仮想通貨等のデジタル資産をリサーチ
米メガバンクのバンカメ(Bank of America)は4日、デジタル資産のリサーチを開始したことを正式に発表した。
今回の発表に合わせてレポートも公開。デジタル資産の市場規模は無視できないほど拡大しており、効率性向上や摩擦の軽減の観点から、あらゆる業界を変革する可能性を秘めていると評価。一方で、リスクについても言及している。
バンカメについては、「暗号資産(仮想通貨)市場に特化したリサーチチームを設立した」と7月にブルームバーグが報じた。その際ブルームバーグは、リサーチチームの設立に関するバンカメの内部メモを入手したと報道の根拠を説明していたが、今回バンカメから正式発表が行われたことになる。今年7月には、バンカメによる仮想通貨関連サービスの提供も相次いで報道された。
設立されたリサーチチームは、以前の報道の通り、2013年にバンカメに入社した金融業界のベテランであるAlkesh Shah氏が主導。リサーチの対象は「仮想通貨」だけでなく「デジタル資産」と広く定義しており、発表するレポートでは、ステーブルコインやNFT(非代替性トークン)、中央銀行デジタル通貨(CBDC)などについても、様々な視点から情報を提供すると説明している。
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今回の発表でバンカメは「デジタル資産の市場規模は2兆ドル(約220兆円)に達しており、ユーザー数は2億人に上る」と指摘。市場が無視できない規模になっているとする根拠を説明した。
また、Shah氏は「ビットコイン(BTC)は重要だが、デジタル資産のエコシステムは、もっと幅広い」と説明。「我々は、金融、技術、サプライチェーン、ソーシャルメディア、ゲームなど、業界を超えた影響を探っていく」とした。
レポートの内容
今回の発表と合わせて公開されたレポートの名称は『Digital Assets Primer:Only the first inning』。一般公開されておらず、入手するにはバンカメにコンタクトを取る必要がある。しかし、海外メディアの中にはレポートを入手した企業もあり、すでにレポートの内容は出回っている。
Shah氏の指摘のとおり、レポートではビットコインだけでなく、「DeFi(分散型金融)やNFTのような新しいユースケースが市場を成長させている」と指摘した。
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また、「デジタル資産のエコシステムが拡大し、市場に参加する個人投資家が増加するにつれて、規制当局の目が厳しくなっている。これは、規制が整備されていない『開拓時代の西部(ワイルド・ウエスト)』と呼ばれる状況が、終了に一歩近づいた可能性がある」と説明。
その上で、「規制が整備されれば、将来的により多くの企業がデジタル資産を購入したり、デジタル資産のエコシステムに参加したりするかもしれない」との見方も示している。
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バンカメはレポートで、「16万超の企業の業績発表について、以下のようなキーワードの利用状況を、2009年1Q(1月から3月)から2021年8月2日まで分析した」と説明。そして、デジタル資産に対する関心は最近、最も高くなっていることが分かったとしている。
- 仮想通貨
- ブロックチェーン
- ビットコイン
- イーサリアム(ETH)
- アルトコイン
- DeFi
- NFT
一方でバンカメは、上述した規制整備をリスクの1つに上げている。デジタル資産の成長や時価総額など、あらゆる面でエコシステムに影響を与える可能性があるとした。