米国でビットコインETF(上場投資信託)の承認されたことやドナルド・トランプ次期米大統領への期待からビットコイン(BTC)価格は2024年に大きく上昇し、イーサリアム(ETH)やXRP(リップル)などのアルトコインも高騰しました。
国内IEO(Initial Exchange Offering)もブリリアンクリプトトークン(BRIL)、NOT A HOTEL COIN(NAC)、Japan Open Chain(JOC)などが行われ、多額の資金調達に成功しました。
このような強気の相場環境の中、注意を払うべきは税金の問題です。株の取引と異なり、2024年に仮想通貨の売買を行った方は、自身での確定申告が必要となる可能性があります。
- 仮想通貨の売買で利益が出た場合
- 仮想通貨同士の交換を行った場合
- ステーキングやエアドロップによる報酬を得た場合
確定申告期間は2025年2月17日(月)〜3月17日(月)ですが、暗号資産(仮想通貨)は雑所得かつ総合課税であるため、日本円による納税資金の確保が求められます。
納税資金の確保
暗号資産(仮想通貨)の取引で得た利益に対する税負担は、想定を大きく超える場合も少なくありません。2025年の確定申告時期までに相場が大きく下落していても納税義務は変わりませんので、全資産を暗号資産のまま保有し続けるのはリスクが高く、現金(法定通貨)の早めの確保が必要です。
適切な損益管理の重要性
仮想通貨取引の損失は繰り越し控除ができないため、年内の対応が重要です。
- 利益が出ている場合は、含み損を抱える銘柄の売却を検討
- 損失が出ている場合は、含み益のある銘柄の売却を検討
本記事は、2024年の暗号資産取引における確定申告の準備に役立つ実践的な情報をまとめています。
確定申告の基本
仮想通貨取引による所得は「雑所得」に区分され、住民税を含めると最大55%という高い税率が適用される可能性があります。一般的な会社員は源泉徴収や年末調整で納税が完了するため確定申告が不要ですが、仮想通貨取引による年間所得が20万円を超える場合は、確定申告が必要となります。(所得額:利益から必要経費を差し引いた額)
近年、仮想通貨投資家への税務調査が増加しており、申告漏れを指摘されるケースも出てきています。確定申告が必要にも関わらず申告を行わなかった場合、または遅れて申告を行った場合には、加算税・延滞税といったペナルティが課されます。納税は国民の義務ですので、しっかりと確定申告を行いましょう。
税金発生のタイミング
確定申告のために、まずは損益計算して正確な所得額を確認したい。しかし、様々な取引形態がある仮想通貨投資において、どのタイミングで課税対象となる利益が発生するのかを正確に理解している人は多くありません。
気づかないうちに多額の利益が発生し、確定申告が必要な状態となっていることもあるため、各取引における利益確定のタイミングを把握しておくことが重要です。
- 売却時:仮想通貨を日本円に換金した時点で、購入価格との差額が利益(または損失)として確定します
- 通貨間の交換時:ビットコインでイーサリアムを購入するなど、仮想通貨同士を交換した場合も、その時点での円換算額で計算が必要です
- 報酬受取時:ステーキング報酬やエアドロップなど、無償で仮想通貨を受け取った場合も、受取時点の時価が収入として計算されます
課税対象となる主な利益発生時点
損益圧縮による税金対策
取引全体の損益状況を把握する際は、実現損益(すでに確定した利益や損失)と含み損益(未確定の損益)を区別して考える必要があります。
大きな利益を出している投資家にとって重要なのが損益圧縮です。これは含み損のある仮想通貨を売却して損失を確定させることで、課税対象となる所得を減らし、支払う税額を軽減する方法です。
ただし、仮想通貨取引は「雑所得」として扱われるため、損失の繰越控除ができません。つまり、今年発生した損失を来年以降の利益と相殺することはできません。そのため、含み損を抱えている銘柄を保有している場合は、翌年まで持ち越さずに年内に売却(損切り)し、当年の利益と相殺する必要があります。
確定申告の実務
年間の利益額(または損失額)を確認するために損益計算を行う。初めての方は「損益の計算方法」と聞くと難しく感じるかもしれません。基本的な流れをご紹介します。
- 取引履歴の収集(過去からのすべての履歴) ※複数の取引所を利用している場合は、すべての履歴が必要です。
- 損益計算方法の選択 ※移動平均法か総平均法を選択します。
- 確定申告書の作成・提出 ※2024年度の所得税の確定申告の期間は2025年2月17日(月)〜3月17日(月)。
確定申告までの流れ
心配な方は、税理士監修による詳しい解説や、具体的な計算例をご確認ください。また、損益計算ソフトを利用することで、複雑な計算も効率的に行えます。
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税金に関してよくある質問
仮想通貨の税務に関する情報は日々更新されており、特に新しい取引形態については不明点が多く、多くの投資家が不安を感じています。ここでは、特に問い合わせの多い質問について解説します:
- ―Q. どのくらいの利益が出たら確定申告が必要ですか?
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回答
A. 年間の利益が20万円以上の場合に確定申告が必要となります。ただし、課税対象となるのは売却や交換で確定した利益のみです。保有している仮想通貨の含み益は課税対象とはなりません。
- ―Q. 海外取引所での取引は申告しなくてもわからないのでしょうか?
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回答
A. 日本の居住者であれば、取引所の所在地に関係なく、すべての所得を日本の税制に従って申告する必要があります。近年、税務当局による調査が強化されており、海外取引所の利用履歴や、ウォレットへの資産移動も追跡可能です。無申告や過少申告が発覚した場合、重い加算税が課される可能性があります。
- ―Q. 確定申告を怠るとどうなる?
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回答
A. 無申告の場合、本来の税額に加えて最大50%の無申告加算税が課されます。さらに延滞税も発生し、悪質な場合は刑事罰の対象となることもあります。近年は取引所からの情報提供により、税務調査での発覚リスクが高まっています。不明点がある場合は、税理士に相談することをお勧めします。
- ―Q. ブロックチェーンゲームでトークンを獲得した場合、税金はかかりますか?
-
回答
A.ゲーム内通貨を市場価格のあるトークンに交換した時点で課税対象となります。プレイ報酬として得たトークンも、受取時点の時価で収入として計上が必要です。
- ―Q. NFTの売買益は仮想通貨と同じ扱いになりますか?
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回答
A. 所持しているNFTをマーケットプレイスで第三者に売却した際には、基本的に「譲渡所得」として課税され、損失は譲渡所得内でのみ相殺可能です。ただし、頻繁な売買の場合は「事業所得」や「雑所得」となる場合があります。
- ―Q. IEOで取得したトークンの税金は売却時だけですか?
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回答
A. IEOで購入したトークンを売却したとき、取引で生じた所得額が20万円を超えた場合、確定申告を行う必要があります。この所得額とは、利益から必要経費を差し引いた額です。