マクロ経済と金融市場
16日の米NY株式市場は、ダウ平均株価は前日比145ドル(0.37%)安、ナスダック指数は130ポイント(0.82%)高で取引を終えた。
これを受け、東京株式市場では、前場の日経平均株価は前日比161.53円(0.41%)安となった。日経平均株価は、1989年12月に記録した過去最高値である3万8915円の更新期待が高まっている。
米国株の暗号資産(仮想通貨)関連銘柄では、好決算のコインベースが前日比8.08%高と大幅続伸した。取引収益が前年同期比+64.3%と市場予想を大きく上回ったほか、前年比-45%もの大幅なコスト削減による余力拡大も評価された。
ビットコイン現物ETF(上場投資信託)承認の影響については、暗号資産相場高騰の恩恵を顧客基盤の拡大や取引高上昇で大きく享受できる立ち位置にあるほか、ブラックロックのビットコインETFを含む10銘柄中8銘柄がコインベースのカストディアン(保管業務)を利用しており、安定した手数料収入が見込まれる。
暗号資産業界への強硬姿勢および提訴を進める米SEC(証券取引委員会)との係争がリスク面に挙げられるが、コインベースは米国外の各国における取引商品を拡大、ライセンス登録を行っており、勝訴もしくは和解に持ち込むことができれば懸念材料を払拭できるだろう。
関連:新NISAのつみたて投資に、「三井住友カード プラチナプリファード」が人気急上昇している理由
仮想通貨市況
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン(BTC)は前日比4.3%高の1BTC=52,137ドルに。
時価総額2位のイーサリアム(ETH)は、前日比8.1%高の2,881ドルまで上昇した。次期アップグレード“Dencun”のメインネットローンチを控えるほか、ブラックロックなどが申請するイーサリアム現物ETFの承認期待が買い圧力を生んでいる。
関連:イーサリアム次期アップグレードDencun、メインネット起動は3月13日に
昨今のビットコインETFへの資金流入は、仮想通貨セクターに対する信頼の高まりを示している。
最大手資産運用会社ブラックロックのIシェアーズ(IBIT)とフィデリティのビットコインETF(FBTC)への資金流入は、米SEC(証券取引委員会)による上場承認後わずか5週間で26万BTC増加した。
In < 10 seconds, you can watch the accumulation of 260,000+ bitcoin…
— Nate Geraci (@NateGeraci) February 18, 2024
Only *5 weeks* of trading since spot bitcoin ETFs went live.
“No demand.”
via @apollosats pic.twitter.com/xepu2v9Het
CryptoQuantのアナリストらは、今の水準の資金流入が続けば、ビットコイン価格は年内に11万2000ドルに達する可能性があると予測している。
米最大手暗号資産取引所コインベースのレポートによれば、承認初月の流入額は33億ドル(5,000億円)規模まで膨らんだ。これに伴い、暗号資産市場の時価総額は、22年3月以来の2兆ドル水準に達している。現在の流入水準は、ビットコインマイナー(採掘業者)が生産できるBTCの10倍以上の規模に相当するという。
さらに、2004年の金(ゴールド)のETFと比較し、ステート・ストリートのSPDRゴールド・シェアETF(GLD)の流入額をも大きく上回り、「ビットコインは、(過去30年間の)ETFの歴史的に最も成功した」と評している。
これまでに組成された約5,500のETFの中で、ブラックロックのiシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)とフィデリティのワイズ・オリジン・ビットコイン・ファンド(FBTC)への流入ペースは「上位0.1%」に相当する。
ただし、グレースケールの投資信託「ビットコイントラスト(GBTC)」のETF転換に伴う大量売りなど、ポートフォリオのリバランスの流れは落ち着き始めてはいるものの、テクニカルな売り圧力要因は残されている。
その内の1つが、2022年に破綻したジェネシスの債権者への弁済を巡る債務整理だ。
ジェネシス・グローバルは14日、米ニューヨークの連邦破産裁判所から、ビットコイントラスト(GBTC)3,590 万株(16億6,000万ドル)やイーサリアムトラスト(ETHE) 870 万株(2億900万ドル)を含む保有資産について、債権者に返済するための売却承認を得たことがわかった。
この判決結果を受け、「全ての株式を売却して現金を分配する」か、「債権者に代わってGBTCやETHEを現物の暗号資産(仮想通貨)購入に変換する」可能性が浮上している。この点についてコインベースの分析では、後者の可能性が高いとの見立てを示している。
関連:ビットコイン半減期とは?過去相場の価格変動から探る2024年の展望
このような状況にある中、キャシー・ウッド氏率いるARKインベストのアナリストであるエルマンジュラ氏は、「ビットコインが高騰しているのにも関わらず、Google検索ボリュームは過去最低水準だ」と指摘した。
背景としては、ビットコインETF(上場投資信託)の上場承認の影響に伴う機関投資家の流入の大幅増加や、市場の成熟により、個人投資家による基礎情報の検索需要が過去の強気相場より低下していることなどが挙げられる。
エルマンジュラ氏は「新時代の幕開け」と表現し、相場を牽引するのが個人投資家の投機需要ではなく、機関投資家が主導する持続的な成長軌道に向かうことについて期待感を示した。
関連:ビットコイン対円で最高値更新、オプション市場みても下値余地は限定的か|bitbankアナリスト寄稿
アルトコイン市場
アルトコイン市場ではWorldcoin(WLD)の急騰も目立った。直接的な関係はないが、OpenAIが高精度動画生成AI「Sora」を発表したことで思惑上げしたものと見られる。ローンチ日は未定。
「Sora」のテキストプロンプトで命令を下せば、宇宙飛行士の冒険をフィーチャーした映画予告編や、アニメーション作品、太古の時代に絶滅した巨大なマンモスが雪原の中迫ってくる実写風の迫力映像なども再現できるなど、多種多様なユースケースが想定される。
Prompt: “Several giant wooly mammoths approach treading through a snowy meadow, their long wooly fur lightly blows in the wind as they walk, snow covered trees and dramatic snow capped mountains in the distance, mid afternoon light with wispy clouds and a sun high in the distance… pic.twitter.com/Um5CWI18nS
— OpenAI (@OpenAI) February 15, 2024
関連:ワールドコイン(WLD)急騰、OpenAIの動画生成AI「Sora」発表で思惑上げか
ChatGPTを開発したOpen AIのサム・アルトマンCEOらが立ち上げたWorldcoin(WLD)は、シリーズCの資金調達ラウンドで1億1,500万ドルを調達した。
一方で、フランス、インド、ブラジルなどの国々では、普遍的なデジタルIDソリューション及びWLDによるベーシックインカム配布のための生体認証データ収集におけるプライバシー上の懸念から反発に直面し、虹彩スキャンを中止せざるを得なくなった経緯がある。
関連:ステーキングや積み立てサービスに優位性、仮想通貨取引所「SBI VCトレード」のメリットを解説
投資家向けCoinPostアプリに「ヒートマップ」機能を導入しました!
— CoinPost(仮想通貨メディア) (@coin_post) December 21, 2023
仮想通貨の重要ニュースはもちろん、ドル円などの為替情報やコインベースなど株式市場の暗号資産関連銘柄の値動きも一目瞭然です。
■iOS版、Android版のDLはこちら
https://t.co/9g8XugH5JJ pic.twitter.com/bpSk57VDrU
過去に掲載したマーケットレポート一覧はこちら