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仮想通貨は前週末にかけて大幅下落、グレースケール「GBTC」は約50%のディスカウントに

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

マクロ経済と金融市場

前週末16日の米NY株式市場では、ダウは前日比281ドル(0.8%)安と続落した。

先日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備理事会(FRB)の利上げ継続方針が鮮明となり、来年末時点の「政策金利見通し」について市場予想より長期化する懸念が強まった。楽観寄りだった市場が是正を余儀なくされている。

仮想通貨市況

暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比0.07%高の16,744ドルと横ばいで推移した。

BTC/USD日足

FOMC後に反落していたBTCは、16日16時頃にまとまった売りが出ると急落。17,300ドルのサポートラインと三角保ち合いの下放れで下落が加速した。前週比ではBTCの-2.4%に対し、ETHが-6.5%、XRPが-9.0%、MATICが-10%とアルトコインの下落幅がより大きい。

一方、時価総額18位に急浮上したThe Open Network(TON)は、前日比+7.8%、前月比+51.9%の独歩高を記録した。

オープンソースコミュニティのTON Foundationは11月27日、暗号資産取引をサポートするTelegram botサービスの提供を発表した。ウォレット拡張機能を用いることにより、Telegramアプリ内でP2P(Peer to Peer)向けの仮想通貨売買が可能となった。

今月1日には、Pavel Durov CEOが分散型取引所(DEX)および自己管理型ウォレットの開発計画を明かしたほか、今夏にはユーザー名のNFTマーケットプレイスの構想を示唆するなどWeb3分野への前向きな姿勢も関連トークンの思惑買いにつながっているものと見られる。

なお、オンチェーンデータによれば、FTX破綻の影響など地合い急悪化を受け、1,000BTC以上を保有するビットコインのクジラ(大口投資家)は過去30日間で計280,000BTCを売却した。

Glassnode

一方、過去9日間のデータに絞ると、100〜10,000BTCを保有するクジラは7億2,600万ドル相当のビットコインを購入している。

また、10BTC以上保有するアドレス数は、弱気相場に逆行するように上昇の一途を辿り、2年ぶり高水準の154,796に達した。

バイナンス巡る懸念

17日には、大手会計事務所Mazarsによるバイナンスの「準備金の証明」レポートに対する市場の信頼の欠如も市場を揺るがした。

関連:17日朝の金融市場短観|NYダウ続落 仮想通貨市場大幅安

Mazarsはこれまでバイナンス、KuCoin、Crypto.comと提携していたが、暗号資産の調査業務から一時撤退する。昨今の情勢を受け、伝統金融企業のクライアントの監査結果にまでレピュテーションリスク(風評被害)が広がりかねず、圧力が掛かったとされる。

関連:会計事務所Mazars、仮想通貨企業への監査サービス提供停止

Mazars調査の元にバイナンスが先日報告した資産証明報告については、マイナス残高の顧客資産など“負債”が含まれない点などその信憑性に疑義が生じていた。

この点についてMazarsは、「バイナンスとの合意に基づいた報告基準に沿って行われたものであり、資産について保証および監査見解を示すものではない」と弁明に追われ、非上場の大手暗号資産取引所における資産証明の難しさと限界を露呈した。

一方バイナンスは、このような信用不安を打開すべく、独自の資産証明(PoR:Proof of Reserves)システムのローンチ計画を明かした。ビットコイン(BTC)など預入資産の開示とともに、第三者機関による監査方針が含まれる。

DCGを巡る懸念

また、ライトコイン(LTC)、イーサリアムクラシック(ETC)、ニアプロトコル(NEAR)、ファイルコイン(FIL)など、デジタルカレンシーグループ傘下のグレイスケールの提供する金融商品が大幅下落しており、同社の大量保有する暗号資産清算に対する懸念が生じた。

オンチェーンデータアナリストのWill Clemente(@WClementeIII)氏ら複数の有識者が指摘した。

デジタルカレンシーグループに対する財務不安が高まった背景としては、大手取引所FTXの破綻を受けレンディング企業ジェネシスが顧客資産の引き出しを停止したことにある。

今月3日には、Genesis Lendingとデジタルカレンシーグループ(DCG)が大手取引所ジェミナイに対し、1,200億円規模の債務を負っていることをフィナンシャルタイムズが報じた。

関連:ジェネシスとDCG、ジェミナイに1,000億円超の債務=報道

2013年に設立されたGrayscale Investmentsは、デジタル通貨を主な投資事業とするDigital Currency Groupの子会社。金融の中心地である米ニューヨークに本社を置き、そのほかの顧客は、ヘッジファンドやファミリーオフィス、年金、基金、適格投資家が含まれる。

グレースケールの運用するクローズドエンド型の投資信託「ビットコイントラスト(GBTC)」は、16日時点で-48.57%のディスカウント(マイナス乖離)に達した。

GBTCの価格乖離率

強気トレンドの2021年には大幅なプレミアム(プラス乖離)が付いていたが、市況悪化に伴い急落した。

プレミアムが常態化していた2021年は、適格投資家はレンディングデスクから借り入れたビットコインをグレースケールに預け入れ、先物市場でポジションをヘッジすることで、半年後にキャリーコストを差し引いたプレミアム分を獲得することができた。多くの投資家はGBTCの新株発行に応募していたが、プラス乖離が縮小するにしたがって流入が鈍化した。

この点についてBytetree社は、「このような大幅ディスカウントが続けば売り圧力が高まり、システミック・リスクが波及するおそれがある」と指摘している。

DCGは、21年3月から22年6月にかけて、7億7,800万ドルのGBTCを購入していたとされるが、ジェネシスの貸借対照表(バランスシート)に穴を開けたThree Arrows Capital(3AC)破綻を受け、9月末までGBTC購入を停止していた。

デジタル資産の投資顧問会社であるLumida Wealth ManagementのRam Ahluwalia CEOは11月26日、「DCGにはこれらの負債と損失を吸収するのに十分な収益力はある(直ちに破産するとは考えにくい)」としつつ、その収益性がビットコインの市場価格と密接に連動している点について懸念を示した。グレースケールの収益は前年比50%減となっている。

Ram Ahluwalia氏は、DCGがGenesisローンにGBTC株を担保した可能性を指摘。「ビットコインがさらに下落した場合は、リスクを再評価する必要がある」としている。

これに前後して、デジタルカレンシーグループおよび関連小会社DCGは、流動性問題を理由に返済を停止し、ユーザーの資金の引き出しを一時停止しており、DCGのサービスを使用してオフチェーンステーキングサービスを提供する欧州最大手のBitvavo Custody BVが声明を発表した。

DCGの財務状況は創業以来良好な状態にあるとした上で、「Bitvavoは保険付きのカストディ・プロバイダーを利用する」と主張。「預入資産を事前融資して顧客資産の引き出し処理を可能する決定を下した。我々がDCGの流動性問題の影響を受けることはない」としている。

Bitvavoは、約16億ユーロの預金とデジタル資産を管理しており、内2億8,000万ユーロをDCGに預けている。

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