テンセントクラウドのWeb3戦略
中国大手テック企業テンセントのクラウド事業であるテンセントクラウド(シンガポール)は22日、L1ブロックチェーンのアバランチ(AVAX)、Suiを含む複数のブロックチェーン関連企業と提携したことを発表した。
22日にシンガポールで開催されたWeb3グローバルサミット「Tencent Cloud Web3 Build Day」で、テンセントクラウドはWeb3エコシステムの発展を促進し、開発者とスタートアップの開発を支援していく計画を発表した。
テンセントクラウドは、「世界中のますます多くの企業がWeb3に適応し、拡張しようと積極的に取り組んでいる」と指摘しており、インフラストラクチャとクラウドテクノロジを通じてグローバル企業のニーズを満たすため、Web3エコシステムパートナーと協力していく方針を示している。
テンセントクラウドのPoshu Yeungシニアバイスプレジデントは、以下のように述べた。
透明なデジタルの未来を前に、当社は、ゲーム、オーディオ、ビデオの分野で蓄積した経験を通じて、Web3の強力な技術サポートを提供する準備が出来ている。テンセントクラウドは業界パートナーと協力し、より没入感のある体験を提供し、Web3のエコシステムを開拓していく。
テンセントクラウドのブロックチェーンパートナーとしては、アバランチ、Scroll(ゼロ知識証明を使用したL2拡張プロトコル)、Suiの3社となる。それぞれ、開発者と企業のノード運用を効率化するためのインフラ・ツールの提供が予定される予定だ。
各ブロックチェーンコミュニティで指定されたWeb3開発企業は、テンセントクラウドのクラウドクレジットを受け取ったり、テンセントエコシステムのリソースを活用したり、共同開発の機会を優先的に取得できる。
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Sui、Ankrとの提携
特にSuiに対しては、開発者にクラウドゲーム開発ツールと専門的なサポートを提供することで、オンチェーンゲーム体験向上に寄与すると説明している。Suiを開発するMysten Labsは10日に、GameFi(ゲーム×金融)、ペイメント(決済)、クラウドサービスの3分野で協業していくと表明していた。
テンセントクラウドはまた、Web3 インフラストラクチャプロバイダーであるAnkr(ANKR)とも協力覚書を締結。ブロックチェーンデータを保存するノードとの間で情報を中継する(RPC)など、ブロックチェーンAPIサービスを共同開発する。
Ankrは22日に米IT大手マイクロソフトとのパートナーシップ締結を発表したばかり。マイクロソフトの「Azure Marketplace」で、企業や組織向けのノードサービスを提供するとした。
ノードとは
ブロックチェーンのネットワークに参加するコンピューター機器のこと。ブロックチェーン上のノードには、取引の承認を行うマイニング主体のノード、ウォレット機能を主体とするノードなど複数の種類がある。パソコンだけでなくスマートフォンなどの機器も含む。
▶️仮想通貨用語集
テンセントクラウドはまた、グローバル市場の従来型企業とWeb3プロジェクトの両方向けに、「Tencent Cloud Metaverse-in-a-Box」を発表した。これは、ゲームやメディア・エンターテインメントで使用する各種インフラ、プロダクト、ソフトウェア開発キット、コード集を包括する。
Google Cloudがテゾスをサポート
近年、従来のクラウドインフラ事業者が本格的にWeb3産業に進出してきている。Google Cloudは22日、テゾス(XTZ)の開発を支援するテゾス財団との提携を発表した。テゾス・ブロックチェーンで検証作業を担う「ベイカー」向けに、ノードを運用するインフラを提供するだけでなく、Google Cloud自身もベイカーとして参画している。
Tezos Foundation 🤝 Google Cloud
— Google Cloud (@googlecloud) February 22, 2023
Just announced: @TezosFoundation is working with Google Cloud to accelerate Web3 application development on the @tezos blockchain. Find out more about this collaboration ↓https://t.co/vQP2SFtcgq
Google Cloudは22年11月、Aptos(アプトス)との提携を発表。アプトスのノードを検証し、そのメインネットに参加すること、共同ハッカソンを開催する予定を明かしていた。
また、グーグルクラウドの仮想通貨パブリックデータセット「BigQuery」上でアプトス・ブロックチェーンのデータがインデックス化された。
2019年2月にリリースされたBigQueryは、取引履歴などのデータセットを公開しており、執筆時点に13以上のブロックチェーンをカバーしている。
2月12日にアマゾンのクラウドサービスAWSは、アバランチの開発企業Ava Labsとの提携を発表。ノード運用やdApps展開で、アバランチのインフラやエコシステムへの対応を開始した。
Web3とは
現状の中央集権体制のウェブをWeb2.0と定義し、ブロックチェーン等を用いて非中央集権型のネットワークを実現する試みを指す。代表的な特徴は、仮想通貨ウォレットを利用したdAppsへのアクセスなど、ブロックチェーンをはじめとする分散型ネットワークのユースケースがある。
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