曖昧なSEC提案
米証券取引委員会(SEC)が提案した「取引所」の定義に関する規則改正案について、暗号資産(仮想通貨)業界がこぞって反論している。
米仮想通貨政策シンクタンク「Coincenter」やイーサリアム開発企業「ConsenSys」をはじめ、米VC大手Andreessen Horowitz(a16z)など、名だたる業界の主要企業が、SECに異議申し立ての書簡を提出した。
SECは今年1月と3月の2回にわたり、1934年制定の証券取引所法における「取引所」の定義拡大を提案。広く一般からの意見提出を呼びかけた。今回、パブリックコメント提出に与えられた期間は30日で(通常60日間)、4月18日が期限となっていた。
SECへの異議申し立てでは、改正案が「不必要に広い文言」を使用しており、DeFi(分散型金融)システムやプロトコルなどの技術にも、新たな解釈が適用されかねないとして、「重大な懸念」を表明。SECに規則の再提案を求めている。
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ConsenSysの主張
ConsenSysのBill Hughesグローバル規制ディレクターは、同社の異議申し立て(20ページの書簡)の要旨を、一連のツィートに簡潔にまとめている。
We (@ConsenSys) have submitted a comment in response to @SECGov 's proposal to expand the definition of a securities “exchange” to cover “communication protocol systems”. We encourage you to read it here: https://t.co/NKDXk2hcNz.
— wchughes.eth 🦊 (@BillHughesDC) April 18, 2022
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SECは取引所の定義を拡大し「通信プロトコルシステム」を含めることを提案。一方で、改正案では、ブロックチェーンシステムへの言及は全くなされておらず、規制分野に含まれるとは考えにくい。しかし同時に、提案の文言は広範囲に提供可能なため、懸念が残る。
そのため、最終規則では、ブロックチェーンシステムが除外されることを明確にするよう要請する。
もし、「広範な表現」がブロックチェーンシステムに及ぶ場合、証券取引所法、行政手続法、そして憲法修正第1条に違反することになる。(以上ツィート要約)
Coincenterも改正案は「不適切に広い登録基準」を生むことになり、ソフトウェア開発者やエンジニアの言論活動まで、事前に抑制してしまうとして、違憲であると主張している。
a16zの主張
a16zはSECの改正案について、以下のような懸念を表明した。
- この提案がDeFi プロトコルへの適用を意図しているかどうかが不明確である。
デジタル資産全般やDeFiプロトコルに関する明示的な言及がなく、関連する経済効果分析も全くなされていない。規制の不確実性を高め、イノベーションの阻害につながる。
- 分散型プロトコルが、適用される登録要件をどのような形で遵守可能なのかについて、現実的な言及がない。仲介者の介入を前提として設計された規制の適用は、不確実性を助長する。
- SECの改正案は、行政手続法(APA)に基づき、いくつかの重大な懸念がある。
デジタル資産やDeFiについて何ら言及していない一方で、遵守義務が課されるDeFiシステムにコストのかかる不確実性を押し付けている。
DeFi市場参加者のブローカー・ディーラーとしての登録や、登録義務付けによる経済的影響についても議論されていない。
以上のような理由から、a16zはSECに本提案がDeFiシステムには適用されないことを、明確に記すよう要請した。さらに、a16zはSECがその規制を求める権限において、憲法および法的限度を超えている可能性があると警告。このような欠点に対処した新たな提案の提出を求めた。
DeFi(分散型金融)
DeFi(分散型金融)とは、ブロックチェーンを活用し、中央管理者不在の状態で行われる金融サービス、またはそのシステムを指す。「Decentralized Finance」の略。DeFiで行われる金融サービスには、ステーブルコインの発行や通貨の貸出、仮想通貨取引所などがある。イーサリアムのブロックチェーンを利用しているプラットフォームが多い。
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連邦議員も問題視
4月18日、米下院金融サービス委員会のPatrick McHenry議員と資家保護・起業・資本市場小委員会のBill Huizenga下院議員は、SECのGensler議長宛に、同委員会による改正案を批判する書簡を提出した。
書簡では、改正案による「取引所」の定義の拡大や、「ディーラー」の定義における「通常業務の一環としての」の変更が、イノベーションを阻害する可能性について訴えるとともに、パブリックコメントの期間を少なくとも60日間とし、関係者からの十分なインプットが得られるように要請した。
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