CoinPostで今最も読まれています

中国仮想通貨規制強化も、裏で取引が継続される秘密|ビットコインを支える実情が明らかに

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

北京当局が国外仮想通貨取引所とのアクセス遮断に意欲。だが…
北京当局が決済サービス事業者と連携して、中国投資家に仮想通貨取引サービスを提供する国外124の取引所とのアクセスを遮断する意向が報じられた。だが、取引は主にVPN上のP2P通信で行われていることから、業界関係者の間では、規制はこれまで同様有名無実化するという声が強い。
テザー/Tether(USDT)とは
性質上、仮想通貨売買における基軸通貨の一つとして扱われている。米ドル(USD)や日本円(JPY)等の法定通貨と連動した価値を持っており、基本的に「1USDT≒1USD」の図式が崩れることはない。

▶️CoinPost:仮想通貨用語集

国外取引所とのアクセスを遮断したい北京当局

アリババ傘下の上海証券報(Shanghai Securities Times)が8月23日、北京当局が、中国投資家に仮想通貨取引サービスを提供する国外124の取引所とのアクセスを遮断する意向であることを報じました。

北京当局は昨年2017年9月以来、数回にわたって国内取引所の閉鎖を狙って規制を行ってきました。

しかし、ドメイン名を変える/複数のドメイン名でサービスを行うといった取引所側の回避策により、規制は有名無実化していました。

むしろ、中国国外にサーバーを置いて海外法人としてビジネスを行う取引所間の競争が激化する状況でした。

今回報じられた当局の意向に対し、一部の専門家は、「経験の少ない取引所が一時的に収益を落とす程度の影響にとどまるだろう」と、懐疑的な考えを述べています。

そして、当局が仮に海外取引所とのアクセス規制に成功したとして、長い目で見れば、効果は疑問だとします。

「直近の規制や監視強化の動きは、自分たちは海外法人だと主張する比較的小規模の取引所をまとめて網にかけようとするものだ。ところがそれらの実体は、国内企業に運営を委託している国内取引所に過ぎない。そして実際にこれまで、ランディングページが中国国内にある取引所が目をつけられてきた」(香港/台湾の仮想通貨取引所TideBitのテレンス・ツァンCOO)

8月16日時点で、中国投資家の仮想通貨人気上位7銘柄の総取引量は、37.3億ドル(約4,140億円)でした。

これが、上記の8月23日の上海証券報のニュースから数日後には、25億ドル(約2,775.4億円)と、約33パーセント減少しました。

その一方で、市場関係者の間からは、

「国外取引所サーバーとの通信はP2Pが基本。当局がこれを完全に遮断するのは極めて難しい」

と冷静な声も聞かれます。

中国に特徴的なテザーC2C取引の仕組み

中国で行われる仮想通貨取引は、一般に人民元を「テザー」(USDT)に換金することから始まります。

テザーは1テザー=1USドルの利用価値を基準とし、ここから大きく外れないこと、すなわちビットコインやその他の仮想通貨と比べたときの価値安定性を強みとする仮想通貨です――もちろんこれの点は、これまで数々の議論を呼んできました。

このテザーを介して、中国の仮想通貨取引に特徴的な形態として、独特の「C2C(クライアントtoクライアント)」取引があります。

これは基本的には、中国で行われる仮想通貨以外の商品をオンラインで取引する場合と同様のものです:

  • 取引に関して「顧客確認原則(KYC:“know-your-customer”)」を取り交わした二者が、法定通貨(例:人民元)をテザーに交換し、初回の決済を行います。
  • この初回決済時に、「立会/審査/引受人」的な役割を務めるのが取引所です。
  • 初回の決済は、既存の口座や、サードパーティの決済ネットワークを利用して行われます。
  • 二度目からは、VPNを介した二者間(P2P)通信により、仮想通貨取引が自由に行われるようになります。
  • 中国VPN規制への「気の遠くなるような」道のり

    こうしたVPN取引に関してある関係者は、

    「技術的には、北京当局はその気になればVPN遮断も出来る。だが、VPN遮断のためのファイアウォール設定を行うには、これまでそうだったように、利害関係者との気の遠くなるような調整が必要になる。そして目下、当局がVPNに規制をかける動きは見られない」

    と話します。

    そして前出の上海証券報は、北京当局が、決済サービス事業者と連携して、「暗号通貨に関連する疑いのある」取引の停止を狙っていると報じます。

    しかし、現実には、そのような疑わしい取引や当事者アカウントの特定は難しい――一体どのようにして?と多くの業界関係者が考えている状況です。

    参考記事:Cryptocurrency traders in China find ways to get around state regulators despite tighter scrutiny

    CoinPostの関連記事

    中国人仮想通貨トレーダー、政府の規制下でも取引の抜け穴を見出す
    仮想通貨は本来、国家の干渉とは無縁な存在であるはずだが、中国政府が非常に厳しい仮想通貨規制をかけてもなお、中国の仮想通貨交換業者・トレーダーは政府の規制の抜け穴を見い出そうとしている。
    中国ITの巨人Alibaba、中国政府による仮想通貨OTC取引の監視に協力すると発表
    中国の有名メディア新京報によると、中国IT最大手Alibabaの傘下に置かれる決済専門企業Ant Financial社は、Alipayという決済モバイルアプリを通して、中国規制当局の仮想通貨OTC取引を監視することに協力することを発表しました。
    CoinPost App DL
    注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
    04/27 土曜日
    09:30
    Runesデビュー1週間、ビットコインネットワークで200億円以上の手数料生み出す
    手数料については、ミーム仮想通貨取引への高い需要が原因で、4月初めの5ドルから平均40ドルまで高騰している。ビットコインのマイニング報酬が半減し、収益が大幅に減少する見通しとなっていた採掘業者にとっては朗報だ。
    08:00
    半減期後のBTCのリターン、Nansen主席アナリストが分析
    半減期後の仮想通貨ビットコインのリターンを、ブロックチェーン分析企業Nansenの主席リサーチアナリストが分析。半減期後250日までが最もリターンが高いという。
    07:30
    円安158円台に、米ハイテク株高 来週FOMC金利発表|金融短観
    本日の米国株指数は反発。エヌビディアやアルファベットなど大手IT株がけん引役となった。前日発表の米1-3月期GDPは予想を下回って悪材料となっていたが、昨夜発表の米3月PCEデフレーターはほぼ予想通りだった。
    05:55
    パンテラ、FTXの仮想通貨ソラナを追加取得
    FTX破産財団はこれまですでにロックアップされた仮想通貨SOLの約3分の2を手放した。その多くは4年後に完全にアンロックされる見込みだ。
    04/26 金曜日
    14:22
    「ミームコインは危険なカジノのよう」米アンドリーセン・ホロウィッツCTOが警鐘鳴らす
    米大手VCアンドリーセン・ホロウィッツの エディ・ラザリン最高技術責任者は、ミームコインを「危険なカジノ」に例え、仮想通貨エコシステムから「本物の起業家」を遠ざける可能性があると主張した。
    14:00
    米FBI、マネロン防止ルール非遵守の仮想通貨サービスに注意喚起
    米連邦捜査局は、マネーロンダリング防止基準を遵守していない仮想通貨送金サービスを利用しないよう、アメリカ国民に対して呼びかけた。
    12:55
    BTC半減期後に最初に採掘されたSatoshi、3億円超で落札
    仮想通貨ビットコインの半減期後に最初に採掘されたSatoshiがオークションで3億円超で落札。Ordinalsの誕生によって、今はレア度の高いSatoshiに需要が生まれている。
    12:32
    ビットコインの反騰失速、ブラックロックのETF(IBIT)への資金流入が初めて途絶える
    暗号資産(仮想通貨)市場では、自律反発のビットコインが日足50SMAを抜けられず再反落。ブラックロックのビットコインETF「IBIT」への資金流入は、ローンチ後71日間で初めて途絶えた。
    10:15
    著名な「Buy Bitcoin」のサイン、1.6億円で落札
    「Buy Bitcoin」と書かれた著名な法律用箋が、オークションで1.6億円で落札された。仮想通貨ビットコインで入札され、正確な落札価格は16BTCである。
    09:40
    フランクリン・テンプルトンの600億円規模「BENJI」トークン、P2P送信可能に
    米大手資産運用企業フランクリン・テンプルトンは、米国政府マネーのトークン化ファンドFOBXXで資産のピアツーピア送信を可能にしたと発表した。
    08:30
    強気相場継続の兆しか? パンテラが新たな仮想通貨ファンドで1500億円以上調達計画
    2024年の仮想通貨相場感が2023年から好転しておりVCの調達案件も着実に増えている状況だ。昨日、野村グループのLaser Digitalが主導するラウンドで、zkSync Era基盤のWeb3ゲーム開発会社Tevaeraは500万ドルを調達した。
    07:35
    ETHの証券性巡りConsensysがSECを提訴
    仮想通貨イーサリアムは証券ではないとの判断などを裁判所に要請するため、 Consensysが米SECを提訴。同社は事前にウェルズ通知を受け取っていた。
    07:15
    米SEC、イーサリアム現物ETF申請を非承認する可能性高まる
    イーサリアム現物ETFの米国での承認は不透明。SECとの一方的な会合や訴訟の影響で、2024年後半までの承認延期が予想されETH今後の価格に下落圧力がかかっている状況だ。
    06:50
    米Stripe、ソラナやイーサリアムでUSDC決済を導入予定
    Stripeは2014年に初めて仮想通貨ビットコインの決済を導入した経緯がある。しかしその4年後の2018年にビットコインのバブル崩壊を受け同社はその取り組みを中止した。
    05:50
    モルガン・スタンレー、ブローカーによるビットコインETF勧誘を検討
    最近の仮想通貨ビットコインETF資金流入状況に関しては昨日、ブラックロックのIBITが1月11日ローンチ以来初めて資金流入がゼロとなり、71日連続の流入記録が終了したことが確認された。

    通貨データ

    グローバル情報
    一覧
    プロジェクト
    アナウンス
    上場/ペア