仮想通貨市況
10日のニューヨーク株式市場は、ダウが前日比880ドル(2.73%)安、ナスダックが前日比414.2ドル(3.52%)安と大幅安となった。
これを受け、週明け13日の東京株式市場では、日経平均株価が前週末比735.43円(2.64%)安と急落した。
大幅下落の背景として、10日夜に発表された先月のCPI(米消費者物価指数)が挙げられる。前年同月比8.6%上昇で40年ぶりの高水準を更新し、市場を予想を上回って着地した。記録的なインフレ長期化とリセッション(景気後退)リスク、FRB(米連邦準備制度)による金融引き締め加速への懸念が高まった。
これに伴う長期金利上昇は、株やビットコイン(BTC)などのリスク資産の下押し要因だ。13日の暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比8.54%安の338万円(25,000ドル)と暴落。12日の年初来安値を割り込んだ。
「トロンDAOリザーブ」は11日、USDDの準備金として67億円相当のビットコインを購入した。
To safeguard the overall blockchain industry and crypto market, TRON DAO Reserve is buying $50 million worth of #BTC and #TRX for reserve.
— TRON DAO Reserve (@trondaoreserve) June 11, 2022
関連:トロンDAO、USDDの準備金として67億円相当のビットコインとTRXを購入
今年5月にローンチされたトロン基盤のUSDD(Decentralized USD)は、ルナ(LUNA)を裏付け資産としたアルゴリズム型ステーブルコイン「UST(TerraUSD)」を模倣した仕組みだ。
先日発生したUSTショックでは、Luna Foundation Guard(LFG)がディペッグ解消のため、準備資産として大量保有していた8万BTCを売却したことがFUD(恐怖、不安、疑念)を増幅させたとされ、市場関係者からは同様のシナリオへの懸念の声が上がった。
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イーサリアム(ETH)
イーサリアム価格は、前日比9.84%安に。
昨年11月に記録した最高値から70%以上下落し、2017〜2018年の仮想通貨バブルの最高値1420ドルを下回った。
21年5月の暴落時に持ち堪えた1700ドルのサポートライン(下値支持線)を割り込み、下落が加速した。
Coinglassのデータによれば、暗号資産(仮想通貨)先物市場では、過去24時間でETHのロングポジション2億4500万ドル相当が強制清算された。
11日には、Lido Financeのステーキング報酬で得ることができる債権トークン「stETH」の価格下落も市場の懸念材料となった。
その価値を1:1でETHに裏付けられ、ビーコンチェーンとのマージ成功後に償還可能なstETHには、アルゴリズム型ステーブルコインであるTerraUSD(UST)のようなデススパイラルによる崩壊リスクはないとされる。
しかし、ETH価値とのディペッグが進んだ場合、レンディングプロトコルCelsiusでの取り付け騒ぎ、及びstETHの価値を担保にDeFi(分散型金融)レンディング市場などでレバレッジを効かせて利回りを追うユーザーの連鎖清算リスクが懸念される。
Celsius $CEL is functionally insolvent on their ETH position.
— yieldchad (@yieldchad) June 5, 2022
Only 27% of Celsius' ETH is liquid, the rest is either stETH or staked in ETH2, so inaccessible for at least 1 year.
If withdrawals continue at the current pace of…(1/x) https://t.co/Q1xmWeDqc9 pic.twitter.com/4OyCylBw0F
Celsiusは13日、極端な市場環境を理由に「出金・スワップ」機能の一時停止を発表した。
.@CelsiusNetwork is pausing all withdrawals, Swap, and transfers between accounts. Acting in the interest of our community is our top priority. Our operations continue and we will continue to share information with the community. More here: https://t.co/CvjORUICs2
— Celsius (@CelsiusNetwork) June 13, 2022
またイーサリアム(ETH)のリード開発者であるTimBeiko氏は10日、マイニング(採掘)の難易度を上げる「難易度爆弾(ディフィカルティボム)」の発動を2022年8月まで延期することを提案した。最大500,000ブロック(約2ヶ月)遅延する可能性がある。
In short, we agreed to the bomb delay. We were already over time, and want to be sure that we sanity check all the numbers before selecting an exact delay and deployment time, but we are aiming for a ~2 month delay, and for the upgrade to go live late June.
— Tim Beiko | timbeiko.eth 🐼 (@TimBeiko) June 10, 2022
最も古いテストネットRopstenのマージの過程で発見されたバグの修正が必要な状況にあり、ディフィカルティボムの発動は、プルーフオブステーク(PoS)コンセンサスモデル移行への最終局面を示すものだ。
次は、メインネットマージ前のドレスリハーサルとして、Goerliテストネットのマージを予定する。
詳細:イーサリアム、Ropstenテストネットの「The Merge」実行間近に
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