保守系シンクタンク主催の夕食会
世界最大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスのChangpeng Zhao最高経営責任者(通称CZ)が3日、英国政府や財務省関係者らが参加した夕食会で、スピーチを行ったことが明らかになった。コインポスト提携メディアのThe Blockが報じた。
この非公式の夕食会は、保守系シンクタンクの政策研究センター(CPS)が主催したもので、広報担当者は政策専門家グループとCZ氏が仮想通貨について話し合ったとコメントした。
出席者によると、CZ氏はバイナンスを今日のような規模にまで成長させたことについてはさまざまな問題もあったと認める一方で、現在は規制当局と積極的に関わっていく姿勢を強調したという。
CPSはマーガレット・サッチャー前英首相が1974年に共同設立し、サッチャー政権の保守政策の開発に大きく寄与した組織で、英国で大きな影響力を持つシンクタンク。これまでに政府が採用した数多くの政策を提案してきた。
ある関係者は、首相官邸関係者並びに財務省のアドバイザーらがこの夕食会に参加したことは、政府がいかに真剣に仮想通貨の課題に取り組んでいるかを示唆するものだと述べた。
英規制当局の姿勢
英規制当局の金融行動監視機構(FCA)は、バイナンスに対し非常に厳しい対応を続けている。昨年6月、FCAはバイナンスの英国法人「Binance Markets Limited」に対し、英国内で規制対象となるすべての活動の停止を命じた。
昨日、バイナンスの決済企業Bifinityと米ナスダック上場企業EQONEXの提携で、FCAに登録された仮想通貨カストデイ会社「Digivault」がバイナンスの影響下に入ることを危惧したFCAは、あらためて登録を取り消すことも可能だと警告する声明を発表した。
FCAはバイナンスのグローバル事業が「消費者に大きなリスクをもたらす、複雑で高リスクな金融商品を提供している」と主張。バイナンスに対する警戒を解いていないようだ。
FCA
FCAとは、Financial Conduct Authority(金融行動監視機構)の略で、イギリスの金融を規制する機関。金融サービス業に携わる企業の行動を規制している。
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バイナンスの規制対応強化
バイナンスは昨年、日本の金融庁を含む世界各国の規制当局から厳しい警告を受けており、複数の国で一部、サービス提供停止などの措置が相次いだ。
強まる各国政府からの逆風に対し、CZ氏はバイナンスの規制対応を強化するため、新たに150人を雇用。同社従業員の15%超にあたる600人が規制対応を行う体制を整えたと発表した。
CZ氏は、バイナンス設立当初は分散型モデルでさまざまな場所で運営する方法を考えていたが、規制機関と協力するためには中央集権的な本社を構える必要があるとの認識に至ったという。昨年11月にはフランスをその候補地として考えていると明かした。
英国での活動
バイナンスは英国でのライセンス取得も目指している。
CZ氏は昨年12月、英サンデー・テレグラフ紙のインタビューで、「英国でプレゼンスを高め、規制に完全に準拠した方法で、同国のユーザーにサービスを再び提供したい」と述べた。
また、規制対応強化の一環として、英国の元規制担当者やコンプライアンス担当者が常駐する英国オフィスを設置したと、同氏はテレグラフ紙に説明した。