模擬デジタル通貨でテスト
株式会社ジェーシービー(JCB)が、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入を想定した実証試験の準備を進めていることが24日、明らかになった。日本経済新聞が報じた。
同社によるCBDC検証は、2022年内に開始する予定だ。すでに日本銀行が実証実験を進めているCBDCと類似したブロックチェーン技術を駆使するCBDCを用意。
日常的なタッチ決済での利用のほか、災害やシステムトラブル発生時を想定した利用を念頭に課題検証を行っていくという。まずは都内の飲食店にて社員が実験に参加する見込みだ。
CBDCとは
各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨を指す。「Central Bank Digital Currency」の略である。仮想通貨との大きな違いは、CBDCは法定通貨であること。通貨の管理や決済等においてコスト削減や効率性向上が期待できる一方で、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策、金融システムへの影響など考慮すべき課題は多い。
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Web3関連の共同プロジェクトを設立
JCBはWeb3(分散型ウェブ)領域全体への注力を最近強めている。22年8月にはメタバース(仮想現実)含む電子データ関連の共同研究プロジェクトを設立した。
JP GAMES株式会社、富士通株式会社と協働し、デジタルデータの発行や所有などの権利管理の明確化を、デジタル署名技術「ハッシュチェーン型集約署名」の応用によって実現するモデルを作成し、検証することが目的。
また同プロジェクトでは、既存のNFT(非代替性トークン)市場との接続を可能にする相互運用性(インターオペラビリティ)の実現も構想されている。
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国内のCBDC関連動向
CBDCは、日本国内では数年前から検証や実証試験が進められている。
日本銀行は2020年に「一般利用型の中央銀行デジタル通貨(CBDC)」についての基本方針を発表。21年4月に実証実験の「フェーズ1」を開始した。この段階では、決済手段としてのCBDCの中核をなす発行、送金、還収等の基本機能が検証された。
検証自体は、全3段階で行われる予定で、22年4月からは、構築した実験環境に新たなCBDCの周辺機能を付け加え、また実現可能性やシステムの処理能力等についての研究を行う「フェーズ2」が開始されている。
日本政府もCBDCに関する準備を進めており、22年2月には、財務省が国内版のCBDC・デジタル円導入に向けた人員増強を準備していることが報じられた。
なお政府は、暗号資産(仮想通貨)やブロックチェーンなどのWeb3領域自体の環境整備を進めていくことを明言しており、22年6月には「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針2022)」を閣議決定、9月末には、デジタル庁に「Web3研究会」を設置している。