- イーサリアムのRaiden Networkの開発チームが独自のICOをする意向を発表
- ICO以外でも資金調達方法がある中、Raiden開発チームはICOで資金調達を行おうとしている。
- 開発チームの計画にブテリン氏を含むイーサリアムコミュニティが反対している
- ICOは単なる金儲けのためとして、イーサリアムコミュニティが分裂する可能性がある。
イーサリアム共同設立者であるヴィタリック・ブテリン氏はRaiden Networkのイニシャル・コイン・オファリング(ICO)について言及しました。
彼は他のICOのアドバイザー株をオープンソース・インフラストラクチャー及び非営利活動だけに使用すると宣言しました。
『私は本日(9月24日)、自身の100%のOmiseGo やKyber Networkアドバイザー株をチャリティ(AMF、GiveD、SENSなど)または民間所有である第二層イーサリアムインフラ(ステイト・チャネル、マルチシグ・ウォレットなど)もしくは両方に寄付すると宣言します。イーサリアムインフラストラクチャーへ資金提供する際のルールは‘プロジェクトは100%オープンソースで、(ICOを含み)仕組まれた利益制度ではないこと’が条件です。』
ブテリン氏の第二層イーサリアムインフラや彼自身がアドバイザーとしてOmiseGoやKyber Networkなどの主要ブロックチェーンプロジェクトにて活躍し個人資金を得たスケーリングプロジェクトに対しての声明は、彼の開発チームであるRaiden NetworkがICO活動を計画していると発表した直後でした。
Raiden Networkはマイクロペイメントまたは低コスト取引を可能にする支払い方法を提供する公共のイーサリアムスケーリング計画です。
Raidenの開発チームは、イーサリアムネットワークと互換性のあるICOトークンを作成し、ネットワーク運営者に運営や監督をするようやる気を出させるために使用する予定です。
Raiden開発チームは小スケールかつ‘質素な’ICO活動を約束し、最低限のマーケティング及び必要最低限に抑えた資金調達などのプロジェクトの意向を共有しました。
しかしRaidenの発表はブテリン氏を含むイーサリアムコミュニティには簡単には受け入れてはもらえませんでした。
とりわけ、ブテリン氏はICOなしで資金調達を行おうとするオープンソースインフラ事業を支援するためにプライベートファンドを作成した、と強調します。
『現在オープンソースインフラ事業はICOやトークンなしで資金調達をするためにかなり苦戦しているが、これが少しでも状況を改善できればよい。』
とブテリン氏は説明します。
ユディ・ワーテイマー氏の『ブテリン氏の発表はRaiden開発チームのICO発表に対してしたのか』という質問に対しブテリン氏は、
『はい、そうです。NucoやAionなども考えていて、私はランボルギーニに乗るためにICOの助言をしているわけではないと明確にしたはずです。』
と答えました。
さらに、一部の大手イーサリアムコミュニティであるEthereum Subredditも長期イーサリアム支援者及び投資家の苦情を取り上げています。
9月23日Ethereum Subreddit (r/Ethereum)トップの投稿によると、
『本当に理解できません。資金調達に問題があるなら、確実に他の方法があるはずです。プロジェクトがイーサリアムインフラの重要な一部の候補になっていることに私は非常に興奮していました。なのになぜそれにトークンを必要とするのか理解し難いです。大金調達のためにあなたの信用をリスクにかけています。なぜRaidenにICOやトークンが必要なのか詳しく説明していただけますか?なぜイーサリアムではいけないのですか?』
と記されています。
複数のイーサリアム利用者及び分析者は『Raiden開発者はイーサリアムファンデーションに融資されていないため、独自の事業を支えるには資金調達は必要不可欠だ』と主張します。
他の者は、ビットコイン事業の一例であるLightning Networkは、安定したコードベースと正常機能するプロトタイプをICOではなく他の投資方法によって可能にした、と言います。
事実、Blockstreamなどの革新的な技術(ビットコイン取引を処理する人工衛星など)を始動したビットコインの実体はベンチャーキャピタルやエンジェル投資家などから資金を得ています。
ほとんどのイーサリアムコミュニティは特別暗号トークンを必要としないICO事業の出現に不安を抱いている中、一部のコミュニティメンバーはこれはフリーマーケットより出現した新しい形の資金調達方法だと楽天的な見方をしているようです。
Vitalik Buterin Speaks Out Against Raiden ICO, Vows to Donate Advisor Proceeds to Charity
2017年9月24日 Joseph Young
参考記事はこちらから
CoinPost考察
Raiden開発チームのICO計画によってイーサリアムコミュニティは再び分裂する可能性があります。資金調達には他の方法があるにもかかわらず、ICOを計画しているのでこれから意見が対立するイーサリアムコミュニティはどのようになっていくのでしょうか。
仮にICOをする場合でもそこで調達した資金を不透明に運用しなければ、ただの金儲けのためのICOだと考えられることはないと思いますが、これはICO後の話であり実行された場合のコミュニティ状況には注目です。
またこのような問題が起きる中、Raiden以外にもPlasmaやTruebitなど革新的な方法でイーサリアムの遅延問題に取り組んでいるプロジェクトは多数あるのでそこにも注目が集まります。