Optimismのアップグレード
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)のL2「Optimism」の開発チームは2月29日、先週実施したアップグレード「Delta」の概要やメリットを解説したブログを公開した。
DeltaはOptimismのブロックチェーン「OP Mainnet」に加え、Optimismの技術を基盤にする「Base」などのOPチェーンでも実施されている。今回はテストのデータをもとにして、Deltaによってチェーンの間接的な固定コストを最大90%超削減できると期待していると説明した。
L2とは
「レイヤー2」の略で、「2層目」のネットワークのこと。全ての取引をメインチェーンで処理すると負荷が大きくなり、処理速度の低下やネットワーク手数料の高騰につながる。取引の一部をL2で行うことで、メインチェーンの負荷軽減や処理速度の向上を期待できる。
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今回のアップグレードを実施した背景には、OPチェーンはトランザクションがなかったとしても590秒ごとにL1にデータを提出しなくてはならないという課題がある。この作業には1日0.45ETH(23万円相当)のコストが必要になっているという。
このような間接的な処理は「オーバーヘッド」と呼ばれる。この場合のオーバーヘッドとは、ブロックチェーンを稼働するために付加的・間接的に必要となる処理を指している。
Deltaでは「Span Batch」という新しい仕様を導入し、このオーバーヘッドのコストを削減するなどして、データ提出の負担を減らそうとしている。
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Deltaの効果
Optimismの開発チームはテストのデータをもとに、Deltaで全OPチェーンのオーバーヘッドのコストを削減することが期待できると解説した。
効率性の高いチェーンでは6〜11%、稼働が少ないチェーンでは90%超のコストを削減できるようになったと説明。さらに、その後も最適化を行い、標準的なOPチェーンであれば90%超削減できるようになったとしている。
また、コストを削減することでOPチェーンの運営者にもメリットがあると説明。Span Batchを導入することでオンチェーンの利益が大きく増加することもデータで示されていると述べた。
Optimismのチームは、Deltaを実施してコストの負担を軽減したことで、独自技術「OP Stack」を気軽に採用してもらえるようになることを期待している。
なお、今月予定されるイーサリアムのアップグレード「Dencun」では、OptimismなどのL2の手数料を軽減できる「プロト・ダンクシャーディング(Proto-Danksharding)」という機能も導入される予定だ。
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