「仮想通貨に対する偏見はもうない」
イタリアの議員らは10日、暗号資産(仮想通貨)のキャピタルゲインに対する増税計画を縮小すると発表した。ロイター通信が報じた。
連立与党の一つであるリーガ党のジュリオ・センテメロ議員とフェデリコ・フレーニ財務次官が「増税は議会によって大幅に縮小される」「仮想通貨に対する偏見はもうない」と述べた格好だ。
関係筋によると、イタリア政府は税率を26%のままで据え置くこともあり得るという。
イタリアでは10月に、2025年度より仮想通貨の売却益課税を、現行の26%から42%に引き上げる可能性が浮上していた。
しかしその後、リーガ党内部などから反対意見が上がった。例えばフレーニ氏は、イタリアはヨーロッパでも6番目の仮想通貨経済圏にあたり、税率が引き上げられれば資金が税率が低い海外に流出するだけだと述べている。
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他の国の動き
EU圏の国ではチェコ共和国が6日、個人が3年を超えて保有している仮想通貨の売却益に対する税金を免除することを決定した。さらに、取引による年間総収入が10万チェココルナ(約64万円)を超えない場合も免除対象となる。
ペトル・フィアラ首相は「人々の生活をより楽にし、最新技術を支援する」措置だと述べた。免税は2025年1月より施行される予定だ。
アジアでは韓国が先日、仮想通貨へのキャピタルゲイン税課税開始を2027年まで延期することで与野党が合意している。当初は2021年から売却益への20%課税を始める計画だったが業界や投資家への影響を考慮し再三延期している格好だ。
日本では現在、仮想通貨のキャピタルゲイン課税は、雑所得として最大55%の税率が設定されている。石破茂内閣総理大臣は2日、仮想通貨を20%の分離課税とすることには慎重な姿勢を示した。
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ヨーロッパは世界2位の仮想通貨経済圏
ブロックチェーン分析企業チェイナリシスが10月に発表したレポートによると、中央・北・西ヨーロッパ地域(CNWE)は北米に次ぐ世界第2位の仮想通貨経済圏だ。
2023年7月から2024年6月の間のオンチェーン取引量は、世界全体の21.7%を占めた。特に、英国は引き続きCNWE最大の経済圏となっており、2,170億ドル(約33兆円)の仮想通貨を受信している。
英国では7月、仮想通貨を促進する政策を進めていたリシ・スナク前首相が退任しキール・スターマー首相に交代した。その後9月にも、政府により仮想通貨やNFT(非代替トークン)、トークン化資産などを法的に財産として認める法案が提出されている。
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