米政府向けの資料
暗号資産(仮想通貨)ビットコインに投資する米マイクロストラテジー社のマイケル・セイラー会長は21日、「Digital Assets Framework, Principles, and Opportunity for the United States」という枠組みを発表し、アメリカにおけるデジタル資産政策の必要性とその潜在的な利益を提唱した。
同氏はXで「戦略的なデジタル資産政策は米ドルを強化し、国家債務を中和し、アメリカを21世紀のデジタル経済のグローバルリーダーとして位置づける」と説明し、そのビジョンを共有している。
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このフレームワークでは、まずデジタル資産の「分類」の重要性が述べられている。デジタル資産を明確に分類することで、政策の前進とイノベーションの促進が可能になるとされ、以下のような6つの資産クラスが定義された:デジタル商品(例:ビットコイン)、デジタル証券(例:株式や債券)、デジタル通貨(例:法定通貨に裏付けられた資産)、デジタルトークン(デジタルユーティリティを提供する資産)、デジタルNFT(非代替性トークン)、およびデジタルABT(物理資産に裏付けられた資産)。
次に「正当性」の確立が、デジタル資産市場において参加者全員が信頼を持って取引できる基盤を提供すると強調されている。発行者、取引所、所有者にそれぞれの権利と責任を明確化することで、透明性と公平性が確保されるとされる。また、「誰も嘘をついたり、騙したり、盗んだりする権利を持たない」という基本原則が掲げられており、全ての参加者がその行動に対する責任を負うべきとされている。
「実用性」については、規制の効率性とイノベーションの促進が優先されるべきと述べられている。特に、各デジタル資産クラスにおける標準的な情報開示、取引所主導のコンプライアンス、発行コストや維持コストの制限、さらには発行プロセスの簡略化が提案されている。これにより、フリーマーケット競争を通じてコスト、速度、品質、アクセスの飛躍的な改善が期待される。
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また、セイラー氏は、アメリカが21世紀の資本市場復興を牽引する可能性についても触れている。迅速なデジタルい資産発行プロセスにより、発行コストを数千ドルレベルに引き下げ、中小企業やアーティスト、セレブリティといった多様な参加者が資本市場へのアクセスを得られるようになると提言している。また、デジタル資産を活用することで、トークン化された商品、不動産、アート、ビジネス、ブランドなどの幅広い投資機会が提供される見通しだ。
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さらに、このフレームワークは、デジタル資産市場における自由競争と革新を推進し、数兆ドル規模の価値創出を可能にするビジョンを示している。これにより、企業や個人投資家に新たな成長機会を提供し、経済全体の活性化が期待される。
最後に、ビットコインを国家戦略的準備金として活用することにより、最大で81兆ドルもの富を創出できる可能性も提示されている。この提案は、16兆〜81兆ドルの準備金を構築し、それを財務省が管理することで、国家債務の軽減に直接寄与することを目指す。また、これにより米国はデジタル資産市場における主導的地位を確立し、米ドルをグローバルなデジタル準備通貨として成長させるとともに、米国債への膨大な需要を生み出す経済効果が期待できるという。
セイラー氏の提案は、デジタル資産の規制が単なる制約ではなく、米国経済を強化し、グローバル競争力を高めるための重要な鍵となり得ることを示している。
来年1月に大統領に正式に就任する予定のトランプ氏や、一部の共和党議員がビットコインの戦略的準備金設置を提唱している中、今回のフレームワークがどのように採用され、政策形成に影響を与えるか、今後の動向が注目される。
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