取引手数料をさらに削減へ
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)のzkロールアップ「Starknet」は20日、2024年のロードマップを発表した。スループット(取引処理能力)向上や、トランザクション手数料を削減する計画を示している。
まず、バージョンV0.13.2では、シーケンサーにおけるトランザクションの並列化(パラレル処理)を行う。これにより、独立したトランザクションの同時実行が可能になる。複数のトランザクションを同時に行えるようになる格好だ。
例えば、異なるユーザーからのERC-20トークン転送は、EVM環境では従来のように順番にではなく同時に実行されるとしている。Starknet財団のEli Ben-Sasson理事は次のように述べた。
これによりボトルネックが解消され、より迅速かつ効率的に取引が行われるようになる。入口が1つだけの地下鉄の駅が、より多くの入口を開設することで混雑に対処するようなものだ。
Starknetは主な目標の一つに、ネットワークパフォーマンス向上を掲げており、イーサリアムの「Dencun」アップグレード時には初日からBLOB機能を有効にし、ユーザー料金の大幅な値下げを提供している。
実装前では2ドルだったが、Dencunと同期してから、99%減の0.01-0.04ドルまで低下したと報告していた。現在の手数料は1取引あたり平均0.017ドルだが、下がり続けているとも述べている。
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なお、並列処理ができるEVMチェーンとしてはL1ネットワーク「ソラナ環境のNEON」や「SEI」、「Monad」も注目されるところだ。
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ロールアップとは
メインのブロックチェーンのセキュリティを活用しながら、トランザクションの一部をオフチェーン(ブロックチェーン外)で処理することにより、ネットワークの混雑解消を図るスケーリング・ソリューションのこと。
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その他の実装計画
その他の予定としては、Starknetシーケンサー(取引処理を行う構成要素)へのCairo Nativeの統合も挙げられた。暫定スケジュールでは第3四半期(7~9月)にv0.13.3で実装することを予定している。
Cairo Nativeを使用すると、シーケンサーが標準のハードウェアアーキテクチャ上で直接動作できるようになり、トランザクションの実行高速化、レイテンシー(完了までの時間)減少、スループット向上が期待される。
さらに、第4四半期(10~12月)に予定されているv0.14.0では、ハイブリッド・データストレージへの「Volition」の導入などを通じて、手数料をさらに削減することを検討している。
「Volition」とはデータ・アベイラビリティ(DA)を促進する機能だ。開発者は、イーサリアム上ではなくStarknetにデータを保存するdApps(分散型アプリ)を作成できるようになり、L1の使用を減らすことでエンドユーザーの手数料削減につながる。
イーサリアムは、Dencun後のアップグレードとして「Pralectra」アップグレードを予定している。2024年末から2025年に実施される可能性があるが、中身についてはまだ議論が続いているところだ。
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