プロ投資家に海外の仮想資産ETF投資を許可
台湾金融監督管理委員会(FSC)は30日、条件を満たしたプロの投資家(適格投資家)に対し、再委託方式を通じて海外の暗号資産(仮想通貨)ETF(上場投資信託)への投資を認める方針を発表した。
2024年1月に米証券取引委員会(SEC)がビットコイン(BTC)の現物投資型ETF・11種類を承認、純資金流入額は9月末時点で約190億ドル(2.7兆円)に上る。7月にはイーサリアムの現物ETFの取引も開始された。
このほどFSCは、仮想通貨関連の投資商品へのアクセス拡大を図りつつ、そのリスクを適切に管理し、投資家保護を強化する内容も規定した。なお厳密には、FSCは「仮想資産(Virtual Asset)」と表記している。
FSCの公告によると、「プロの投資家」には専業機構投資家、高純資産投資法人、高資産顧客、プロ投資家として認定された法人や基金、個人などが含まれる。
証券会社はこれらの投資家に対して、仮想資産ETFを提供する前に、十分な情報提供と、知識や投資経験を評価するプロセスを設けることを義務付けられている。専業機構投資家を除く該当者には、初回購入前にリスク警告書への署名も求められる。
さらに、証券会社は従業員向けの仮想資産関連の定期的な教育訓練実施など、リスク管理体制の整備も求められる。FSCは、投資家保護と証券会社の競争力向上を目的に、この新制度の実施状況を監視し、関連規定を継続的に改善していく方針だ。
再委託方式について
プロ投資家が台湾の証券会社に海外の仮想資産ETFの購入を依頼。証券会社はこれを海外の金融機関に再委託。海外の金融機関が実際にETFを購入し管理を行う。台湾の証券会社は顧客に海外の仮想資産ETF投資の機会を提供できる状態となる。
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台湾で仮想通貨投資の規制整備が進行
台湾では2023年9月にFSCが仮想資産を規制対象とし、同年10月には議会で「仮想通貨管理法案」の審議が開始された。この法案は、仮想資産業界の発展と顧客保護を目的とし、台湾で運営される全ての仮想資産プラットフォームにライセンス取得を義務付ける内容を含む。
24年3月にはFSCが消費者保護拡大のための新法案を国会に提出すると発表。6月には業界の自主規制団体「台湾仮想資産サービスプロバイダー協会」が設立された。
さらに7月には、台湾第2位の通信事業者Taiwan MobileがFSCから仮想通貨交換業(VASP)ライセンスを取得し、仮想資産市場への参入を果たしている。
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