半減期後の仮想通貨相場
デジタル資産のリサーチ企業10x ResearchのMarkus Thielen CEOは19日、「CoinDesk」のポッドキャストで、暗号資産(仮想通貨)ビットコインの半減期は価格上昇の主要な要因にはならないとの見方を示した。
これまで半減期後にビットコインが最高値を更新してきたことから、投資家の多くは4年に一度の半減期を強気のイベントとみている。これまで多くの相場予測を的中させてきたというThielen氏は今回、こういった見方に警鐘を鳴らした。
10x Researchは17日に「ビットコイン半減期の後に何が起きるのか」と題したレポートを公開。その際に、同社は過去の全ての半減期を分析したと説明している。
この時に10x Researchは、Googleトレンドにおける「Bitcoin Halving(ビットコイン 半減期)」の検索ワードのスコアが100に達していると指摘。一方で、2020年の半減期のスコアは60だったとした。Googleトレンドのスコアは、最高値を基準として相対的に関心度を表す仕組みになっている。
半減期への関心が高まる中、Thielen氏は「これまでの半減期後の価格上昇は、マクロ経済の環境が主導している」と指摘。同様の見方は他の有識者らからも上がっている。
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Thielen氏も言及したというが、2020年3月の半減期後の価格上昇はマクロ経済の影響が特に顕著だった。この時は、コロナ禍に対する各国の金融緩和や財政刺激策が価格上昇を後押ししたとの見方が多い。
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同氏は今回のポッドキャストで「半減期は価格上昇の大きな原動力ではない。大きな原動力は本当はマクロ経済である」と述べた。
半減期とは
ビットコインなどの仮想通貨のマイニング報酬(=新規発行量)が半分に減るタイミングを指す。供給量が減ることで希少価値が上がり、仮想通貨の価格が上昇しやすくなるため、仮想通貨特有の注目イベントである。
▶️仮想通貨用語集
マクロ経済の動向
ビットコインの価格は今回初めて、半減期を目前にした状態で最高値を更新した。その背景には、米国でのビットコイン現物ETFの取引開始や半減期、早期利下げへの期待があったとみられている。
一方で最近は、ビットコインETFから資金が流出する日が増え、仮想通貨相場は下落基調にある。この主な要因は、米連邦準備理事会(FRB)への利下げ期待の後退や中東情勢における地政学リスクであるとの見方が多い。
現在、米国ではインフレ抑制が滞っている。また、米経済が好調なことを指標が示しており、中東情勢によって原油価格が上がって再び物価が上昇するなどすれば、利下げの先送りにつながりうる。さらに、最近では再利上げの可能性を指摘する声も上がり始めた。
Thielen氏は今回「仮想通貨相場から、マクロ経済の逆風がなくならないといけない」と主張。今の状態では相場の一服が数週間続き、年末に向けた価格上昇の前に5万ドル(約770万円)の水準まで下がる可能性もあるとみている。
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