低いとしている。
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さらに、米国による制裁指定後、オランダ当局がトルネードキャッシュに関わったとしてエンジニアを逮捕していた。この件については、「プライバシー保護の手段として公益になるようにコードを書いただけ」で逮捕されるのは不当だとの意見が上がっていた。
「プライバシー保護技術や暗号技術の全開発者が標的にされる可能性もある」としてオープンソースコードの開発者が萎縮してしまうことも懸念されていた形だ。
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米財務省は今回、オープンソースコードについても以下のように見解を示している。
トルネードキャッシュとの取引を伴わない方法で、オープンソースコードそのものとやりとりすることは禁止されていない。
例えば米国人は、オープンソースコードをコピーして、他の人がオンラインで閲覧できるようにすること、および、オープンソースコードについて議論したり、教えたり、教科書などの出版物に掲載することも、制裁によって禁止されることはないだろう。
また、トルネードキャッシュのウェブサイトのインターネット・アーカイブなど、トルネードキャッシュのサイトを閲覧することも禁止されないと続けた。