はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

年金だけでは不足、金融庁が老後に2000万円必要とする理由|仮想通貨ビットコインの関心も拡大

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

金融庁が年金で不足する「2000万円」の貯蓄を推奨する理由
金融庁の最新報告書は、「年金制度」が事実上破綻する可能性を示唆した。時代背景から株や仮想通貨(ビットコイン)投資の関心も高まりつつあり、資産運用の重要性が一層高まっていくことが想定される。

金融庁が年金で不足する「2000万円」の貯蓄を推奨する理由

金融庁は3日、少子高齢化社会の加速を見据えた報告書を公表した。

年金頼みの生活設計が、事実上破綻する可能性を示唆した上で、老後に備えて金融資産「2000万円」の貯蓄が必要だとしている。株式や仮想通貨ビットコインを含め、若い内からの投資需要は、一層高まる可能性が高い。

これは、平成30年9月より、計12回にわたり、「高齢社会における金融サービスのあり方」など「国民の安定的な資産形成」を中心に検討・審議を行ってきた総括となる。

かつてない高齢化社会へ

金融庁は、金融を巡る特に大きな背景の変化として、国内における人口減少・高齢化(少子高齢化社会)問題を挙げ、「わが国の総人口が減少局面に移行した中、長寿化は年々進行し、「人生100年時代」と呼ばれるかつてない高齢社会を迎えようとしている。」と言及。未婚率の上昇も一因に挙げた。

医療技術の進展と相まって、令和時代の平均寿命は、「男性約81歳、女性約87歳」と大きく伸びる中、高齢社会の金融サービスについても議論しており、60歳に達した人口のうち、95歳までの生存割合は25.3%に及び、1995年(14.1%)のおよそ2倍近くになっていることを資料で示している。

出典:金融庁 資料

そんな中、「バブル崩壊以降、”失われた20年”とも呼ばれる景気停滞の中、賃金も長く伸び悩んできた」と記載。時系列で見ても、高齢の世帯を含む各世代の収入は全体的に低下傾向にあると指摘した。

注目すべきは、公的年金の水準については、今後調整されていくことが見込まれているとともに、税・保険料の負担も年々増加しており、少子高齢化を踏まえると、今後もこの傾向は一層強まることが見込まれるとしている点だ。各所で指摘されている通り、現行の「年金制度」の将来的な破綻を示唆していると言える。

老後に備えて2000万円が必要な理由

さらに金融庁は、「金融資産の保有状況は各人により様々であることから、平均的な姿をもって一概に述べることは難しい面があるが、全体的な傾向として、若年層よりもシニア層の方が全体に占める金融資産の保有割合が高く、この傾向は今後も続く見込みである。」と指摘した。

その上で、収入と支出の差である「不足額約5万円」が毎月発生する場合の試算として、「20年で約1,300万円、30年で約2,000万円」の取崩しが必要となるとしている。

出典:金融庁 資料

なお、支出については、特別支出(老人ホームなどの介護費用や住宅リフォーム費用など)を含んでいないことに留意が必要であるとしており、最低水準としている額面が上記の数字であると考えていることがわかる。

内閣府が実施した世論調査では、「老後の生活設計を考えたことがある」と回答した人は、全体で67.8%となっており、60代をトップに30代以上では軒並み50%上となっている。

しかし、資産寿命を延ばすために必要なこととして「現役で働く期間を延ばす」、「生活費の節約」を挙げる回答が多いが、「若いうちから少しずつ資産形成に取り組む」を挙げた層は3割に過ぎない。さらに、「老後に向け準備したい(した)公的年金以外の資産」として「証券投資(株式や債券、投資信託など)」を挙げた者は2割以下に留まっている。

投資を行わない理由として上位を占めているのが、

  • まとまった資金がない
  • 投資に関する知識がない
  • どのように有価証券を購入したらよいのかわからない

という回答であるという。

金融庁の総括

資料の最後に、「夫65歳以上、妻60歳以上」の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ20~30年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で、1,300万円~2,000万円になると改めて言及した。

出典:金融庁 資料

金融庁は、「生活資金やいざというときに備えた資金については、元本の保証されている預貯金等により確保しつつ、将来に向けて少額からでも長期・積立・分散投資による資産形成を行う」ことを前提にしている。

また、日本政府は『貯蓄から資産形成へ』というスローガンを掲げており、家計そのものにタックスインセンティブを与える仕組みを導入すべく、株式市場でも2014 年から非課税枠となる「NISA(少額投資非課税制度)」の仕組みを整備。特に30代から40代の資産形成層が長期の資産形成を行うにあたる制度的な仕組みとして、「つみたてNISA」や「iDeCo」を推奨しており、保有期間20年になるとプラスリターンに収斂するとしている。

しかし、給与所得のほかに資産形成・運用といった自助努力を行い、積立投資などの堅実かつ中・長期運用を中心に2000万円もの金融資産を貯めるのは、現実的には容易ではないだろう。

このような時代背景もあり、伝統金融商品である株式や投資信託に加え、少額資金から運用できる新しい資産クラスの仮想通貨ビットコインにも関心が集まっており、若年層における資産運用需要は将来的にますます高まっていくことが想定される。ただし、ボラティリティが高い分ハイリスク・ハイリターンとなりやすい金融商品には、余剰資金で投資を行うなど、金融リテラシーの向上も求められる。

CoinPostの関連記事

藤巻議員、ビットコインなどの仮想通貨ETFと税制面について金融庁と国税庁に質問|財政金融委員会
藤巻議員は財政金融委員会で、金融庁に対して「暗号資産ETF」に関して質問。ETFが実現した場合の税制面に加え、機関投資家が入りやすくなり、価格が安定するとのメリットを主張した。
金融庁や政府が仮想通貨を無視できない4つの理由
日本の仮想通貨規制当局として注目されている金融庁。先日金曜日には、登録業者6社に対して業務改善命令を行うなど、金融庁や政府が仮想通貨業界に対して対応を苦慮している中、仮想通貨業界を無視できない理由について考察致しました。
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/17 月曜日
20:08
暗号資産の金商法移行が本格化、分離課税実現へ最終局面=ブロックチェーン議連
金融庁が暗号資産を金商法に位置づけ、インサイダー取引規制を整備する方向を明示。業界団体は20%申告分離課税を要望。来年の通常国会での法整備を目指す。第31回ブロックチェーン推進議員連盟で議論。
17:41
IG証券、仮想通貨ETF CFD取引を終了へ 金融庁の新指針受け
IG証券が仮想通貨ETF CFD取引の終了を発表。金融庁が「望ましくない」との見解を示したことを受け、12月1日から新規建て停止、2026年1月末までに既存ポジションの決済が必要に。
16:43
ステーブルコイン取り付け発生ならECB金利再考も、オランダ中銀総裁が警告=FT報道
欧州中央銀行の政策委員がステーブルコインの取り付け騒ぎ発生時にはECBが金融政策見直しを迫られる可能性があると警告。米ドル建てステーブルコインの急拡大が欧州の金融主権に及ぼすリスクについて、ECB当局者や専門家の懸念が高まっている。
14:32
ハーバード大のビットコイン投資が急増 IBIT保有を前期比257%拡大
ハーバード大学がブラックロックのビットコイン現物ETF(IBIT)保有を257%増加し、685億円相当を保有していることが明らかになった。これによりIBITがポートフォリオ最大の銘柄となった。
12:15
金融庁、資金調達目的の暗号資産発行者への情報開示義務化へ=報道
金融庁は資金調達型暗号資産発行者に年1回の情報開示を義務化する方針。金融審議会では継続開示の必要性や頻度をめぐり議論が展開。ICO・IEOの構造的課題も指摘され、2026年の金商法改正案に盛り込まれる見通し。
11:40
デッドクロス形成のビットコイン、市場心理は「極度の恐怖(総悲観)」水準で推移
ビットコイン急落に伴いテクニカル指標は弱気のデッドクロスを形成している。FRB利下げ期待の後退を受け、投資家がリスク資産から安全資産へシフト。市場心理は「極度の恐怖(総悲観)」を示す水準まで悪化した。デリバティブ清算が連鎖しETF大規模償還につながったが、専門家は感謝祭後の回復を予測している。
11:30
「ビットコインは底値圏に達した」金融大手JPモルガンのアナリストらが見解
JPモルガンが、仮想通貨ビットコインの価格を生産コストの観点から分析。底値に到達したとの見解を示している。同社はビットコインの目標価格を17万ドルとしている。
10:45
カードン・キャピタル、888BTC取得完了 不動産とビットコインの融合プロジェクト
不動産投資大手カードン・キャピタルが「101 Mizner Boca Bitcoinプロジェクト」向けに888BTCの取得を完了。年内で3,000BTC超を購入し、不動産収益でビットコインを継続購入する独自の融合モデルを展開。マイクロストラテジー戦略を不動産に応用した新たな投資手法として注目を集める。
09:49
アーサー・ヘイズ、保有していたアルトコイン大量売却か 実際の価値提供が必要との意見も
著名仮想通貨アナリストのアーサー・ヘイズ氏がイーサリアムやエセナなどのアルトコインを大量売却している。専門家は4年サイクル論の終焉と実需の重要性を指摘している。
11/16 日曜日
16:22
金融庁、暗号資産105銘柄の「金融商品」扱いを検討 金商法適用へ=報道
金融庁は暗号資産に金融商品取引法を適用し、交換業者が取り扱う105銘柄に情報開示とインサイダー取引規制を導入する方針。税率は最大55%から株式と同じ20%への引き下げを検討。2026年の通常国会で改正案提出を目指す。
14:00
今週の主要仮想通貨材料まとめ、XRP現物ETFの米上場や世界初のZcash保有企業の91億円調達など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナ、ジーキャッシュといった主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:30
ビットコイン、下値余地残すも反発は時間の問題か|bitbankアナリスト寄稿
今週のBTC相場は1530万円周辺で推移。米政府機関閉鎖解除後もハイテク株軟調で上値重い展開。12月FOMC前の経済指標不足が懸念材料に。一方、STH損失レシオが95%超となり売られ過ぎの水準。オプションOI分析では9.5万ドルがターゲットに。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|米史上最長の政府閉鎖終了に高い関心
今週は『金持ち父さん貧乏父さん』著者ロバート・キヨサキ氏によるビットコイン・金・銀の価格予想、堀田丸正のBitcoin Japanへの社名変更、米政府の閉鎖終了に関する記事が関心を集めた。
11/15 土曜日
13:55
続落するイーサリアム、長期保有者が1日4.5万ETH超を売却=グラスノード
グラスノードによると、イーサリアムの3年から10年保有者が1日あたり平均4万5000ETH超を売却している。イーサリアム現物ETFも13日に2億6000万ドルの純流出を記録し売圧を高めている。
13:20
リミックスポイント決算発表、仮想通貨評価益で売上高が大幅増加
リミックスポイントが2025年4~9月期決算を発表した。仮想通貨評価益で売上高が大幅増加している。同社はビットコイン、イーサリアムなどの仮想通貨を財務資産として蓄積している。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧