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ソラナ財団幹部が語る、エコシステムの現状や今後のビジョン|WebX2024インタビュー

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ソラナ財団幹部を取材

ソラナ財団のエグゼクティブディレクターを務めるダニエル・アルバート氏は、8月28日と29日に開催されたWebXカンファレンスへの登壇と合わせ、CoinPostの取材に応じた。

ソラナ財団は、スイスを拠点にする非営利組織。暗号資産(仮想通貨)ソラナ(SOL)のエコシステムの分散化、普及、セキュリティ向上に取り組んでいる。

アルバート氏は、最初は19年4月にソラナラボに入り、エンジニアリング業務に従事。その後、21年7月から現職を務めている。ソラナに携わる前は、通信・半導体関連事業を行う米大手企業クアルコムで2013年から2018年までの5年間、テストエンジニアとして勤務していた。

ちなみに、ソラナの創設者であるアナトリー・ヤコヴェンコ氏もクアルコム社出身である。

今回の取材では、ソラナのエコシステムの現状やソラナスマホの普及、今後の計画などについて質問した。

取材内容

エコシステムの成長

ソラナのエコシステムについては、急速な発展をさらに促進するような重要な取り組みやパートナーシップについて質問。また、ソラナ財団が現在の勢いをどのようにサポートしていくかについて聞いた。

まず、アルバート氏は、アクティブな開発者の数ヶ月ベースで今年の初めより15%増加し、24年7月1日時点でその数が2,856人に達したと説明。

また、メインネットにデプロイ(展開)された新しいプロジェクトやスマートコントラクトの数が前期比で約47%増え、24年1Q(1月から3月)の2,022から2Q(4月から6月)には2,971に増加したと述べた。

その上で、エコシステムの全てのセクターにおける発展を促進し続けているのは、世界で行われているハッカソン(開発イベント)だと説明。そして、ソラナのハッカソンはプログラミングコードを競ってもらうだけでなく、スタートアップの育成まで行っているとした。

アルバート氏は、プロジェクトの申請者やハッカソンの勝者には、潜在的な投資家や指導者を紹介していると述べている。この取り組みにおいて、ソラナ財団は優れた開発者を生み出せる教育プログラムと協業していると説明。2024年上半期には1,400超の開発者が、ソラナ財団が協業する教育プログラムを卒業したと述べた。

また、ソラナ財団の役割については、コミュニティ主導のイベントに資金を提供しているとも説明している。

アルバート氏は、エコシステムの発展について述べる中で、「Superteam」にも言及した。取材時には5大陸の14カ国にSuperteamがあり、ソラナの認知度を高めているだけではなく、現地の開発者を支援し、人やチームをつなぎ、ハッカソンなどの機会に参加できるようにサポートし、新たなプロジェクトのローンチにつなげていると評価している。

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ソラナスマホの普及

日本でも注目度が高いソラナスマホについては、最初の「Saga」のローンチ以降どのくらい普及しているのか、また今後の計画について聞いた。

アルバート氏は、Sagaの普及は期待以上だったとし、23年12月に完売したと説明。そして、1月には新スマホ「チャプター2(Solana Seeker)」を売り始め、プレオーダーで14万台を受注したと述べた。チャプター2はSagaよりも安価で、世界のより多くの場所で販売するようにしたとしている。

今後の計画については、次のステップとしてモバイルアプリの数を増やしていくと説明。現在、アプリストアには約100種類のdApps(分散型アプリ)があるとした。

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DeFi

今回の取材では、ソラナのエコシステムで大きな発展をしているDeFi(分散型金融)についても質問し、最近どのような開発が行われているか、またDeFiがネットワークの普及をどのように促進しているか聞いた。

アルバート氏はまず最近の動向について、ペイパルの米ドルステーブルコイン「PYUSD」がソラナでローンチしたことに言及。ローンチ後、たった数カ月で6.4億PYUSD発行され、イーサリアム(ETH)のブロックチェーン上における発行量の約2倍になったと説明した。

その上で、PYUSDがローンチされたことで、ペイパルの何億ものユーザーや何百万もの店舗にとって、新たな決済の可能性が広がったと述べている。

また、DEX(分散型取引所)における月間の出来高が、24年7月に初めてイーサリアムを超えたことにも言及。運用のためにロックされた仮想通貨の総価値「TVL(Total Value Locked)」がイーサリアムよりも大幅に少ないことを考慮すれば、この事実は資金の効率や回転率がはるかに高いことを示していると主張した。

アルバート氏は、ソラナ上のDeFiなどのユーザーは増加し続けていると説明。そして、そのユーザーは、他のエコシステムで提供されるプロダクトよりもソラナのプロダクトの方がユーザー体験が優れていると感じており、ソラナはWeb2のような速さと利便性を提供できていると主張している。

関連:ソラナ上のペイパル(PYUSD)ステーブルコインの供給量、イーサリアム上回る

DePIN

今回アルバート氏には、2024年の注目テーマの1つ「DePIN(分散型物理インフラネットワーク)」についても、DeFiと同様の質問を行った。

現在、アルバート氏の計算では、ソラナ上で78のDePINプロジェクトが開発を行っており、これは他のチェーンよりも数が多いという。

その理由については、ソラナには処理の速さやトランザクションコストの低さ、決済システムの強固さといったメリットがあることに加え、DeFiやトークンガバナンス、法定通貨のエコシステムが発展しているからだと主張した。

そして、こういった優位性によって、DePINサービスの提供者と利用者の双方が、インセンティブや様々な機会を作りやすくなっていると述べている。

具体的なユースケースにおける成果については、分散型5G通信事業を展開するHelium Mobileで、登録者数が10万人を突破したことに言及。また、地図データを収集するマッピングプロジェクト「Hivemapper」が、世界の道路の20%超をカバーしたことも成果に挙げた。

その上でアルバート氏は、トークンの分配や決済が速く安価であるというソラナの特徴があるからこそ、こういったユニークなプロジェクトが実現できていると説明している。

関連:ソラナで拡大する分散型インフラ「DePIN」、2024年注目のプロジェクトを深掘り

ファイアダンサーの開発

ソラナの新しい独立系バリデータ・クライアント「ファイアダンサー(Firedancer)」については、開発の進捗状況や重要性、ソラナのパフォーマンスやエコシステムへの効果について聞いた。

バリデータ・クライアントとは、ソラナブロックチェーンのノードが使用するソフトウェアを指す。ファイアダンサーは、取材時にはまだ正式にはローンチしておらず、テスト段階にある。

アルバート氏はまず、ファイアダンサーは、ソラナのネットワークが2020年にローンチして以降、初めて新たに導入されるクライアントだと説明。現在はほとんど全てのバリデータが「Agave」か、Agaveと似たコードを持つ「Jito」のクライアントを使っていると述べている。

一方、ファイアダンサーはノードのハードウェアの強みを最大限活かせるようにソフトウェアを最適化するため、新たに設計し直していると説明。そして、テストの初期段階では最大100TPS(1秒間の処理件数)を達成したと紹介した。

100万TPSという数字については、メインネットにおける最初のローンチ時ではあまり見ない性能の高さであると主張。ファイアダンサーは2024年内にはメインネットにローンチする予定だとしている。

アルバート氏は、ソラナのエコシステムには、高い処理能力と拡張性を持つソラナでしか実現できない広範なプロダクトが開発されていると説明。そして、ファイアダンサーがさらにソラナの可能性を広げることで、他のブロックチェーンでは不可能な、新しいクリエイティブなプロジェクトが誕生することを期待していると述べた。

なお、複数のソフトウェアが開発されることは、ネットワークの強化や安定性の向上にもつながる。それは、1つのソフトウェアにバグがあったり、問題が発生したりしても、ネットワークがダウンしづらくなるからである。

アルバート氏は、ファイアダンサーのチームは、AgaveとJitoを使う既存のバリデータがパフォーマンスや信頼性を向上させられるように情報を共有しているとも説明。それによってネットワーク全体のキャパシティや健全性が大きく発展するだろうと期待を示した。

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今後のビジョン

最後に、ソラナ財団が来年に見据えている大きな到達点や目標について質問。また、ブロックチェーン・仮想通貨領域全体で、ソラナの役割がどのように発展していくと考えているかを聞いた。

今後については、ソラナはブロックチェーンプラットフォームの限界を超えることを追求し続けていくと回答。レイヤー1プロトコルとして拡張性を向上させるだけでなく、様々なプロダクトのためにブロックチェーンを強固することにも継続して取り組んでいくと述べた。

その上で、最近の取り組み事例について、以下のプロダクトをリリースしたことを挙げている。

  • トークンエクステンション:複雑なビジネスロジックを解放するための新たなトークン規格
  • ZK圧縮:オンチェーンの状態(ステート)を圧縮する機能
  • Blinks:ウェブページでトランザクションを行える機能

また、アルバート氏はこれから自身が楽しみにしていることの1つに、「ソラナ経済区域(Solana Economic Zones:SEZ)」を挙げた。

SEZの取り組みの目的は、ソラナのコミュニティと各地のコミュニティが協力して、Web3と各地域の経済をつなぐこと。そして、それによって両者が発展することだ。

アルバート氏はSEZについて、長期的には世界最高レベルの人材が最高の仕事をしたり、最高の生活を送ったりするための場所にできるよう取り組むと意欲を示している。

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