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Web3の「信用システム」構築に関する課題とは|Ontology寄稿

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

Web3の信用システムとは

今回はオントロジーに、「Web3における信用システムの構築」をテーマに寄稿いただきました。

Web3に関する議論が活発化し、ユーザーの理解が深まるにつれて、Web3プロジェクトに対する要求もより明確に高いものになってきています。また、プロジェクト関係者やユーザーは「信用(Reputation)」や「社会性(Social)」といったまだまだ未解決のテーマや分野にも目を向けています。

特にイーサリアム考案者であるVitalik Buterin氏が「Soulboundトークン(SBT)」の概念に関する記事を発表した後、「Web3信用システムの構築」がWeb3市場のホットトピックの1つに加わりました。本記事では、信用の定義、信用システムの開発状況、既存システムの問題点、および解決策を議論します。

関連:イーサリアム創設者ブテリン氏提唱の「Soulboundトークン(SBT)」に高い関心


信用とは

信用(レピュテーション)の定義は、基本的に社会秩序やシステム維持の必要性から存在するものであり、Web2からWeb3に移行したとしても、その定義が変わることはありません。個人にとっての「信用」とは、悪行をしていないことの証明書であり、人と人との日常的な交流や取引、金融機関などで広く利用されています。

一方、企業・プロジェクト関係者・組織にとっての「信用」は、市場での競争や、企業間の連携に関わるものです。「信用」は、企業や組織が普遍的な社会的認知を得ることで、関連する資源や機会、支援を獲得し、価値創造を完成させるためのツールなのです。

「信用」は、社会秩序を維持するための基本的な手段であり、分配の基礎であり、自発的な社会統制でもあります。その影響力は、対人コミュニケーションから組織や国家間の関係維持に至るまで、幅広い範囲に及びます。したがって、信用システムは、社会の正常な運営に不可欠であり、Web2、Web3のいずれにおいても特に重要なものです。

既存の信用システム

では、Web3の信用システムと、比較的構築プロセスが成熟しているWeb2の信用システムは何が違うのでしょうか。

Web2の信用システムは、規模が大きく、多くの場面で適用可能であり、信用度の低い(悪質な)信用情報の表示時間が限られていることが特徴です。悪質な情報は、悪質な行為や事件の終了日から5年間しか信用情報として表示されないため、Web2の信用システムにおける悪質な情報が個人や企業に与える悪影響は限定的であるとも言えます。

広く利用され、強力な監視機能を持つWeb2の信用システムに比べ、Web3の信用システム構築はまだ初期段階にあり、分野横断的、プロジェクト横断的に信頼性のある信用システムは今のところ存在しません。

次世代の信用システム

まず第一に、Web3における次世代の信用システムは、包括的な信用情報、強力な技術サポート、そして合理的な監督プロセスを持つことが理想的です。

新たな信用システムは、オフチェーンとオンチェーンの両方のデータを含み、個人と企業の信用行動をあらゆる次元から記録する必要があることから、まず包括的な三次元の信用情報が作成されます。

第二に、強力にプライバシーを保護するデータ保存技術を持つことが重要となります。これは、現在のWeb2の信用システムに最も欠けている点であり、我々がWeb3の信用システムについて繰り返し議論し、探求している理由でもあります。

たとえば分散型ストレージは、データ保存量が非常に大きい場合でも、集中型ストレージに比べ損失の可能性が低くなることを保証することができます。さらに重要な点として、ブロックチェーン、VC(Verifiable Credentials:検証可能な認証情報)、DID(分散型ID)などの技術を利用することで、信用データの真正性を確保できるとともに、Web3のビジョンに沿って、ユーザーが自身のデータを最大限にコントロールすることも可能です。

分散型ID(DID)とは

分散型IDとは、中央集権的な身分証明証の発行機関や組織などに依存することなく、自分が誰であるか、また自分に関する情報や保有する資格などを証明・管理することのできる、新たなタイプのIDを指す。

仮想通貨用語集

関連:DAOと分散型IDの「金融化」とは|Ontology寄稿

第三に、新世代の規制規範と役割を確立することが重要となります。規制機関や組織は、プロジェクト関係者が自分たちの利益だけになるような信用システムを作らないように、次世代の信用システムの規範と規制の役割の開発に責任を持つ必要があります。専門的な規制機関の存在により、信用システムはより多くのプロジェクト当事者や分野によって、より迅速かつ包括的に採用・テストされ、大衆によって認識される存在となります。

DAOやWeb3プロジェクトの関係者にとっては、ユーザーの信用情報を通じてコミュニティをより深く理解し、コミュニティメンバーのエンゲージメントを向上させるためにターゲットを絞ったプロモーションや機能開発を行うことができます。さらに重要なことは、スマートコントラクト技術を駆使して、信用格付けに関連する規範やルールの実施を自動化することができる点です。

このように、Web3の信用システムに対するニーズは非常に明確ですが、Web3の信用システムに対するコンセンサスはまだ得られていません。その理由は何でしょうか。Web3の信用システムを実現する上では、何が課題とされているのでしょうか。

DAOとは

「Decentralized Autonomous Organization」の略。一般的な企業などとは違い、経営者のような中央管理者が存在しない。参加メンバーやアルゴリズムによって運営管理が行われる。

仮想通貨用語集

課題1:オンチェーンおよびオフチェーンにおける包括的な信用データの取得

ブロックチェーン上のインタラクティブなデータはオープンな信用情報であるため、Web3プロジェクトの関係者の多くは、これらのオープンデータのオンチェーンを中心に、特定の分野に限定された信用モデルや信用スコアの開発に取り組んでいます。

ただし、信用システムは上記のデータだけでなく、Web3コミュニティ内の貢献、コミュニティ内不正への関与、dAppsにおける交流などWeb3の他の領域での交流履歴も含める必要があります。

こうした情報がまだ利用されていない背景には、既存のWeb3コミュニティや、Discord、Telegram、Notionなど多くのコミュニティプラットフォームがあるにも関わらず、ユーザーコミュニティの行動を完全に把握し、観察・分析を加えるための共通情報が存在しないという理由があります。また、この部分は完全にオープンで透明性のある情報ではないため、Web3の既存信用システムに欠けている最も重要な部分となっています。

オンチェーンおよびオフチェーンにおける包括的かつ大規模なユーザーデータがあってこそ、ユーザーの行動に基づいた評判を正確に定量化し、すべての分野で標準的な信用システムの構築を促進することができます。

課題2:オンチェーンおよびオフチェーンにおけるIDシステムの統一

オンチェーンでの行動は、分散型データクライアントのアドレスに束縛されています。同一人物が複数のアドレスを登録してやりとりをすることができます。一方、オフチェーンでの行動は各国のIDシステムに束縛され、1人1人がユニークなIDコードを1つしか持っていません。

しかし、1人1人が複数のWeb2ソーシャルアプリケーションのアカウントを持つことができるので、信用システムではユーザーの行動を完全に把握できず、ユーザーのIDの信憑性が保証できないことがよくあります。

こうした課題の解決策の1つに、DIDに関連付けられたアドレスとWeb2およびWeb3プラットフォームの対話記録をリアルタイムで記録する方法が挙げられます。これにより、Web2とWeb3のIDをよりよく統合し、より包括的な評価システムを構築することが可能です。

関連:DAOのハードルを解消 信用スコアの仕組みとは|Ontology寄稿

課題3:規制プロセス・監督機関の欠如

これは、今の「信用」の分野だけの問題ではなく、Web3全体のボトルネックになっています。監督機関がない場合、信用システムに権威性はないことから真に推進されることは難しく、またユーザーの行動の制限も難しくなります。

現在、ブロックチェーン分野はまだ発展途上であり、各プロジェクトも手探り状態です。信用システム開発プロジェクトは、プラットフォームや分野を超えて利用することができない自社の特性に応じた「有利な」システムを開発し、プロジェクトの成長・定着を図っていくことになります。

さらに、Web3の信用システムを監督する機関は、異なる国のメンバーを巻き込み、異なる国の情勢に沿った関連規制を策定し、信用モデルが「グローバルコンセンサス」を持てるようにする必要があります。

権威ある規制機関の介入は、評価システムの公平性・公正性を確保するだけでなく、データ取得の困難さやIDシステムの不整合といった問題をさらに改善し、新世代の信用システムを推進するためのきっかけとなります。

結論

以上の課題を解決するために、Web3市場には次世代の信用システム構築が必要不可欠です。

これはつまり、Web2における既存の信用システムをベースとしつつ、Web3市場の発展とともに、Web3の特性を十分に活用した完全なデータ、プライバシー保護、そして合理的な監査を備えた一連のシステムを構築することを意味します。

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