はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

「米SEC長官に限らない?世界の当局が対応する暗号資産取引所規制」|WebXレポート

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

世界の暗号資産規制

7月下旬に開催したWebXカンファレンス(WebX実行委員会主催、CoinPost協力)では、「米SEC長官に限らない?世界の当局が対応する暗号資産取引所規制」をテーマにディスカッションを開催した。

このディスカッションには、以下の4名が参加。モデレーターは、米証券取引委員会(SEC)で勤務経験を持つ、Sadis&Goldbergのパートナーのヴィオラ・ダニエル氏が務めている。登壇者には約30分に渡り、暗号資産(仮想通貨)規制について広く語ってもらった。

  • ティアナ・ベイカー-テイラー氏:サークル(EMEA地域の政策・規制戦略部門のヴァイスプレジデント)
  • エミリー・パーカー氏:CoinDesk(グローバルコンテンツのエグゼクティブディレクター)
  • 波多野恵亮氏:アンダーソン・毛利・友常法律事務所(パートナー)
  • 小田玄紀氏:一般社団法人日本暗号資産取引業協会(JVCEA、会長)

ディスカッションの内容

米国の規制について

今回のディスカッションは、米国の規制が主なテーマの1つである。タイトルにもある通り、暗号資産業界に対して規制の執行措置を継続しているSECのゲイリー・ゲンスラー委員長についても語られた。

SECは現在、暗号資産業界に対し規制の執行措置を継続。これまで、リップル社やコインベース、バイナンスら業界の大手企業も提訴してきた。一方でSECは裁判で「苦戦している」との見方もある。

関連米SECが提訴した「リップル裁判」まとめ(20年12月〜23年7月)

関連バイナンスとコインベースのSEC訴訟|仮想通貨規制の現状と業界の反応を整理

そのSECを率いるゲンスラー氏についてモデレーターのダニエル氏は、最初に以下のように話した。

ダニエル氏:

たしかにゲンスラー氏を「敵」と捉えている人がいますが、個人的には決して悪意があるわけではないと考えています。しかし、彼の規制措置は、暗号資産業界や投資家、米経済にとって肯定的ではありません。

一方で、米国には規制に対する様々な考えがあります。例えば、SECには、暗号資産に肯定的で「クリプトママ」という愛称を持つへスター・ピアース氏がいます。

あと、リップル裁判の7月の判決で、全ての暗号資産が有価証券であるかのような考えは白紙になったかとは思います。この裁判によって、米国の競争力を維持するために、SECは見方を変えないといけないと感じています。

ほかには、パーカー氏が以下のように語った。

パーカー氏:

米国の規制については、全てをゲンスラー氏の責任にすることはできないと思います。米国では暗号資産の規制を整備するという政府のモチベーションが低く、もっと広い問題だと感じています。

また、消費者が暗号資産などの必要性を示すことも重要です。一方で、米国を待つ必要はありません。日本や欧州、香港などに目を向けましょう。

ステーブルコインについて

今回のディスカッションでは、ステーブルコインについても多く時間が割かれた。日本では今年6月の改正資金決済法施行により、法定通貨を裏付けとするステーブルコインが発行可能になることへの関心が高まっている。

ベイカー-テイラー氏のサークルは、ステーブルコイン「USDC」の運営企業。今回は波多野氏から日本の規制について説明があり、他の登壇者から日本のルールに高い関心が示された。

関連米サークルCEOが明かす、日本でのステーブルコインビジネスの可能性と展望

以下、ステーブルコイン規制に関する発言をまとめる。

波多野氏:

6月から施行された日本のステーブルコイン規制は、他の国や地域と比べると非常に独特かもしれません。まずお伝えしたいのは、ステーブルコインを発行する場合、暗号資産交換業とは別の認可が必要ということです。

もう1つお伝えしたいのは、海外のステーブルコイン発行企業が日本の消費者に直接はステーブルコインを発行したり、償還したりしない場合は、日本の企業と協業すれば、必ずしも事業を行うのに日本のライセンスは必要ありません。

ただし、1回の送金額の上限を100万円にするなどの条件があります。

関連6月1日施行の改正資金決済法で国内ステーブルコイン発行可能に、多国籍企業にメリットも

ベイカー-テイラー氏:

日本や欧州、ドバイなどでステーブルコイン規制の整備が進められていますが、簡単ではないと思います。ステーブルコインには、多くの義務が発生します。

サークルとしては、決済の選択肢を消費者に与えることができるような規制の明確化に関心があります。

決済手段としては中央銀行デジタル通貨(CBDC)も研究・開発が進められていますが、ステーブルコインやCBDCが普及するには5年から10年かかるかもしれません。

関連中央銀行デジタル通貨(CBDC)とは|ビットコインとの違いと主なメリット

パーカー氏:

日本はステーブルコインの法律を最初に作成した国かもしれないですね。

米国ではステーブルコインの法案が提出され、すぐに法制化されると思っていたのですが、予想以上に時間がかかっています。おそらく銀行と同じような規制が定められると思うのですが、現時点では米国に国家レベルの規制はありません。

小田氏:

日本でステーブルコインの規制が明確化されたことは、ステーブルコインだけでなく、暗号資産市場全体にとって重要です。

日本政府の判断は肯定的で、市場は拡大していくと思います。

日本の規制ついて

WebXが日本で開催され、波多野氏と小田氏が参加していることもあり、今回のディスカッションではステーブルコイン以外でも日本の暗号資産規制について語られた。世界的にみて、日本の暗号資産規制は進んでいるとされている。

以下、日本の規制に関するコメントをまとめた。

波多野氏:

日本の規制当局は、フィンテックのイノベーションを推進していると思います。最初に法整備を行う際に、技術の活用を重視する傾向にあります。

特にステーブルコインについては、日本での事業には可能性があると感じます。今後については、ハッキングなどの問題が起きた場合に備え、顧客保護を強化していく必要があるでしょう。

小田氏:

ゲンスラー氏が日本にいないことを幸運に思います。私も金融庁や自民党のメンバーは、暗号資産やWeb3に肯定的だと感じています。

ダニエル氏:

日本は、首相がトークンやWeb3の環境について前向きな考えを示していました。ポジティブな雰囲気が日本にはあると思います。

関連WebX開幕 岸田文雄 内閣総理大臣がビデオ登壇|WebXカンファレンス

ベイカー-テイラー氏:

日本の規制で素晴らしいと思う点の1つは、業界と規制当局のパートナーシップです。JVCEAは金融庁から認可を得て、会員の企業を監督しています。

問題が起きた時に金融庁と協力して解決するようなモデルは、他の市場も学ぶ点があると思います。

また、暗号資産規制については、グローバルな枠組みが必要だとの声が多く上がっている。この点についてダニエル氏は、暗号資産のグローバルな規制を主導する機関ができると思うかをパーカー氏に聞いた。

関連G20議長国インド、「グローバルサウス」に配慮した仮想通貨規制の枠組みを提言

パーカー氏:

良いアイデアではありますが、率直に言って、グローバルな規制機関はできないと思います。それはインターネットを見ればわかります。インターネットにグローバルな規制機関がないのと同様です。

さらに、インターネットに比べて、暗号資産は様々な国が異なったアプローチをとっており、対立を生みかねません。

厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
03/28 金曜日
13:15
イーサリアム「ペクトラ」の実装日が4月30日と仮決定、次期「フサカ」の動向は?
カオスつうかイーサリアムのコア開発者ティム・ベイコ氏が「ペクトラ」アップグレードの実装日を4月30日と仮決定。次期開発に関しても進捗が確認された。
11:30
米司法省、ハマス関連の仮想通貨約3000万円を押収 資金調達を阻止
米司法省が、イスラム系組織ハマスからUSDTなどの仮想通貨を20万ドル相当押収した。ハマスは仮想通貨による寄付募集やマネロンを行っていたとみられる。
10:50
リップル社、アフリカの決済企業Chipper Cashと提携
リップル社は、アフリカの決済企業Chipper Cashとパートナーシップを締結。仮想通貨を活用するリップルペイメントを導入し、アフリカにおける国際送金の速さやコスト効率を向上させる。
10:45
トランプ指名のアトキンス氏が仮想通貨規制方針示す SEC委員長指名公聴会で
米上院銀行委員会が、次期SEC委員長候補ポール・アトキンス氏の公聴会を開催した。ウォーレン議員が利益相反の可能性を追及した他、仮想通貨関連の議題も俎上に上った。
10:10
米政府、12億円相当のビットコイン移動 戦略的準備金に向けた準備か
トランプ大統領の大統領令に基づき、タイの犯罪組織から押収された846万ドル相当のビットコインが米政府によって移動されたことが観測された。
09:35
フランス国有投資銀行、40億円規模の仮想通貨ファンドを設立
2700万ドルのトークンファンド フランス国有投資銀行Bpifranceが3月27日、仮想通貨およびブロックチェーン分野における新たな投資戦略を発表した。仏国内のデジタル資産エ…
08:15
ICEがCircleと提携、USDC活用で次世代金融商品開発へ
米金融大手によるステーブルコイン取り組みが加速中。Intercontinental ExchangeとCircleが提携し、USDCの新たな市場を開拓へ。
07:50
ソニュームとアニモカが提携 アニメファンのWeb3参入を推進へ
アニモカブランズは、仮想通貨イーサリアムのソニーグループのL2ソニュームと提携。IDレイヤーを構築して、アニメファンをWeb3領域に取り込みやすし、ユーザーの関与を強化する。
07:30
ビットコイン大口投資家、3月に約13万BTC買い増し 
Glassnodeの最新レポートによると、大口投資家がビットコインを大量に購入。市場の不確実性にもかかわらず、大口投資家は自信を示している。
06:55
ゲームストップ株価暴落、投資家はビットコイン戦略を懸念か
ゲームストップの株価が27日に暴落した。投資家は同社のビットコイン獲得戦略を嫌気し売りを加速させた。
06:05
ジブリ風アートに因んだミームコインが高騰、 ChatGPT-4o画像生成機能のリリースで
OpenAIのChatGPTがもたらしたジブリ風AI画像トレンドと、急騰する仮想通貨ジブリ・ミームコインの驚きの実態を解説。
03/27 木曜日
17:05
ビットトレード、貸暗号資産の特別募集「ユーピーシーエックス(UPC)」で開始
ビットトレードがユーピーシーエックス(UPC)の貸暗号資産特別募集を開始。14日間で年率100%相当の高利率が魅力。なお、リスクや注意事項の理解も不可欠。申込条件やメリットを解説する。
14:05
イオレ、暗号資産関連事業参入準備へ Web3ファンドから約4.2億円を調達
暗号資産金融事業への参入準備へ 東証グロース上場企業のイオレは26日、投資事業有限責任組合JAIC-Web3ファンドと株式会社ZUUを割当先とする第三者割当増資を実施すると発表…
11:52
ビットコイン8.7万ドル台で推移、Hyperliquidの「市場操作」臨時対応には賛否両論も
ビットコイン価格が前日比3.99%上昇し8.7万ドル台に回復した。CoinShares報告によると、機関投資家から7.2億ドルの資金が流入し5週間連続の流出傾向が反転する。一方、Hyperliquidは市場操作されたJELLYJELLYトークンを上場廃止にし、分散型理念と利用者保護のバランスに関する議論が浮上した。
11:30
ビットコインとともに注目のトップ20銘柄、Grayscale最新リサーチ
グレースケールが最新の仮想通貨市場レポートを公開した。ビットコインの活動レベル、ミームコイン取引の変化、新たなトップ20銘柄などを解説している。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧