
証券インフラをオンチェーン化へ
暗号資産(仮想通貨)プラットフォームPlume Networkは7日、米証券取引委員会(SEC)からトランスファー・エージェントの資格を取得したことを発表した。PLUMEトークン価格は前日比21.5%高騰した。
トランスファー・エージェントは、株式などの有価証券の名義・記録管理を行う専門業者のことである。
Plume Networkは現実世界の資産をブロックチェーン上でトークン化し、DeFi(分散型金融)との統合を実現するレイヤー1プラットフォーム。6月に運用開始しており、Superstateなどと提携して初日から215億円超の資産を確保していた。
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Plume Networkは、これにより1兆ドル規模の米国証券市場をオンチェーン化するというミッションを加速させると意気込みを示した。SECと連携して完全に法的準拠したトークン化資本市場を構築する第一歩だとしている。
また、株主記録、取引、配当という従来型トランスファー・エージェントのインフラをオンチェーン化するとも続けた。株主名簿(キャップテーブル)をブロックチェーン上で管理しSECとDTCC(米国の証券決済機関)に直接報告する形だ。
その他、発行体と資産運用会社向けのオンチェーンでのファンド管理、コンプライアンスを損なうことがない、迅速な登録手続きを提供するとしている。
Plume Networkは、基盤はすでに整っているとも述べた。同ネットワーク上に構築されたRWA(現実資産)トークン・プロジェクトのNestが、わずか3か月で20万人以上のRWA保有者と6,200万ドル以上のトークン化資産を管理するようになったことを挙げている。
Plume Networkのメインネットの預かり資産総額(TVL)は記事執筆時現在で約2.9億ドル(約437億円)である。その中でNestのTVLは6,800万ドル(約102億円)で6位にランクインしているところだ。
Nestは、RWAトークン保有者が、その利回りを維持しながら、DeFiでもオンチェーン利回りを得ることを可能にしている。
RWAとは
「Real World Asset(現実資産)」の略。ブロックチェーン上でトークン化されるRWAには不動産、アート作品、トレーディングカード等の実物資産、株や債券等の有価証券などが含まれる。RWAのトークン化の可能性は、資産運用最大手ブラックロックらも注目している。
コインデスクによると、Plume Networkは合計39兆ドル超の資産を運用するSEC登録投資ファンド(40年法ファンド)のデジタル化を支援する準備が整ったとしている。
規制上の課題がまだあるものの、SECが2027年を目途に新たな規則を整備するにつれて軽減されると見込んでいるという。
トランプ政権下でSECは証券トークン化についても積極的な姿勢を示しているところだ。株式トークン化を可能にする規制変更について、すでに市場参加者と協議を行っていると報じられている。
背景としては、ナスダックが9月にトークン化証券取引の提供承認をSECに申請したことがあり、承認されれば、米国の主要証券取引所で初めてトークン化証券の取引が可能になる見込みだ。
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ロビンフッドも6月、米国の株やETFをトークン化した商品の取引サービスをEU(欧州連合)のユーザー向けに立ち上げている。
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