CBDCに実験にアマゾンらが参加へ
欧州中央銀行(ECB)は16日、デジタルユーロのテストを行うため、IT大手アマゾンら参加企業を5社選んだことを発表した。
デジタルユーロは欧州の中央銀行デジタル通貨(CBDC)。今回選ばれた5社は、デジタルユーロのユーザーインターフェースのテストに参加する。このテストは、デジタルユーロプロジェクトの「2年間の調査期間」における重要段階であるとECBは説明。2023年の1Q(1月から3月)にはテストを終了させ、結果を公表する計画だ。
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今回選ばれた5社は、それぞれが1つのユースケースに特化して開発に参加。テストに参加する企業名と、各社が担当するユースケースは以下の通りである。
- アマゾン:eコマースの決済
- CaixaBank:P2Pのオンライン決済
- Worldline:P2Pのオフライン決済
- EPI:販売時点情報管理システム(POS)の支払い人の決済
- Nexi:POSの受取人の決済
上記5社が参加する共同開発では、デジタルユーロのために開発されている技術が、各企業によって作られる仕組みと、どのくらい適合できるかをテストする。一方で、今回開発されるテスト版を、デジタルユーロプロジェクトで今後も利用する計画はないとした。
今回のテストに関しては、今年4月から5月にかけて参加企業を募集。54社の中から上記5社を選定したという。ECBは選考理由を「54社全てが参加に必須の条件を満たしていたが、各ユースケースに最も適した企業を選んだ」と説明した。
デジタルユーロの2年間の調査期間は、2021年10月から2023年10月まで。この調査期間が終了した後に、正式にデジタルユーロの開発を開始するかを判断するという。
デジタルユーロの取り組み
CBDCの開発では中国など先行している国もあるが、欧州や日本、米国など多くの国が検討段階にある。
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デジタルユーロのプロジェクトについては、これまでも企業の参加が明らかになっていた。2020年10月には、イーサリアム(ETH)のソフトウェア企業ConsenSysが、デジタルユーロの実験に参加すると発表。同社は主に、デジタルユーロの発行や管理、証券の引渡し(Delivery)と代金の支払い(Payment)両方を行う「Delivery Versus Payment(DVP)」、台帳の互換性に関して技術や専門知識を提供するとした。
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また今年2月には、デジタル通貨に特化したシンクタンク「デジタル・ユーロ協会(DEA)」が、米リップル社との提携を発表。リップル社はDEAと共同でCBDCの研究開発に取り組むとした。リップル社は現在、CBDCに関する事業にも注力している。
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