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バイナンスコイン(BNB)とは|高騰の続く背景と主な特徴

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

BNBの特徴と展望

本記事では、世界有数の暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスが発行している独自トークンであるバイナンスコイン(BNB)の概要や今後の展望について解説していきます。

目次
  1. BNBとは?
  2. 特徴
  3. 注意点
  4. 今後の展望
  5. まとめ

1.BNBとは?

BNBは、世界最大手の仮想通貨取引所バイナンスの独自トークンです。17年6月に行われたICO(イニシャルコインオファリング)でローンチされました。イーサリアム・ネットワーク上で「ERC20トークン」として発行されたBNBの総発行枚数は、2億枚です。

ローンチ後は、2019年にバイナンスが独自のブロックチェーン「バイナンスチェーン」を開発したことに伴い、BNBのメインネットはイーサリアム・ネットワークからバイナンスチェーンへ移行しました。現時点で存在しているBNBの規格は、以前のまま残っているERC20、バイナンスチェーンの「BEP2」、後述する「バイナンススマートチェーン」の「BEP20」の3つです。

21年3月時点での時価総額は約4兆円で、イーサリアム(ETH)に次いで世界3位(Coin Market Cap参照)。取引所が発行する独自トークンとしては異例の人気を誇っています。

BNBの大きな特徴の1つとしては、バイナンスで基軸通貨として利用可能であることが挙げられます。基軸通貨とは、取引所の各種取り扱い銘柄と交換することができる特定の仮想通貨を指します。

多くの取引所ではビットコイン(BTC)やイーサリアムなどのメジャーな銘柄が基軸通貨として指定されていますが、バイナンスでは、これらに加えて「BNB」も基軸通貨とされています。

2.特徴

BNBに関する特徴を紹介します。BNBを基軸通貨として利用することで、ユーザーはいくつかのメリットを享受することができます。

2-1 手数料が安くなる

バイナンス上で行う取引手数料が、BNBで支払うと割引が適用されます。

  • 1年目: 50%割引
  • 2年目: 25%割引
  • 3年目: 12.5%割引
  • 4年目: 6.75%割引
  • 5年目: 割引なし

2-2 コンバート可能

大手取引所バイナンスにはコンバート(両替)機能があります。これは、売買の際に残った1枚以下の「端数」だけ保有する銘柄を一括で「BNB」に交換することができる便利機能です。

最低単元未満のトークンは、売却も送金もできませんが、両替機能を使えば寄せ集めることが可能となるため、長年使用していれば、塵も積もれば山となるケースも考えられます。

2-3 バーンの仕組み

バイナンスは、四半期ごとに前四半期の取引高に応じて一定量のBNBを買い戻し、買い戻したBNBをバーン(焼却)しています。バーンされた分、BNBの市場での流通量が減少し、希少性が高まり価値が上昇する可能性を持たせる仕組みとなっている。

総発行量は2億BNBですが、定期的な買戻しとバーンを繰り返すことで、最終的には1億BNBに半減されるように設計されています。

3.注意点

BNBは、バイナンスで発行されている独自トークンのため、国内取引所での取り扱いはありません。

日本国内で仮想通貨取引所を運営する上では、仮想通貨交換業登録をする必要がありますが、現状では海外取引所は認可を受けていません。また、無登録業者が日本語で口座開設の勧誘をすることは法律で禁じられています。

バイナンスは、日本語でのサービス展開を行っていたこともありましたが、「資金決済法に基づく交換業登録を行わず、日本居住者向けに無許可営業を行った」として、2018年3月に金融庁が警告を発出。これに伴い、バイナンス側は日本語サービスを中止し、日本市場から撤退しました。

無登録で仮想通貨交換業を行う者について、事務ガイドライン第三分冊:金融会社関係16.仮想通貨交換業者関係Ⅲ-1-4(2)②に基づき、本日、警告を行いましたので、下記のとおり公表いたします。

・業 者 名 等:Binance

・代表者 Changpeng Zhao(チャオ・チャンコン)

・所 在 地:香港

・内 容 等:インターネットを通じて、日本居住者を相手方として、仮想通貨交換業を行っていたもの

引用元:金融庁HP

関連:無登録営業のバイナンスに改正資金決済法に基づく警告|バイナンス側も公式声明

4.今後の展望

BNBはバイナンスが発行する独自トークンのため、その価値はバイナンスの動向や成長と密接にかかわっています。

4-1 中国政府による規制の影響はなくなったか

バイナンスは以前、香港に拠点を置いていたことから中国政府による仮想通貨規制の影響を懸念されていましたが、2018年3月に香港から地中海のマルタ島に移転すると発表。Changpeng Zhao CEO(通称:CZ)は、移転の理由として、マルタ島がブロックチェーンに肝要であることや財政の安定性などを挙げています。

これにより、バイナンスが中国国内の情勢による影響を受けることはなくなったと言えそうですが、2020年2月、マルタ島の金融当局MFSA(Malta Financial Services Authority)は声明を発表。「(バイナンスは)仮想通貨領域での事業に必要なMFSAの認可を受けていないため、MFSAによる監督の対象になっていない」とし、同局がバイナンスに取引所を運営するための認可を与えたことを否定しました。

バイナンスの本社の所在地は実際には公表されていないため、現在もマルタ島にあるのかは明らかになっていません。

4-2 日本市場再上陸の可能性は

前述の通り、バイナンスは以前に日本語でのサービス展開を行っていましたが、2018年3月に金融庁からの警告を受け、日本市場からの撤退を余儀なくされました。

20年1月には、当時ヤフーグループ出資のTaoTao株式会社と戦略的提携について交渉開始を発表するも、同年10月に交渉の終了を発表。日本再進出の機運は遠のきました。

2020年12月、CZ氏により設けられた仮想通貨メディアとの対話の場にCoinPostも参加し、日本市場への再進出について見解を伺っています。

出典:CoinPost

同氏によると、今後日本で事業展開する可能性は低いといいます。「金融庁が承認した30種の通貨」しか取り扱うことができないなど、制約の厳しい構造下では、独自の上場基準で積極的に多数の通貨を取り扱うバイナンスのビジネスモデルが上手く機能しないと説明しました。

日本企業の買収を通して市場に参入する選択肢も検討したといいますが、日本での営業許可を取得したとしても、「バイナンスの強みを生かせない市場環境下では、日本の競合他社に対する優位性が得られない」との結論に至ったようです。

関連:バイナンスの日本参入、可能性は? CZ氏が語る今後の展望

4-3 バイナンスの今後

バイナンスは世界最大手の取引所で、取引高・ユーザー数ともに世界1位。取り扱い銘柄数も1,000を超えており、日本の取引所の数十倍です。

また、これまでに仮想通貨の売買を促進する施策を次々と打っており、関連サービスを積極的に展開しています。最近のBNB高騰の背景にある一部のサービスについて紹介します。

Binance Launchpad

IEO(取引所がトークン販売を代行するサービス)のためのプラットフォーム「Binance Launchpad」では、2021年2月までに18のプロジェクトのトークンを販売していますが、即完売となるケースもあり、価格が大きく上昇した銘柄も多いです。

直近では、2012年2月に「SFP(SafePal)」のトークンセールが行われました。SFPのセールでは、サブスクリプション方式を採用しており、BNBの平均保有量に応じて購入のコミット権を得ることができるもので、47,286名の投資家により、8億ドル(約800億円)相当のBNBがロックアップされました。結果的に、160倍を超える抽選倍率を記録しています。

バイナンススマートチェーン

2020年9月にメインネットでの稼働が始まった、イーサリアムの仮想マシンと互換性のある独自ブロックチェーン「バイナンススマートチェーン(以下、BSC; Binance Smart Chain)」は、独自ブロックチェーン第一号として稼働する「バイナンスチェーン」とは異なり、スマートコントラクト(dApps)およびBNBのステーキング機能が実装されています。

これにより、イーサリアムのプロジェクトをBSCに移植したり、イーサリアムを管理するためのウォレットである「MetaMask」などのアプリケーションを 設定を変えるだけで簡単にBSC上で動作させたりすることができるようになっています。

BSCの一日の取引額は2020年1月から急増しており、2月には200万ドル(約2億円)を超えました。

BSCがいかに盛んに利用されているかがこのグラフから見て取れます。

BSCの人気上昇の要因としてDeFi領域のデータ分析サイトDappRadar社は「ETHより安い取引手数料」と「1億ドルの新規プロジェクト用ファンド」の存在を挙げています。

DeFi領域で主に利用されてきたイーサリアム(ETH)はNFT(非代替性トークン)ブームも重なり、取引手数料の高騰が問題となっています。対照的にBNBはイーサリアムの10分の1の手数料しかかかりません。

事実、dAppsを提供するBSCでは、DeFi関連のプロジェクトが大半を占めています。2月には90以上のdAppsがBSCでローンチされましたが、約80%がDeFi関連でした。

(青:DeFi関連、ピンク:その他)

出典:DappRadar

一方で、BSCはバイナンスが主導しているプロジェクトのため、中央集権的な側面を批判する声も一部であがっています。これに対しCZ氏は「段階的に分散化」する姿勢を示し、分散化はユーザーが重視する「手数料の低さ、高速なトランザクションと自由」を実現するための一つの手段であると強調しました。

関連:データで紐解く、バイナンス・スマートチェーンの台頭とBNB高騰の背景

PancakeSwap

BSC上では、PancakeSwapというDEX(分散型取引所)が稼働しています。

PancakeSwapではBNB、ADAやALPACAなどのBEP20規格に対応したトークンを購入できます。ステーキング機能も備わっており、ユーザーは仮想通貨を入金すればCAKEという独自トークンが提供され、CAKEやBNBなどのトークンを預け入れて流動性を提供すれば、FLIPトークン(PancakeSwap版の流動性提供トークン)を受け取って収益を得ることができます。

需給面も大幅に改善されることから、BNB価格上昇の大きな後押しになりました。

また、IFO(イニシャルファームオファリング)というトークンセールを行うこともできます。これはイールドファーミングにより新トークンをユーザーの手に渡す方法です。PancakeSwapでは、ユーザーはCAKE-BNBのLPトークンを使って新トークンの購入権を手に入れることができます。

注意点として、上場基準を満たしさせすれば誰でもBEP20トークンを上場させることができるので、今後価値が急落したり詐欺まがいのプロジェクトも登場する可能性があることが挙げられます。トークンを購入する際は事前に情報収集を入念に行ってからにしたほうが良いでしょう。

イーサリアム上で稼働しているDEXのUniswapやSushiSwapよりも手数料が安いことも大きな特徴のひとつです。手数料は取引額の0.2%で、これはイーサリアムのガス代の10分の1以下です(BNBでの支払い)。そのうちの0.17%がステーキングを利用しているユーザーに還元される仕組みになっています。

2020年2月時点で一日の取引高は、200万ドル(約2,000億円)を超えています。この数値は競合のUniswapやSushiSwapの取引高を上回っており、PancakeSwapが著しく成長を遂げていることがわかります。

関連:ビットコイン一服もネムやバイナンスコイン高騰、BNBは約3週間で4倍に

その他、仮想通貨やブロックチェーンに関する教育プログラムを提供する「バイナンスアカデミー」や投資ファンド「バイナンス・ラボ」の運営、DeFi(分散型金融)による融資が可能な「LendFi Visa Card」の発行など、多岐にわたる事業を展開しています。

関連:バイナンス、仮想通貨DeFiローン対応のVISAカードを発行へ

最近では、21年2月に「Binance Pay」という非接触型の仮想通貨決済サービスのベータ版を発表。CZ氏によると、他にも進行中のプロジェクトがあるといいます。

5.まとめ

BNBはバイナンスにおける手数料割引システム、両替機能といったユースケース上のメリットのほか、IEOに参加するための買い圧力や「PancakeSwap」での大きな需要があり、一定期間ごとにバーンされ希少性が高まっていく仕組みもあることも、絶え間ない需要を生み出しています。

世界最大手取引所バイナンスの存在感はますます高まっており、BNBの将来性にも関心が集まっていると言えるでしょう。

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