MCBクリプト格付け
暗号資産(仮想通貨)やブロックチェーンに関連する総合サービスを提供するマネックスクリプトバンクは13日、30種類の暗号資産に対して独自の評価モデルを発表した。
マネックスクリプトバンクは、国内大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインチェックを運営する東証プライム上場企業であるマネックスグループ株式会社の100%子会社。
この評価モデルは、流動性、ハッキングリスク、集中リスクなど7つの観点から、各暗号資産を相対的に評価するものである。
Web3(分散型ウェブ)に対する関心が増している中、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)のような代表的な暗号資産以外の取引需要も増加すると見込まれている。
しかし、暗号資産はその特性から、株式などの伝統的な金融資産と比較すると、その評価には非常に多くの要素が関わってくる。時価総額ランキングは存在するが、価値の根拠を判断する明確な指標は存在しないため、暗号資産の価値を評価することは困難な状況だ。
マネックスクリプトバンクはこの問題に対処するべく、7つの評価基準を特定。それらを基に各暗号資産を比較する評価モデルを開発した。評価基準には、集中リスク、法規制リスク、流動性、ハッキングリスク、スケーラビリティと分散性、プロジェクト稼働率、重大な金融リスクを示すカタストロフィーリスクが含まれている。
マネックスクリプトバンクは、この評価モデルにより、性質が異なる暗号資産でも一定の基準に基づいて比較・評価することが可能になると強調している。
ライトコインなど高評価
マネックスクリプトバンクの「MCBクリプト格付け」は、特定の日付時点でデータを収集し、それをパーセンタイルで区切る方法を用いている。CoinGeckoの分類法に基づいて選出した30資産の中で、各暗号資産がどの位置にあるのかを判断し、その結果に基づいて10段階の得点を付ける。
さらに、その重要性や影響力に応じた比率(重み)を調整し、それらを加重平均して算出。特に、集中リスクや暗号資産固有のリスクは重視され、高い比重が置かれている。結果、各暗号資産に対する総合評価を算出し、これを元に順位付けを行っている。
米国の証券取引委員会(SEC)から訴訟を受けている暗号資産取引所バイナンスのトークンであるBNBの評価は、時価総額ランキングに比べて低い結果となった。なお、ステーブルコインであるUSDC、USDT、DAIがこの評価から除外されている可能性があり、全体として時価総額に比べて2~3位のランクアップが推測される。
一方で、PoW(プルーフオブワーク)を採用するブロックチェーンで、マイナーに対して採掘報酬として付与されるライトコイン(LTC)とイーサリアムクラシック(ETC)は、比較的高い評価を得ている。これは規制リスクが低く、プロジェクトの歴史が比較的長いため流動性の集中化リスクが低いと判断された可能性がある。
マネックスクリプトバンクは、将来的にはこの評価モデルを基にした暗号資産格付けサービスの提供も視野に入れているという。同社はまた、Web3の各テーマに関する研究結果をまとめたレポート「MCB RESEARCH」の刊行を開始した。このレポートでは、Web3の技術動向に焦点を当てた「TECH」シリーズや、暗号資産のマーケット動向について深く掘り下げた「CRYPTO」シリーズなどが提供される。