
企業とETFによるETH保有が加速
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)トレジャリー企業と、ETH現物ETF(上場投資信託)が現在、イーサリアム供給量の10%以上を保有している。
StrategicETHReserveのデータによると、67社のトレジャリー企業が約566万ETH、現物ETFが約683万ETHを保有しており、合計で約1,249万ETHに達したところだ。

出典:StrategicETHReserve
トレジャリー企業が供給量の約4.7%、現物ETFが約5.7%を占めており、合計は約10.4%となる。特に今年7月以降は、トレジャリー企業による蓄積の伸びが目立っている。

出典:SoSoValue
SoSoValueによると、米国のイーサリアム現物ETFには9月29日に、5.5億ドル(約840億円)の純流入があり、以来6日間連続で純流入の日が続いている。日次流入が5億ドルを超えるのは8月中旬以来の水準となった。
企業のイーサリアム保有額では、ビットマインが時価127億ドル(約1.9兆円)相当で首位、シャープリンクが38億ドル相当、ジ・イーサ・マシンが22億ドルと続いている。なお、4位はイーサリアム財団で10億ドル相当だ。
ビットマインは6日にも、1,234億円相当のイーサリアムを追加購入したと発表した。同社のトム・リー会長はイーサリアムのブロックチェーンは中立的であり、今後エージェント型AI(人工知能)や金融業界から採用される可能性が高いとしている。
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また、シャープリンクは7日、6月にイーサリアム・トレジャリー戦略を開始して以来の含み益が1,366億円を超えたと発表したところだ。速いペースで蓄積を続けている。
シャープリンクは以前より、保有するイーサリアムの一部をレイヤー2ネットワークでステーキングする意向を表明している。
シャープリンク会長で、コンセンシス創設者でもあるジョセフ・ルービン氏は先週、コンセンシスが2026年に、同社が開発するイーサリアムL2「Linea」関連でシャープリンクと提携する計画だと述べた。
シャープリンクがイーサリアムの一部を「Linea」でステーキングする可能性を示唆している。
一方で、ビットコイン(BTC)テクノロジー企業JAN3のサムソン・モウCEOは、韓国の個人投資家の資金がイーサリアム・トレジャリー企業を支えているとして注意を促している。
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現在、韓国ではイーサリアムに対する関心が過熱しており、韓国経済新聞が8月に報じたところによると、韓国の個人投資家が米ハイテク株から仮想通貨関連銘柄へ資金を移動、特にビットマインの株を1か月で約405億円も買っていた。
仮想通貨VCメカニズム・キャピタルのアンドリュー・カン創設者も、ビットマインのトム・リー会長は競合ブロックチェーンの台頭によるイーサリアム手数料収益の停滞などを考慮していないと指摘。イーサリアムは「数年にわたるレンジ相場にあり、抵抗線を突破できていない」と意見している。
レンジ相場とは
価格が一定の範囲の中で上下を繰り返している状態のことを指す。
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