北米の上場マイニング企業が7月に好成績
北米の暗号資産(仮想通貨)マイニング大手5社のビットコイン(BTC)採掘量が、7月に60%近く増加していたことが分かった。中国政府の取り締まり強化により、競争相手である中国のマイニング事業が閉鎖に追い込まれ、採掘を停止したことが大きな要因とみられる。
北米の上場ビットコインマイニング企業5社(Marathon Digital、Riot Blockchain、Argo Blockchain、Bitfarm、Hut8)は、7月に合計1,802BTCのビットコインを採掘。実質的にハッシュレートを増加させていないにもかかわらず、7月は著しく生産性が高くなった。
ハッシュレート
マイニングの採掘速度のこと。単位は「hash/s」。「s」は「second=秒」で、「1秒間に何回計算ができるか」を表す。マイニング機器の処理能力を表す際や仮想通貨のマイニングがどれくらいのスピードで行われるかを示す指標として用いる。
▶️仮想通貨用語集
6月に中国が国内のマイニングファームに操業停止命令を出したことで、7月には、ビットコイン採掘難易度が大幅に低下。その結果、中国以外のビットコインマイニングプールやマイニング事業のシェアが大きく増加した格好だ。
次の表は、各社の月間ビットコイン採掘量と前月比の成長率を示したものである。データは各社の財務情報に基づいている。左から、企業名、7月実績、6月実績、月次成長率を表す。
ナスダックに上場しているMarathon Digital(マラソン・デジタル)とRiot Blockchain(ライオット・ブロックチェーン)は、7月にほとんどマイニングマシンの追加配備を行っていないが、どちらも前月比50%以上の成長を記録した。
Marathonは7月30日時点で、最新世代のビットコインマイニングマシンを約1万9,000台保有しており、これも6月30日時点から変わっていない。また、Riot Blockchainも、最近受け取ったマシンの設置が8月に延びたことを発表していたところだ。
マイニング地勢図変化の恩恵
MarathonのFred Thiel CEOは、「世界のハッシュレートの状況に好ましい変化が起こったことで、7月は当社のマイニング事業にとって非常に生産性の高い月になった」とコメント。中国の取り締まりにより、マイニング地勢図が変化したことを示唆した。
同様に、ロンドン証券取引所に上場しているArgo Blockchain(アルゴ・ブロックチェーン)のPeter Wall CEOも、7月の成長について「世界的なハッシュレートと採掘難易度の低下を利用することができた」と述べた。Argoはカナダの施設を拠点としており、ナスダックへの上場も申請中だ。
また、カナダの上場企業ビットファームは、中国における最近の出来事により「以前の予想よりも多くのビットコインをバランスシートに蓄積することができる」ようになったと見込んでいる。
一方で、米国に上場しているビットコインマイニング事業者の中にも、中国の政策変更の影響を被った企業はある。
これまで中国国内でマイニング事業を行っていたBIT Miningや、BIT Digital、The9 Cityは、大きな影響を受けており、カザフスタン、ロシア、米国などの地域にマシンを移す計画を立てているところだ。
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