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ETH2.0移行後は消費電力が99%削減か=イーサリアム財団の調査

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

イーサリアムの消費電力削減に期待

暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)のコア開発に携わるイーサリアム財団は18日、PoS(プルーフ・オブ・ステーク)移行後の消費電力を予測するレポートを公開。ETH2.0のPoSコンセンサスへの移行後は、消費電力が現在の99.95%以下になるという概算を披露した。

イーサリアム財団(EF)は仮想通貨イーサリアムの開発者コミュニティを支援する団体。分散型コミュニティであるイーサリアムの開発者をサポートするほか、4月には途上国のチェンジメーカーを支援する「EFフェロー」プログラムを開始。イーサリアムを使った国際慈善活動も行っている。

今回は、EFの研究開発部門のCarl Beekhuizen氏が今後のイーサリアムの消費電力に関する試算データを発表。現在、PoWを採用するイーサリアムは、米国の一般家庭2,100世帯分の消費電力に相当する2.62MWのエネルギーを消耗するとの結果が出たが、PoS(プルーフ・オブ・ステーク)移行後は2,000分の1の水準になるとの見積もりが出た。

研究調査の詳細

なお、調査を担当したBeekhuizen氏によれば、今回の調査は正確なデータに基づいたものではないため、あくまで大まかな見積もりであると説明した。

執筆時点では、バリデーター数は140,592、ユニークアドレス数は16,405。しかし多くのステーカーは複数のETHアドレスを持つため、デポジットを行ったユニークアドレスをサーバーの数として採用した。

ここから取引所やステーキングサービス関連のアドレスを排除すると87,897。これが自宅でステーキングを行う「ホームステーカー」と仮定。平均すると1人のステーカーがバリデーターを5.4台運用していることとなる。

また、Beekhuizen氏は自身のセットアップを基に消費電力が15ワットと仮定。最適化すれば5ワットにできる開発者も一部ではいるが、一般的なステーカーにはこのような設定をする運用は難しいため、1人あたり5.5台のバリデーターを運用した場合、合計消費電力は100Wになると想定した。

その結果、ホームステーカー群による消費電力は1.64メガワットになるとの結果が判明した。カストディアル系のステーカーは何千ものバリデータを運用するため、実際の消費電力の測定は難しいものの、5.5バリデータ辺り100Wと仮定した場合、PoSに移行した際のイーサリアム・ネットワーク全体での消費電力は2.62メガワットになると試算結果が出た。

ただ、カストディアル系のステーカーの消費電力は実際には想定以下の消費電力である可能性が高いため、見積もりは実際より多い可能性もあると説明した。

現在のETHやBTCとの比較

現在、イーサリアムはコンセンサスアルゴリズムとして、ASICやGPUマイニングを要するPoW(プルーフ・オブ・ワーク)を採用しているため、年間消費電力は中規模の国に相当する。

最先端技術の課題をデータから追うDigiconomistの統計によれば、PoWを採用するイーサリアムの年間消費電力は香港やイラクを上回る53位。(ビットコインは30位)

しかしPoS移行後は消費電力が現在の2,000分の1以下になるため、比較すると以下のような差が伺える。

出典:Digiconomist

また現在のビットコイン、PoWのイーサリアムとPoSのイーサリアムの1トランザクション辺りの消費電力を現実世界の建築物と比較すると、スケールの変化が見られる。ビットコインの消費電力はドバイにある世界一の建造物にブルジュ・ハリファに相当、現在のイーサリアムはイタリアのピザの斜塔に相当すると形容される。

ETH2.0移行後は消費電力が現在の2,000分の1以下になるため、PoSのイーサリアムはネジの高さに相当する電力を活用するとのデータを披露した。

出典:Ethereum Foundation

ただプルーフ・オブ・ワーク(PoW)下では、消費電力はネットワークの堅牢性に関わるとマイニングの必要性を擁護。悪意あるハッカーからネットワークを守るためには、文字通り「ワーク」する必要があるため、ハッシュレートが効率化・増加し、消費電力が増加する点は致し方ない部分もあると指摘した。

背景

界隈では、マイニングによる消費電力や二酸化炭素排出量など、仮想通貨の環境負荷を懸念する動きや悪影響を懸念する声が強まっている。

最近では、テスラ社がマイニングにおける「高まる化石燃料の使用」を背景に、ビットコイン決済の中止を発表。仮想通貨市場に大きな波紋を呼んだ。

ビットコインのマイニング拠点として大きなシェアを占める中国では、石炭を利用した火力発電をマイニングに行う拠点もあり、仮想通貨の環境負荷を懸念する層から論点として用いられる。

一方で、業界内では、このような化石燃料などの利用から、再生可能エネルギーなど、クリーンなエネルギーの利用に移行しようとする動きも強まる。4月にはブロックチェーン業界としてエネルギー問題に取り組む「Crypto Climate Accord(クリプト気候協定)」が発足した。

また、米決済大手のスクエア社は20年12月、2030年までに二酸化炭素の排出を実質ゼロにする計画を発表した際、「Bitcoin Clean Energy Investment Initiative」の設立を発表。ビットコインのエコシステムで環境問題に取り組む企業の支援を表明した。

スクエア社は4月にもビットコインと再生可能エネルギーの親和性を唱えるレポートを公開しており、「今日のエネルギー資産家は明日のビットコインマイナーとなり得る」と前向きな姿勢を示していた。

関連:米スクエア社、ビットコインとクリーンエネルギーの親和性を唱える調査レポート公開

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