CoinPostで今最も読まれています

赤十字社、「現地仮想通貨」でコミュニティの経済活動を支援

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

赤十字社のブロックチェーン動き

ケニアの貧困地域経済振興のため、ノルウェー、デンマークおよびケニアの赤十字社は、ブロックチェーン技術を利用した新たな信用取引システムの開発に着手している。ロイター財団ニュースが報じた。

貧しい農村や貧民街の住民が経済活動を行う上で直面している問題の一つに、モノやサービスを円滑に取引するための現金不足と信用取引を支える合理的なシステムの欠如がある。

 

農産物から労働力まで、商品やサービスを提供する売り手には事欠かない一方、その購入のために十分な現金を持っている買い手が少ないため、生産性の向上には結びつかず、経済活動が活発化しないという。

また、物々交換にしても取引を効率よく記録保存する方法がなく、貯蓄や借金に関しても、依然として紙片に記録したものをただ単に鍵のかかる箱に保管しておく程度だとのこと。

赤十字社が今後2年間にわたって展開するこのプロジェクトは、ブロックチェーンベースの「現地仮想通貨」として流通する信用取引システムを、このようなコミュニティに提供することで、現金不足から生じる問題を解消し、地域経済を活性化しようとする試みだ。

赤十字社は毎年、現金もしくはバウチャーという形で災害救援または経済振興の対象となるコミュニティに、年間10億ドル(約1090億円)の支援金を拠出しているが、ブロックチェーンを利用したシステムに置き換えていくことによって支援金を配布する方法の改善も目指している。

ブロックチェーンで新たな「信用経済」を創造

この新しい「信用取引」システムでは、労働力・サービスの提供や商品販売の対価として、ブロックチェーンに記録されたデジタルクレジットである「現地通貨」が、スマートフォンアプリを介してユーザーに支払われる仕組みとなっている。

 

そしてこの「現地通貨」は、ユーザーがコミュニティ内で商品やサービスの支払いに使うことができる。

赤十字のブロックチェーンプロジェクトは、すでにケニアとエチオピアの一部で試験運用済みだが、「現地通貨」として使えるクレジットはユーザーの居住する地域内での取引に何度も使用され、貧困に苦しむ地域の経済活性化に大きく貢献しているという。

このシステムはケニアで成功を収めたモバイル送金サービスM-Pesaと類似しているが、法定通貨を介さずに取引ができる点が強みだとデンマーク赤十字社のAdam Bornstein氏は述べている。

まずはケニア国内で支援を拡大していくが、今後2年間の間に、マラウィ、ジンバブエ、カメルーン、ミャンマーそしてパプアニューギニアへとプロジェクトを展開していく計画で、32万人のユーザーへの支援を目指しているという。

貧困コミュニティの自給自足による自立を促す支援

赤十字社の同プロジェクトをはじめとする地域通貨の開発を行うGrassroots Economics財団創設者のWill Ruddick氏は、ブロックチェーンベースの交換システムは、世界中で開発支援や災害復興援助の方向性を変革する可能性を持っていると述べている。

ブロックチェーンを使用することで透明性が向上し、またほぼリアルタイムで援助がどのように活用されているかを把握することもできるため、必要に応じて援助内容の調整を行うことも可能だ。

また、貧困に苦しむコミュニティにおいて経済が拡大することは、若者の雇用を創出したり、教師の流出を防ぐなど様々な恩恵が期待できる。

またコミュニティに留まった教師が、家賃や生活費に地域通貨を使用することで「回復力のあるサイクル」が作り出されるが、このような価値の循環ループは、経済の重要な基盤であるとRuddick氏は述べ、次のように忠告している。

このようなループがない場合、コミュニティが築き上げられないため、赤十字社は結局3年ごと慢性的な支援を行うことになってしまう。

貧困地域の経済的自立を促す赤十字社のブロックチェーンプロジェクトの今後に期待したい。

参考:ロイター報道

CoinPostの注目記事

仮想通貨個人退職口座の米Bitcoin IRA、事業規模で1000億円を視野 「市場の未来に楽観的」
仮想通貨の年金積立サービスを提供する米Bitcoin IRAの最高執行責任者が、仮想通貨市場の未来を楽観的に見ていると発言。同社の取引規模も10億ドル(約1090億円)に達すると語り、その根拠を明示した。
仮想通貨市場に影響を及ぼす「重要ファンダ」一覧表|ビットコイン、リップルなど【3/7更新】
ビットコイン(BTC)やリップル(XRP)など、仮想通貨市場に影響を与え得る重要ファンダ一覧はこちら。あらかじめイベントをチェックしておくことで、トレードの投資判断に役立てることができる。
CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
05/18 土曜日
21:00
Clearpool Prime、アバランチでデビュー RWA対応のプライベート・クレジット市場
Clearpool Primeがアバランチでローンチし、RWA分野に新たな進展。機関投資家向けに安全かつ効率的な取引環境を提供するプライベート・クレジット市場。
17:20
バイナンス上場銘柄の80%が価値低下、ミームコインは異例の上昇 過去6か月の分析
31トークン分析が示す課題 暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンス(グローバル版)で、過去6か月に新規上場したトークンの80%以上が、その後に価値を落としていることがわかった。ミ…
13:00
米国のビットコイン現物ETFへの5月の流入額、4月の流出上回る
ブルームバーグのETFアナリストは、5月に入ってからの米国ビットコイン現物ETFへの流入は、4月の流出を埋め合わせたと指摘した。
11:10
米下院、SECの仮想通貨規制役割明確化の「FIT21法案」を採決へ
米国下院は、仮想通貨に対する規制を明確化し、CFTCに追加権限を与える「21世紀のための金融イノベーション・テクノロジー法」の採決を行う。
10:15
米コインベース、「来週イーサリアム現物ETF承認確率は30~40%」
米仮想通貨取引所コインベースはイーサリアムの今後を予測するレポートを発表した。ETH現物ETFが承認される時期などについて分析している。
08:50
仮想通貨取引所クラーケン、欧州でUSDT非対応を検討
テザーCEOは最近、MiCA規制を批判し、仮想通貨USDTで規制を受けるつもりはないと述べた。この姿勢が、欧州で事業を行っているクラーケンが、それらの通貨ペアの提供を停止する理由と見られる。
08:00
「仮想通貨上昇の鍵はマクロ経済」コインベース分析
仮想通貨相場上昇の鍵は今もマクロ経済であるとコインベースは分析。他にも、イーサリアム現物ETFの審査など規制動向も注視すべきだとした。
07:10
ソラナ価格、月末までに200ドル復帰か ヘッジファンド創設者が予測
仮想通貨ソラナの今後の価格について、ヘッジファンドSyncracy Capitalの創設者は強気な予測を示した。その根拠とは?
06:10
zkSyncエアドロップ期待再燃、分散化加速のアップグレードを実施予定
zkSyncは未だ独自の仮想通貨をリリースしていないが、主要zkロールアップであるライバルのStarkNetは2月にエアドロップを実施した。
05/17 金曜日
17:34
東京ビッグサイトで第5回ブロックチェーンEXPO【春】開催へ 無料申し込み募集開始
東京ビッグサイトで、日本最大級のブロックチェーン専門展である第5回ブロックチェーンEXPO【春】が開催されます。最新の研究からアプリケーションまで、ブロックチェーン技術のすべてが一堂に出展するイベントは必見です。
13:00
ワールドコイン、秘匿化技術で生体認証データの保護・オープンソース化を発表
暗号資産(仮想通貨)でベーシックインカム実現を目指す、ワールドコイン・ファンデーションが生体認証データ保護にSMPC技術を導入。そのシステムをオープンソース化した。セキュリティとプライバシーを強化するとともに、システムの普及拡大を目指す。
12:32
短期トレンド変化のビットコイン続伸なるか、ミームコインが牽引する場面も
CPI発表で急反発を見せた暗号資産(仮想通貨)相場ではビットコイン(BTC)が下降チャネルをブレイクアウトした。16日には賛否両論渦巻くミームコインが相場を牽引する場面も。
12:00
世界最大の証券清算機関DTCC、チェーンリンク活用した「Smart NAV」を実験
世界最大の証券清算・保管機関DTCCは、チェーンリンクを活用した「Smart NAV」の実証実験を行った。JPモルガンなど金融大手10社が参加している。
11:10
Slash Fintech、暗号資産決済でVプリカ販売サービス開始 NFT特典も実施中
Slash FintechがVプリカ販売サービスを開始。暗号資産(仮想通貨)決済でVプリカ購入可能。特典としてSlash Genesis NFTをプレゼント。利用方法から使い方まで解説。
10:00
ブラックロックのビットコインETF、アナリストが高評価
ブラックロックの仮想通貨ビットコインETFの購入者数は記録的な数字であると、ブルームバーグのシニアアナリストが高評価。レポートが提出され、ビットコインETFのパフォーマンスを分析した。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア