はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

米マイクロストラテジー、ビットコイン担保融資の清算ラインは?

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

MicroStrategyのBTC投資評価

米上場企業として暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)を最も保有しているマイクロストラテジー社の財務状況について、海外メディアBlockworks researchが25日に分析レポートを公開した。

仮想通貨“冬の時代”に投資会社Three Arrows Capital、融資プラットフォームCelsius、仮想通貨取引所FTXと業界の大型企業の経営破綻により、債務問題が業界中に飛び火。融資大手Genesis Capitalも流動性問題に直面するなど、業界各社への警戒感が高まっている。

そうした経緯から、同レポートはマイクロストラテジーのBTC投資行動の資金源の一部分を占める「担保付き融資」を中心に、清算ラインやマージンコールに対応する財務体力に焦点を充てている。

関連:米マイクロストラテジー、ビットコイン買い増しの資金を調達へ

利息が増大

マイクロストラテジーは2020年8月からビットコインを購入し始め、執筆時点に約2,900億円(約20億8,000万ドル)相当に当たる13万BTCを保有している。平均取得単価は約417万円(3万ドル)で約5,540億円(39億8,000万ドル)を費やした計算だ。*為替レートは全て22年11月26日時点

ビットコイン購入に関して同社の長期負債総額は3,297億円(23億7,000万ドル)。このうち転換社債(Convertibe Notes)は0.75%の低金利であり、NASDAQまたはNYSEの上場廃止にならない限り、早期の全額返済を求められる恐れがないためリスクから除外されている。

しかし、BTC購入資金を調達する目的で2度実施した担保付債券の発行により、債務の利息が拡大しておりマイクロストラテジーの業績を圧迫しつつある。

出典:Blockworks research

上図によると、22年1月1日〜22年9月30日にかけて、マイクロストラテジーがBTC関連債務の利息として支払った額は約30億円(2,200万ドル)に上る。一方、同社の主力事業(ソフトウェア)の営業利益は低下しており、約93億円(6,700万ドル)の手元キャッシュフロー(現金及び現金同等物の期末残高)を加味しても、2023年内には追加流動性の確保が必要になる恐れがある。

出典:出典:Blockworks research

マイクロストラテジーは担保付き債権の担保として保有するBTCを一部差し出してきたが、それでも手元には8,5000 BTCが残されている。これらを担保に、さらなる融資を組んだり直接換金して利息の支払いに充てることも推測される。一方、マイクロストラテジーの会長になったマイケル・セイラー氏は随一のビットコイン支持者と知られ、ビットコインを売却しないという方針をこれまで示してきた。

関連「ビットコイン投資戦略に専念」米マイクロストラテジーのセイラーCEOが会長に

ローンの清算ライン

差し当たって重要となる融資契約は、22年3月に米Silvergate銀と交わした、25年を期限とする担保付ローンである。当時8億2,000万ドル(19,466BTC)を担保に2.05億ドルを借り入れた。22年6月には担保に10,585BTCが追加されており、22年9月末時点の担保総量は30,051BTC(@16,000ドル換算で4.8億ドル)。

この契約はLTV(ローン・トゥ・バリュー)比率が50%を上回るとマージンコールが発動する。つまり、ビットコインが13,644ドルを下回るとマイクロストラテジーはLTVを25%以下に抑えるために担保BTCの追加やローンの一部返済が求められる。

また、21年6月にJefferies LLCから5億ドルを調達した28年を満期とする担保付債券は、年利6.125%と割高な利息を半期ごとに支払う必要がある点で重要だ。本融資の担保の一部として22年9月末時点に14,890BTCが預けられており、その清算ラインはBTC価格約50万円(3,561ドル)と比較的離れているが、いくつかの要件をクリアしなければ満期が前倒しされる条項がある。

関連:マイクロストラテジーの子会社、ビットコイン担保で250億円調達

全体的に比較的清算ラインまで距離があり、流動性の補填余地も残されていることを受けてBlockworks researchは「当分の間マイクロストラテジーはビットコイン市場に対して直接的なリスクをもたらさない」と結論づけた。ただし、年間30億円強の利息の支払いに留意して、「同社の経営成績及び財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性がある」と付け加えている。

関連:米マイクロストラテジー、約9億円分のビットコインを買い増し

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/03 水曜日
13:40
カルシが米CNNの公式パートナーに、予測市場のリアルタイムデータを報道に統合
米予測市場プラットフォームのカルシがCNNと提携し公式予測市場パートナーになった。カルシのリアルタイムデータがCNN番組全体に統合され、政治的・文化的イベントの確率情報を報道に活用する。ソラナ上でのトークン化予測市場も開始した。
12:45
ストラテジーCEO「米ドル準備金でビットコイン売却回避」、配当戦略を語る
米ストラテジー社CEOが今後の準備金や配当戦略を詳細に説明した。米ドル準備金で当面の配当資金を確保し、ビットコイン売却を回避する。レンディング参入の可能性も示唆した。
12:14
イーロンの「Xマネー」決済システム開発で人材募集 ソラナが支援表明
イーロン・マスク氏のX Moneyが決済プラットフォームの技術責任者を募集。ソラナが協力を表明し、仮想通貨統合の可能性に注目が集まる。WeChat型スーパーアプリ実現への動きを解説。
10:32
「資産トークン化が金融のあり方を変革」ブラックロックのフィンクCEOらが論説
ブラックロックのフィンクCEOらが現実資産(RWA)トークン化の可能性を様々な観点から解説した。トークン化の2つの大きな利点や規制当局の役割などにも言及している。
10:15
Trust Wallet、予測市場へのアクセス機能をローンチ
仮想通貨ウォレットのTrust Walletは、予測市場にアクセスできる機能をローンチ。まずはMyriad、ポリマーケット、カルシの3つの予測市場に対応する。
09:49
クラーケン、Backed買収 米国株のトークン化取引を拡大
仮想通貨取引所クラーケンがスイスのBacked Finance買収を発表。トークン化株式サービス「xStocks」は半年で取引高100億ドルを突破。RWA市場は2028年に2兆ドル規模へ成長見込み。
07:25
欧州10銀行がユーロ連動ステーブルコイン発行へ、2026年後半に開始予定
INGやBNPパリバなど欧州10銀行がユーロ連動ステーブルコイン発行を計画中。新会社キバリスを設立し2026年後半の発行を目指す。
07:15
バンカメ「資産管理サービスの顧客は仮想通貨投資を検討すべき」
バンク・オブ・アメリカは、資産管理サービスの顧客に対しポートフォリオの最大4%を仮想通貨などのデジタル資産に配分するように推奨していることがわかった。ビットコイン現物ETFも投資対象にする計画だ。
06:45
トム・リーのビットマインが継続的にイーサリアムを押し目買い、3日間で110億円相当
ビットマインが市場下落局面でも3日間に110億円相当のイーサリアムを追加購入した。同社は約373万ETHを保有し総供給量5%保有の目標に向け62%まで進捗。
06:25
米CME、ビットコインの恐怖指数VIXなどの新ベンチマークを導入
米CMEがビットコイン、イーサリアム、ソラナ、XRPを対象とした仮想通貨ベンチマーク指数を導入した。ビットコインのボラティリティを追跡する指数は株式市場のVIXに相当し、機関投資家のリスク管理ツールとなる。
05:55
チェーンリンク初の現物ETFがNYSEで取引開始、グレースケール「GLNK」
仮想通貨チェーンリンクの初の現物ETFが3日にニューヨーク証券取引所で取引を開始した。グレースケールがGLNKとして上場し運用資産は1700万ドル超となっている。
05:40
米SEC委員長が仮想通貨向け「イノベーション免除」導入へ、資金調達環境の改善を重視
米SECのアトキンス委員長が仮想通貨セクター向けの「イノベーション免除」導入を表明した。新たな法律を待たずにイノベーションを促進する方針で、2005年以降改革されていない開示規制の包括的見直しも発表した。
12/02 火曜日
18:36
AIがスマートコントラクト脆弱性6億9000万円分を発見 防御活用にも期待=レポート
Anthropicの研究で、AIエージェントがスマートコントラクト脆弱性6億9000万円分を発見。2025年3月以降の34件で460万ドル相当の攻撃に成功し、新たに2件のゼロデイ脆弱性も発見。攻撃収益は1.3カ月ごとに倍増しており、防御活用が急務に。
18:00
イーサリアムの買い方|初心者向け取引所比較とリスク・税金まで解説
米国初のビットコインETF承認の影響でBTC価格が過去最高値を更新し、仮想通貨投資による資産運用の注目度が急上昇しています。本記事では初心者向けに高騰するイーサリアム(ETH)の買い方、アルトコイン投資のメリットやデメリット、リスクなどを解説しています。
17:42
FRBが3年半にわたる量的引き締め(QT)終了、仮想通貨市場に流動性改善の可能性
米FRBが12月1日、3年半にわたる量的引き締め(QT)を終了した。約2.4兆ドル規模の資産縮小後、仮想通貨市場への流動性改善が期待される。2019年QT終了時はビットコインが短期下落後に上昇した経緯があるが、専門家は政策効果の遅延やインフレ動向など不確実性に慎重な見方も示している。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧