Web3によって進化するDAO
DAO(自律分散型組織)はWeb3において重要な概念であり、新たな組織の在り方として注目されています。2022年はDAO元年とも呼ばれ、多くの仮想通貨プロジェクトが自前のトークンを持つなどして、DAOの構築を模索してきた年でもありました。
多くのDAO向けのサービス、ツールが登場し、革新的な試みも見られる一方で、DAOにおけるインセンティブのあり方は課題をはらんでおり、議論は尽きていません。
オントロジーのOWN Insightsシリーズでは、業界のリーダーを招き彼らのWeb3産業についての知見を共有して頂いています。シリーズ全体を通して彼らの考えを学び、このインターネットの新しい流れをより理解できるようになるでしょう。
今回は、オントロジーコミュニティ責任者であるハンプティ・カルデロン氏に、DAO(自律分散型組織)について寄稿いただきました。
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DAOの可能性
Web3はとてつもない可能性を秘めた分野であり、金融の民主化革命を前進させる上で、DeFiは大きな意味を持ちます。また、人々は意義のある方法と価値観で他者に影響を与えたいと考える様になっています。
DAO(自律分散型組織)はこの1年、価値や目的の共有をもたらすメカニズムとして機能することを証明してきました。共通の使命を持った人々が、複雑な問題を様々なツールや方法によって共に解決するべく、それらの信念のもと組織化されています。
現状、ほとんどのDAOはサービス、プロトコル、投資、助成金、コレクター、ソーシャル、およびメディアのグループに分類できます。DAOが成長し成熟し続けるにつれて、需要に伴ったより小さな枠のカテゴリーも増えていくことでしょう。
DAOツールも、わずか1年前から進化しており、DAOとの対話はより複雑になっています。単純なウォレットとソーシャルプラットフォームから、マルチシグ、オペレーティング システム、P2P補償、投票プラットフォーム、そして最近ではタスクやバウンティ(報酬)管理ツールも公開されるようになりました。Gnosis Safe、Snapshot、CollabLand、Coordinapeといった傑出したツールは、DAOによる革命をリードしています。
DAOは不可逆的なものであるように思われ、実際に新しい斬新なDAOの需要は加速しています。「ConstitutionDAO」のようなプロジェクト(アメリカ合衆国憲法の原本の一つをオークションで落札するための資金調達プロジェクト)は、多くのDAO創設者候補の想像力を掻き立て、世界に影響を与えたいという同じ熱意、コミットメント、欲求を共有する人々によってアイデアを加速させてきました。
DAOとそのツールが進化するにつれて、プロジェクトや貢献者を管理およびサポートするためのより堅牢なメカニズムを作成するために、DAOを構成するコミュニティからの要求も高まっています。
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DAOに改善が必要な領域とは
メンバーのオンボーディング(DAOへの参加)はこれまで、参加者に配られるトークンによって導かれてきたといえます。多くのDAOはトークンを使用してコミュニティの管理を行い、インセンティブとして利用しています。
また、これらのトークンを配布するために、プラットフォームのユーザーと価値に沿ったプロジェクトとプロトコルにエアドロップを実行し、これらの個人をコミュニティの構築とガバナンスに参加するためオンボードさせることを目指しています。これはまだ完全とはいえませんが、しばらくの間機能してきたプラクティス(慣例)といえるでしょう。
最近では、エアドロップを使用してDAOメンバーをオンボードする方法が進化しています。より包括的な「チェックリスト」を使用して、エアドロップ受信者とプロジェクトまたはプロトコルとのやり取りを定量的に測ることができるようになっています。プロジェクトのガバナンスプロセスを紹介し、エアドロップを受け入れる前に参加を開始するために、追加の手順が実行される場合もあります。その目的は、DAOの使命に賛同し、積極的で価値のある貢献者になる可能性が高い個人を見つけることです。
オンボーディングが完了したら、DAOは影響力の大きい貢献者を維持する方法を見つけなければなりません。助成金、報奨金、または役割ベースの支払いを通じて、DAOは貢献者にインセンティブを与えて価値を創造し、エコシステムを成長させます。
このプロセスにより、DAOへの参加に関心のある人は、誰でもあまり労力をかけずに参加することが出来るようになります。また、これは初期の貢献者からの貢献を促進するためにうまく機能するプロセスです。ただし、DAO が成熟するにつれて、そのインセンティブは、エコシステムに多大な価値を生み出したベテランの貢献者に合わないことが課題となってきます。長年のメンバーは、彼らの貢献を同じように評価するバウンティと役割を求めて、新しいメンバーと競争することになるかもしれません。
DAOのガバナンスは、常にではないにしても、多くの場合、トークンの保有を通じて行われます。所有するトークンが多いほど、DAOでの声は大きくなります。この方法は初期の段階では参加者が対等に近いためうまく機能する傾向があります。ただし、個人がDAOに貢献するにつれ、ある個人が生み出す価値は他の個人とは異なっていくことになります。
これは、後で参加する可能性があるにはあるが、あまり頻繁に貢献しない、またはまったく貢献しないトークンの大量所有者に関して特に当てはまります。従って、DAOのニーズにもっと同調しているかもしれない熱心で頻繁な貢献者の声は、形だけの富を持つ人々によってかき消される可能性があります。これは、DAOの価値観と一致しておらず、DAOを形成することに関心がある人や、DAOを構築している人に有利な結果に歪曲する可能性があります。
DAOの今後の見通し
とはいえ、DAOの未来は明るいです。最近、非常に影響力のある人物によって書かれた記事、ブログ、および論文等を通じて、分散型コミュニティに関連する自己主権のアイデンティティと評価システムに多くの注目が集まっています。これにより、分散型識別子 (DID)、検証可能な資格情報 (VC)、および譲渡不可のNFT(SBT:Soulboundトークン)を活用する新たな開発の波が生まれました。
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各プロジェクトは、DAOでのユースケースを特定するために、これらの新しい技術を試しています。これらが、個人の評判を解き放ち、よりダイナミックで公正なオンボーディング、インセンティブ、およびガバナンスの実践を生み出すことができるのではないかと期待されているのです。
DAOおよびWeb3全般における新しくエキサイティングな始まりとなるのは明らかでしょう。個人的にも、私たち自身の目の前で進化し続けるこの新たな空間を探求し、構築する機会が与えられていることに興奮しています。
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