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X(旧ツイッター)と連動するソーシャルFi「friend.tech(フレンドテック)」、魅力とリスクを分析

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

friend.techがトップdAppsに

ソーシャルファイ(Socialfi)分野の分散型アプリ「friend.tech」で、過去24時間に発生した手数料が170万ドル(2.5億円)を計上(8月22日時点)。分散型取引所「Uniswap」やリキッドステーキング「Lido」を超えるトップdApps(分散型アプリ)となっています。

friend.techは、先日メインネットを公開したレイヤー2ネットワーク「Base」を基盤に、8月10日に招待制ベータテストを開始しました。ツイッター(X)のアカウントと同期することで利用可能。独自のソーシャルトークン「Keys」(旧称:Shares)を発行したり、他者のKeysをアプリ内で売買できます。

新規ユーザーの流入ペースは18日以降さらに加速しています。friend.techは同日に、ユーザー向けに「ポイント」報酬の配布を開始。この取組みは、今後も毎週金曜日に継続されます。さらに、大手仮想通貨投資企業Paradigm(パラダイム)から投資を受けていたことが19日頃に明らかになり、プロジェクトに対する信用が増した可能性があります。

DefiLlamaのデータによれば、friend.techで生じた取引手数料は24時間で170万ドル(2.4億円)、累積では600万ドル(8.74億円)に達しました。この取引手数料は、プロトコルとKeys発行者及び購入者でシェアされます。

出典:DUNE

Dune Analyticsによると、Keysの合計トランザクション数は160万件以上。また、ユニークバイヤー数は88,000人以上で、Keys購入総額は約2万ETH、約3,384万ドル(50億円)に達しています。ユニークユーザー数は10万を超えるとの情報も確認されましたが、ツイッター(X)IDとウォレットアドレスが紐づくデータ構成を配慮して、現在は非公開となっています。

目次

  1. 基本概要
  2. 急成長の3つの要因
  3. Keysの価格算出モデル
  4. 著名人の参加
  5. friend.techの懸念事項
  6. 写真送信機能を実装
  7. アジアで拡大、Valuとの共通点

関連:コインベース支援のL2「Base」のユーザー数が10万人突破 friend.techが一因に

基本概要

friend.techで、ユーザーは自分のツイッター(X)上の影響力を「Keys」として表現し、それを売買することができます。紹介コードを受け取り、ツイッターのアカウントをリンクし、0.01ETHを自身のfriend.tech口座に入金してからfriend.techに参加します。これで、アプリ内で他者や自分のKeysの取引を始めることができます。

他者のKeysを保有すると、発行者の専用チャットルームに参加して、DM(ダイレクトメッセージ)を送信する機能が有効になります。また、発行者からKeys所有者へ、手数料報酬を分配する機能も確認されています。そのほか、メディアやその他多くの機能が間もなく展開されるという噂もありますが、チャットルーム内で様々な洞察や議論が展開されている状況です。

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急成長の3つの要因

基本的に、ユーザーがfriend.techに参加して、Keysに投資する動機として、以下の3点が挙げられます。

  • 1. ポイントの蓄積によるトークンのエアドロップ取得
  • 2. 取引手数料の分配
  • 3. ラッピングされたERC版トークンのDeFi運用

1. エアドロップ、将来トークン
エアドロップに関しては、独自トークンが配布されることは約束されていませんが、過去の例からトークン発行は既定路線と見られています。公式発表によると、6ヶ月で100,000,000ポイント付与が実施される予定です。

2. 取引手数料の分配
アプリ内のKeysの売買には、5%前後のスプレッド方式の手数料が発生します。発行済みの株式数が少ない段階では、スプレッド(手数料率)はより高くなるよう設計されています。データソースを見ると、これらの手数料はKeys保有者とfriend.techで折半されている模様です。

より高い価格帯でより多くの売買が行われると、収益は拡大します。プロジェクトが開始されて以来、ユーザーに支払われた報酬総額は300万ドル(4.37億円)に達しています。また、各インフルエンサーは、Keysの買い手とこれらの手数料を共有する設定を任意で選択できます。

3. ラップドKeysのDeFi運用
Keysトークンは本来、ERC20規格で発行された仮想通貨(トークン)ではないため、ブロックチェーン上で流通していません。しかし、Keysの残高をERC20規格の「ラップドトークン」に変換するスマートコントラクトが作成されています。

これにより、Keysを担保とする融資や、コミュニティのトークン・ゲート機能、流動性プール、ETF(ここでは、バスケット型投資商品)などのDeFi製品が構築可能になっています。現在、friend.techの「取引所」が作成されているとのこと。加えて、Friend.Tech自体の指数型永久先物「friend」がローンチされるなど、エコシステムが急ピッチで拡充しています。

Keysの価格算出モデル

Keysは、価格が急激に変動しやすい「ボンディングカーブ(価格とトークンの供給量の関係を定義した数学的な曲線)」が組み込まれています。販売価格は0から始まり、Keysの発行数が増えるに連れて価格は指数関数的に急上昇します。

具体例として、100人目のKeysバイヤーが支払う価格は0.625ETH、250人目は3.9ETH、そして500人目約15.6ETHとなります。初期のKeysバイヤーほど簡単に利益を享受できるため、新規ユーザーのKeysは、人物と関係なくアカウント開設直後から購入され始める傾向があります。

しかし、Keysの価格算出モデルはリスクも伴います。より多く売買されるほど手数料収入が増えるため、初期保有者や発行者が意図的に「FUD(Fear, Uncertainty, Doubt:不安や疑念を煽る情報)」や「HYPE(誇大宣伝)」を作りだすインセンティブが働く恐れがあります。

また、価格下落時にも指数関数的に値下がりするため、売りの連鎖(デススパイラル)が生じやすいため注意が必要です。売却時は、一定以上の期間をかけて段階的に処理する必要があるでしょう。

著名人の参加

friend.techが注目を集める要因の一つとして、著名人の参入があります。執筆時点に、Keysのトップ10ランキングを見ると、トップであるfriend.techの匿名開発者「Racer」のKeys単価は3.4 ETH(82万円)。ポッドキャストUp Onlyを主催するJordan Fish氏(通称「Cobie」)のソーシャルトークンは2.6ETH、匿名トレーダーHsaka Tradesは2ETHで取引されています。

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出典:friendmex

なお、米NBAスター選手のグレイソン・アレン氏や、e-sports組織「FaZe Clan」の共同創設者FaZe Banks氏など、仮想通貨業界外の著名人もアプリに参加し始めています。Banks氏のKeys価格はわずか2日間で0 ETHから2.8 ETH(68万円)まで急上昇しています。

friend.techの懸念事項

1. プロジェクトの情報が乏しい
friend.techの公式サイトは情報が不足しており、ロードマップや創設チームの経歴、ホワイトペーパーなど、プロジェクトの詳細情報が掲載されていない状況です。

friend.techの制作者の一人は、「Racer」として活動する匿名開発者であることがわかっていますが、この人物は以前注目を集めたTweetDAOやStealcam(後にfriend.techにリブランド)の製作者として知られています。どちらも現在はプロジェクトが事実上停止状態にあり、TweetDAOの主要アカウントや関連サイトに至っては非公開になっている状態です。

データの取り扱いにも懸念点が見受けられます。プライバシーポリシーへのリンクはサイトに存在していますが、クリックすると「近日公開」とのみ表示され、詳細内容の確認ができません。

またツイッター(X)と入金アドレスが紐づいてしまうため、一部の有識者は、匿名のEメールアドレスや新しいウォレットを使用するよう推奨しています。

なお、サインアップ時には、ユーザーは自身の投稿やアカウント、保護されたアカウントを含む、すべての情報をfriend.techに公開する許可を与えます。また、friend.techはユーザーのアカウントを操作して、投稿や再投稿を行う権限も得ます。

これにより、悪意のある第三者や不正行為者がプラットフォームを乗っ取った場合、詐欺的な投稿や誤解を招く情報の拡散などのリスクが考えられます。ただし、現状では、ユーザーは登録後、これらの権限をリセットすることが可能です。

2. 規制上のリスク

friend.techが米SEC(証券取引員会)の規制に抵触する可能性があるとの議論も巻き起こっています。仮に、Keysが米証券法における未登録証券として指定されることになれば、Keys価格にネガティブな影響を及ぼす恐れがあります。

海外の仮想通貨メディアBlockworksに対して、ミッチェル・シルバーバーグ・アンド・クナップ法律事務所のパートナーであるマーク・ヒライデ氏は、Keysが当初「株式(Shares)」という名称であったことが、単なるチャットルームへの入場パスではなく、投資家にキャピタルゲインの期待感を感じさせる可能性があると指摘しています。

また、このプラットフォームの取引には5%の手数料が購入時と売却時の計2回徴収され、その一部はFriend.techの財務へ、もう一部はKeys保有者へと分配されます。このモデルは、公開企業の株主が配当を受け取るように、インフルエンサーも購入者と手数料を共有するオプションを選択できる点で、証券市場に類似していると専門家から指摘されています。

写真送信機能を実装

Friendtechは25日、キー所有者への写真送信機能を新たに実装したと発表。この新機能の導入を受け、購読型サービスOnlyFansからのクリエイター、特にセクシー女優の移行が顕著になっている。

Duneの最新データによると、この写真投稿機能導入の24時間後、Friendtechの収益は18万ドルから82万ドルに急増。この結果は新機能の影響力を示すものとなっている。

OnlyFansはイギリスを拠点とし、露骨な性的コンテンツのクリエイター向けにサービスを提供するプラットフォームとして知られる。親会社Fenix Internationalの2022年11月30日時点の申告によれば、その年のユーザー総支出額は55.5億ドルに上り、クリエイターへの支払いは約45億ドルにのぼった。同月時点での登録クリエイターは318万人、ユーザー数は2億3880万人を記録している。

現在、OnlyFansのクリエイターたちが、Friendtechのトップアカウントリストに名を連ねている。特に、ポルノ女優のアカウントが目立ち、OnlyFansクリエイター4人がFriendtechのトップ50にランクインしている。

例として、13位のJenfoxxUwUは78人のユーザーからキーを購入されており、現在の取引価格は0.9 ETH(約22万円)。OnlyFansにおける彼女の月額料金は通常15ドルだが、キャンペーン価格として3.75ドルに設定されている。

アジアで拡大、Valuとの共通点‐9/20追記

friend.techのシステムは、2017-18年に日本で一世を風靡した「VALU」というプラットフォームと多くの点で類似しています。VALUでは、個人の魅力や実績に基づいて価格が変動する仮想通貨「VA」を導入していました。(なお、規制の強化に対応できずVALUは2020年にサービスを終了しました)。

両プラットフォームに共通するのは、個人の影響力や価値を仮想通貨として表現し、取引可能とする点です。VALUの場合、支持者やファンがビットコインでその価値を購入するため、発行者の人気や実績により、VA価格は株価のように日々上下動します。

しかし、VALUにおいては、VAの価格が不当に操作されて高騰した後、予期せず大量に売却される「投げ売り」が発生し、その結果として多数のユーザーが資金を失う事態が繰り返し報告されました。価格を操作する行為やインサイダー取引、さらには風説を流布するような行為が、投資家の利益や資産を保護するための明確な規制や仕組みが欠けているために容易に行われ、大きな課題として指摘されました。

加えて、friend.techとVALUの両サービスに共通する問題として、発行者からの特定のサービス提供が保証されていない点が挙げられます。通常のDeFiガバナンストークンのように、トークンホルダーに対して議決権を付与したり、株式投資における配当、DeFi運用のような利点を提供する仕組みが存在しないのです。現状、friend.techの「Key」の価格は、新規ユーザーの増加とともに増大するETHの流入によって、その価値が保たれていると言えるでしょう。

最近のトレンドとして、9月中旬にシンガポールで行われた「Token2049」という大規模なカンファレンスで、多くのVC関係者がfriend.techを「Web3の新しいユーザー獲得の成功例」として評価。さらに、韓国最大級のWeb3 VC・コミュニティを運営する「MGM」が、Friend.techのアカウントを開設したことを発表するなど、アジア地域でその注目度が急上昇しています。

新規流入ETH推移 出典:@cryptokoryo
/ Friend.Tech

足元では、9月9日以降、毎日7000ETH(約17億円)前後の新規資金が流入しており、勢いを維持しています。friend.techのプロトコル収益は、dAppsランキングにおいてLido(リキッドステーキング)に次ぐ2位となっており、歴戦のDeFi(分散型金融)プロダクトを凌いでいる状況です。

プロトコルフィー(収益)推移 出典:DeFillama

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