マクロ経済と金融市場
20日の米NY株式市場では、ダウ平均株価は前日比203ドル(0.58%)高、ナスダック指数は159ポイント(1.1%)高で取引を終えた。
対話型人工知能(AI)「ChatGPT」を開発した米OpenAIを解任されたサム・アルトマン元CEOをAI研究チームに迎え入れる方針が報じられ、競争優位性を好感されたマイクロソフト株価が続伸、過去最高値を更新した。
マイクロソフトは、OpenAIに巨額出資をしていた主要投資家であり、ブルームバーグによれば、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは、アルトマン氏のOpenAI復帰容認を示唆したほか、ガバナンス改善に意欲を示した。
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ビットコイン(BTC)に押し目買いが入り高値圏で推移していることを受け、米株式市場では暗号資産(仮想通貨)関連銘柄が上昇。米SEC(証券取引委員会)からの提訴を受け急落していたコインベース株が前日比7.1%高と高騰し100ドル台を回復したほか、ビットコインを大量保有するマイクロストラテジーが前日比4.5%高に。マイニング関連銘柄も上昇している。
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仮想通貨市況
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン価格は前日比0.78%高の1BTC=37,560ドルに。
イーサリアム(ETH)が0.67%高となった一方、XRPは2.09%安、ソラナ(SOL)が7.4%安、ドージコイン(DOGE)が3.9%安となるなど、直近高騰していたアルトコインでは利益確定売りが先行し、資金が抜け始めている可能性を示唆した。
Kaikoのデータによると、過去に連動が顕著だった米ナスダック株式市場とビットコイン(BTC)の60日間相関は、23年11月時点で12.8%と消失した。カイコのシニアアナリストは、「主にビットコインETF(上場投資信託)をめぐる材料が影響している」との見解を示した。他の市場とは独立した値動きが目立つことを意味する。
約1年前の22年9月には、ビットコインと米株指数相関は70%以上に達しており、トレーダーの間でも相場の先行指標として機能していた時期もある。
ArcaneResearchによれば、ビットコインと伝統金融市場の相関が強まったのは、FRB(米連邦準備制度)がコロナ禍の経済下支えのため過去前例のない規模の金融緩和に踏み切り、株や暗号資産(仮想通貨)といったリスク資産が高騰し始めた20年7月頃からだという。機関投資家の流入が影響した。
その後、金利引き上げ(金融引き締め)の始まった22年1月時点でも相関は継続し、ビットコインと米主要株価指数「S&P 500」の30日間相関係数は過去最高水準の60%に達した。
相関係数は類似性の度合いを示す統計学的指標であり、1.0は完全相関、マイナス値は逆相関を示す。20年3月に発生した金融崩壊(コロナ・ショック)時には、あらゆる金融商品が暴落し、S&P 500とビットコインの30日間相関係数は78%を記録した。
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マイナーの強気姿勢継続
ビットコイン(BTC)マイナー(採掘業者)は強気姿勢を維持している。
BTCディフィカルティー(採掘難易度)は12日時点で64.68 Tとなり過去最高値を更新した。次回難易度調整は11月26日3時54頃(UTC)に実施される見込みだ。
およそ2週間に1度の頻度で行われる採掘難易度調整は、ネットワーク上の演算能力となるハッシュレート(採掘速度)の増減に応じて、1ブロックのマイニングに必要な時間を約10分間となるよう自動調整するもの。
ハッシュレートが急増すると採掘難度が上がって新しいブロック生成にかかる時間が長くなり、ハッシュレートが低下すると採掘難度が下がってブロック生成が容易になる。ブロック生成ペースを一定に保つことで、ビットコインの供給量を制御し、ネットワークの安定性とセキュリティを維持するためのバランサーの役割を果たしている。
なお、ハッシュレート(採掘速度)は年初時点の266.42 EH/sから2倍以上に伸びている。blockchain.comのデータによれば、費用対効果の著しく落ちるビットコイン市場の低迷期でさえも、ハッシュレート(採掘速度)は一貫して伸び続けていることが示された。
昨今では市況が好転したほか、ビットコインETF(上場投資信託)の上場承認期待も追い風となりBTCが高騰。マイニングの収益性も劇的に改善している。
24年4月19日頃に予定されるビットコインの「半減期」を経てマイナーの採掘報酬は半分まで減少するため、市況悪化があれば弱小マイナーの撤退を招く可能性はあるものの、マーケット的には市場供給量およびマイナーによる売り圧力減少はポジティブであることから、大手マイナー(採掘業者)は依然強気だ。
同業との競争激化や採掘難易度の上昇、半減期を伴う採算性の低下よりも、さらなるビットコイン上昇による需要と恩恵が上回ることを見越して、長期運用を見据えた最新鋭のマイニングマシン導入など設備投資を優先し、将来利益のための生産力強化に余念がないことを示唆していると言えそうだ。
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