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Web3は能動的な「表現者経済」をつくる|Ontology寄稿 オントロジー主任研究員Kendall Mao氏による考察

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

1. 導入

インターネットは、情報の共有および交換を目的として誕生しました。

技術の発展に伴い、インターネットのプロバイダーは、情報を表示するための入口から、コンテンツ作成用のポータルへと完全に姿を変えており、この変化は「Web1からWeb2への変遷」と呼ばれています。

ユーザーもまた、「受動的」な受け手から「双方向」の参加者へと変容してきました。現在、検索エンジンや知識コミュニティ、またソーシャルネットワーキング用サイトや動画アプリに至るまで、どのようなものであろうと、インターネット上にあるプラットフォームのほとんどは、双方向で参加してくれるユーザーに依存しています。

インターネットは人類の生活に欠かせないものになっていますが、インターネットがこれほどまでの規模に発展したのは、このような変容があったからです。

関連:Web 3.0により発揮されるインターネットの真価とは

2. 「関心経済」における能動性の欠如

インターネットの繁栄および発展の裏には、情報過多という現実が存在しています。これにより「関心(attention)」が重要な資源となり、あらゆるプラットフォームおよびクリエイターは、競ってこの「関心」を獲得しようとしました。

ユーザーのニーズに応じユーザーの関心を獲得することにより、プラットフォームは大きな利益を上げてきました。そしてプラットフォームは、クリエイターが作成したコンテンツだけでなく消費者の行動や嗜好も含む、莫大な量のユーザーデータを集積するに至りました。

このようなデータは、プラットフォームにとって最も価値のある財産です。人工知能や機械学習などのツールを利用したデータ分析により、プラットフォームは古参ユーザーを囲い込み、新規ユーザーを惹きつけ、高い利益を生み出すことが可能になっています。その分野で最良のプラットフォームになることができるようデータが導いてくれるのです。

関連:ユーザーデータとプライバシー保護に分散化が不可欠な理由とは|Ontology(オントロジー)寄稿

この文脈から考えると、クリエイターは、大規模なユーザーの関心を集めることができるトップレベルのプラットフォームへと移行しなければならないことになります。ネットワーク効果を通じて支配的な地位を占有しているプラットフォームは、消費者を頑丈に囲い込んで利益の大部分を受け取っている一方で、クリエイターが受け取る報酬は、彼らの努力に見合ったものではありません。

同時に、プラットフォーム上にあるオススメ機能のアルゴリズムにより表示される閲覧数および「いいね」の数が、クリエイターにとっては重苦しい指標となっています。そのため、クリエイターは深遠なコンテンツの作成を避け、その代わりに大人数を喜ばせ、より多くのオーディエンスの関心に応えられるような方向性を目指すようになります。これにより、クリエイターのコンテンツが均一なものになってしまうという課題が生まれ、クリエイターはより表面的に、コンテンツはより拡散を求めるものとなってしまいました。

プラットフォームとの制作関係を再考したクリエイターは、Web2時代の「関心経済」において、クリエイターとプラットフォームが強固に結びついており、クリエイターの努力に見合う報酬がプラットフォームから支払われていないということに気がつきました。プラットフォームが管理しているのは、クリエイターへの報酬仕様やその額だけではありません。ファンを他へ移行させたりファンとの関わり方を自由に変更できないなど、その管理はクリエイターの行動にまで及びます。これは、クリエイターの熱意に影響を与え、そのせいで彼らはより複雑で深みのあるコンテンツを「積極的」に探求および作成することを躊躇してしまいます。

関連:YouTubeロードマップ2022「Web3.0やNFTはクリエイターに新たな機会をもたらす」

3. クリエイターの表現力を活かしたコンテンツ作成を可能にする「表現者経済」とは

ここ2〜3年のWeb2では、「関心経済」によりインターネットは輝かしい成長を遂げました。

しかしプラットフォーム内では、クリエイターは最下層に位置しており、悪循環に陥っていることが窺えます。クリエイターの権利および意見は蔑ろにされ、彼らは大衆のニーズに応えるしかなくなってきています。実際、「関心経済」自体も消費者および大衆を惹きつけるような、偏った設計になっています。この経済モデルでは、クリエイターは「関与(interaction)」のレベルに留まるしかないのです。

Web3の出現、または分散型の協業モデルの台頭により、この問題への根本的な解決策が提示されるかもしれません。Web3では、ユーザーは自身のデータおよびコンテンツの所有権を取り戻すことができます。これによりプラットフォームによるコンテンツおよび価格設定方法の独占に終止符が打たれるかもしれません。クリエイターへの報酬分配および報酬額に関しては大きな改善が見られており、プラットフォームおよびプラットフォームが抱える厚いファン層への依存はなくなってきています。

関連:オントロジーが構築する、ユーザー所有権を通じた分散型社会|Ontology寄稿

クリエイターは、高品質なコンテンツを頼りに興味のある人を惹きつけ、大きな利益を産むことができます。これはクリエイターのモチベーションとなり、「積極的に」深く含蓄のあるコンテンツを作成するようになるでしょう。消費者もただ単にクリエイターが提示したコンテンツを消費するだけではありません。分散型組織の形を取ることにより、これから芽が出るかもしれないクリエイターに投資できます。

このような形式では、クリエイターは大勢の「関心」を求める必要はありません。その代わりに質の高いユーザーからの購入や投資を目的としたコンテンツの作成に集中し、自身の「表現力」を「積極的」かつ存分に発揮することができます。また質の高いコンテンツと質の高いファンの間には好循環が生まれるため、相互に有益な関係性が構築されます。

私たちは、このようにWeb3で見られる「表現力」と報酬の間にある有益な相関性を、「表現者経済」と呼んでいます。この「表現力」とは、ただ単に各クリエイターの表現力を意味しているだけではありません。クリエイターがファンを初めとした関連ユーザーと築き上げる協力的な分散型組織における表現力も含まれています。

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4. 結論

ブロックチェーン基盤のWeb3により、ユーザーが自身のアイデンティティおよびデータの管理権を掌握できるという、インターネットの最も優れた特徴の一つがもたらされています。

このようなネットワークでは、分散型IDを基軸に、NFTおよび検証可能な証明書をオンチェーンおよびオフチェーンのデータ検証の証明に利用することにより、分散的に協業できる制作関係が形成されます。

これによりインターネットの発展は、新たな方向へと舵を切るようになるでしょう。我々ができることは、これを見守り、これに関与し、そしてこれを基盤に構築することです。

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