はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習 WebX
CoinPostで今最も読まれています

日銀黒田総裁、フィンサム2023の挨拶で「シン個人」のための決済システムに言及

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

CBDCのパイロット実験へ

日本銀行の黒田東彦総裁は28日の講演で、中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)について言及し、「今後実現していかなければならないし、実現していくと私は考えています」との見解を示した。

日本銀行は、20年10月に公表した「中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み方針」に沿って、21年春から一般利用型CBDCに関する「技術的な検証」を段階的に進めてきた。その成果を踏まえて、4月からはパイロット実験へ移行する。

黒田総裁はパイロット実験について「リテール決済やそれに関わる技術に携わっている民間事業者の皆様の有用な技術や知見をしっかりと活用していく方針」と説明。具体的なCBDCの実装時期や手段については「幾つもの選択肢があり得る」としつつ、あらゆる選択肢を準備しておくことが「中央銀行の責務」だと加えた。

出典:日本銀行

3月16日に公開された説明資料によると、パイロット実験では日本銀行が中央システムから、仲介機関ネットワーク、仲介機関システム、エンドポイントデバイスまでを一体的に実装する実験用システムを構築する。

新たに設置する「CBDCフォーラム」のもと、民間事業者の中から参加者を募り、外部システムとの接続に向けた課題や対応策などに関して幅広く議論・検討を行っていく。

CBDCとは

「Central Bank Digital Currency」の略で、各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨を指す。暗号資産(仮想通貨)との大きな違いは、CBDCが法定通貨であること。

関連:中央銀行デジタル通貨(CBDC)とは|ビットコインとの違いと主なメリット

決済システムの3つの進化

黒田総裁はまた、この日参加したカンファレンス「FIN/SUM(フィンサム)2023」のテーマ「フィンテック、『シン個人』の時代」に即して、急速にシン(進)化する決済サービスについて3つの傾向を指摘した。

黒田総裁はまず、これまで一体的に提供されてきたサービスや機能のアンバンドリング(切り分け)が進んでいると指摘。パーミッションレス型ブロックチェーン上で流通するステーブルコインについて、「(従来の)決済機能のうち、決済資産となる負債を発行する機能と、決済資産の帰属を記録する機能」を分けたものと分析した。

次に黒田総裁は、負債を変換する仕組みが技術進歩により簡素化されていると指摘した。クロスボーダー取引にステーブルコインやCBDCを活用しようとする試みは、これまでのコルレスバンキングの仕組みを効率化させる発想に基づいている。

3つ目は、経済活動のプラットフォームの進化だ。特に、インターネット上での決済方法はますます多様化している。黒田総裁は、ギャビン・ウッド氏が設立したWeb3ファウンデーションによる次世代インターネットの定義(ユーザーが自分のデータ、アイデンティティ、運命をコントロールできる分散型で公正なインターネット)を引用して、以下のように述べた。

こうしたアイデアが現実にどのように発展するか、また、そのもとでの経済活動がどのような姿となるかは、まだ見ぬ将来のことですが、決済の進化を考えるうえでは、経済活動が行われる場が将来的にどのように進化していくかも意識しておく必要があると考えられます。

黒田総裁は、電子マネー、ステーブルコインを含む多様な民間マネーが今後も共存し続けると指摘。そうした状況下で、現金や中央銀行当座預金といった中央銀行マネーは価値の尺度を体現する財であり、金融仲介の面で中心的な役割を果たしていくとまとめた。

Web3とは

現状の中央集権体制のウェブをWeb2.0と定義し、ブロックチェーン等を用いて非中央集権型のネットワークを実現する試みを指す。代表的な特徴は、仮想通貨ウォレットを利用したdAppsへのアクセスなど、ブロックチェーンをはじめとする分散型ネットワークのユースケースがある。

▶️仮想通貨用語集

関連:CoinPost主催のWeb3大型カンファレンス「WebX」、東京国際フォーラムで開催

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/26 金曜日
11:37
中国環境省、環境管理にブロックチェーンなど先端技術を導入
中国生態環境部が12月25日、ブロックチェーン、AI、ビッグデータを環境管理に統合する方針を発表。全国炭素排出権取引市場ではデータ改ざん防止に既に活用。中国は仮想通貨を規制する一方、ブロックチェーン技術応用は国家レベルで積極推進。
10:36
パンテラ専門家の2026年仮想通貨12大予測 DAT企業統合や量子パニックなど
パンテラ・キャピタルのジェイ・ユー氏が2026年の仮想通貨業界12大予測を発表。AI技術の浸透、DAT企業の統合、トークン化ゴールドのRWA主役化、ステーブルコイン決済の拡大、量子コンピューターによるBTC懸念など、注目のトレンドを解説。
10:02
2025年仮想通貨デリバティブ市場レポート、取引高1300兆円突破=コイングラス
コイングラスが2025年の仮想通貨デリバティブ市場に関するレポートを公開。ETFやDAT企業などへの機関投資家による投資が加速したと分析している。
06:55
トラストウォレットで9億円以上不正出金、数百人のユーザーが被害か=報告
オンチェーン探偵のザックXBT氏が、トラストウォレットの複数ユーザーから資金の不正流出報告があったと明らかにした。クローム拡張機能のアップデート後に発生し最低でも600万ドル以上が盗まれたと推定。
06:40
金融庁、仮想通貨の担当部署を「課」に昇格へ
金融庁は、2026年7月の次期事務年度に仮想通貨の担当部署を「課」に昇格させる方針を固めたことがわかった。金融サービス変革への対応能力を強化する。
05:45
ロシアの主要証券取引所、2026年の規制発効で仮想通貨取引提供開始へ
ロシアのモスクワ証券取引所とサンクトペテルブルク証券取引所が、2026年に予定される仮想通貨規制の発効後に仮想通貨取引の提供を開始する準備ができていると発表した。
12/25 木曜日
18:01
Komlock labと東証上場TDSE、AIエージェントによる自律決済の実証実験開始
TDSEとKomlock labがAIエージェントによる自律決済の実証実験を開始。日本円ステーブルコイン「JPYC」を活用し、AIが人間を介さず決済する「Agentic Commerce」の実現を目指す。
18:00
アルトコインを保有する上場企業一覧|ETH・SOL・XRPなど主要銘柄別に分析
イーサリアム、ソラナ、リップル社開発のXRPなど、ビットコイン以外の仮想通貨をトレジャリー戦略で保有する上場企業が急増中。銘柄別一覧とともに投資効率や保有動向をわかりやすく分析。
17:38
日銀総裁、利上げ継続示す 30年ぶり高水準更新へ
日銀の植田和男総裁が25日の講演で利上げ継続方針を表明。政策金利は既に30年ぶりの0.75%水準に達しており、今後の追加利上げによる円キャリートレード巻き戻しが仮想通貨市場に与える影響が注目されている。
16:21
SBI VCトレードとアプラス、USDCによる店舗決済の実証実験を来春開始
SBI VCトレードとアプラスが米ドル建てステーブルコインUSDCを活用した店舗決済の実証実験を2026年春に開始。大阪・関西万博のデジタルウォレット成果を発展させ、QRコード決済でインバウンド顧客向けに新たな決済モデルを創出する。国内唯一の電子決済手段等取引業者であるSBI VCトレードと、豊富な加盟店ネットワークを持つアプラスが協力し、ステーブルコイン決済の社会実装を加速。
14:55
量子コンピュータは仮想通貨の脅威か 専門家が語る「共存」の可能性
量子コンピューティングが仮想通貨業界に与える影響について、楽観論と懸念論が交錯する中、専門家は「共存」の可能性を指摘。ビットコインベテラン投資家やマイクロストラテジー会長は量子が仮想通貨を強化すると主張する一方、開発者は5~10年の移行期間が必要と警告。ソラナやイーサリアムなど主要ブロックチェーンは既に量子耐性技術の実装を開始している。
13:50
アステリア、JPYC企業利用支援の「JPYCゲートウェイ」発表
アステリアは企業向けJPYC入出金管理サービス「JPYCゲートウェイ」を発表。ウォレット管理やガス代負担など企業利用の課題を解消し、100以上の既存システムと連携可能。2026年1月よりβ版提供開始。
13:30
2025年世界仮想通貨浸透率ランキング、日本は47位
Bybitは2025年世界仮想通貨ランキングで、79カ国をユーザー浸透度、取引利用度、制度整備度、文化的浸透度の観点から相対的に評価。シンガポールと米国が上位にランクインし、日本は47位となった。また国別の一人当たりGDPから分析したところ、投資主導型と実用主導型の二つの採用パターンが明確となった。
12:13
ビットコイン価格予想が二極化 来年の37000ドル悲観論と最高値更新説の根拠は
仮想通貨市況 暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン(BTC)は前日比+%の1BTC=87,850ドルに。 ビットコインが一時的に88,000ドルを上回ったことは、米国上場…
11:44
仮想通貨投資大手が大規模取引か、ワールドコインに3000万ドル投入の可能性
マルチコイン・キャピタルと関連するウォレットが24日、ワールドコイン(WLD)6000万トークンを約46億円で購入した疑いが浮上。オンチェーンデータ分析サービスが報告。WLD価格は史上最高値から95%下落中。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧