イーサリアム強気相場に5つの背景、高騰続くビットコインは一時2万8千ドルに

仮想通貨市場とBTC(ビットコイン)

週明け28日の暗号資産(仮想通貨)市場。BTC価格は、前日比3.6%高の281万円(27,100ドル)に。 ビットコイン(BTC)価格は前週末にかけて高騰。28,300ドル台を付けるも、25,770ドルまで急落するなど乱高下した。

テクニカル的な目先天井を示唆したことから、明け方にかけて反発を伴いながら大幅続落するなど調整局面にも思われたが、日足・週足の確定する午前9時を境に再び買い優勢となるなどボラタイルな相場が続いている。このまま薄商いの年末年始に突入し、調整局面が長引く可能性もあるため注意したい。

イーサリアム高騰の背景

XRPを開発する米リップルが提訴されたことを受け、BTC(ビットコイン)とETH(イーサリアム)への資金集中傾向も見受けられた。

イーサリアムの高騰の背景としては、主に5つの理由が挙げられる。

  1. SECの動向
  2. CMEイーサリアム先物
  3. グレースケール投資信託
  4. 次世代チェーンの好材料とDeFi需要
  5. 良化する需給面とテクニカル

1. SECの動向

米証券取引委員会(SEC)は22日、「証券法違反」で米リップル、及びGarlinghouse CEO、共同創設者のChris Larsen氏を提訴した。これを受け、米リップルが開発する時価総額上位の暗号資産(仮想通貨)XRPが暴落するなど、大きな波紋を呼んでいる。

Palley弁護士によれば、主な争点は、XRPの販売方法と「中央集権性」と、XRPによる資金調達(販売)方法である。

SECは、XRPを「未登録有価証券」と定義し、投資家に重要な情報開示を行わなわず、数百億円に及ぶ多額の利益を得ていたと指摘した。

SECの提訴により、XRP相場の不確実性は一気に高まり、すでに一部取引所では、XRPの上場廃止や取引サービスの停止がアナウンスされた。米コインベースなど大手取引所に波及するおそれもあることから、有識者らは、XRPを使った送金ソリューション「On-Demand Liquidity(ODL)」利用など、市場流動性への悪影響を注視している。

詳細:リップル訴訟まとめ──仮想通貨XRPへの影響・弁護士の見解

SECはかねてより、デジタル資産の性質(権利、提供・販売方法)によっては、米国連邦証券法に基づく証券の定義に該当する場合があるとの姿勢を一貫してきた。FinHubは、「米国連邦証券法」の遵守に関する取り組みの一環として、デジタル資産が投資契約として提供および販売されているかどうかを分析するためのフレームワークを公開している。

このフレームワークなどに基づいた判断にて、SECはビットコインは「有価証券」に該当しないと明言している。

なお、「ICO(イニシャル・コイン・オファリング)」による市場からの資金調達を検討する場合、または暗号資産の販売・配布に従事する場合、米国連邦証券法が適用されるかどうかを検討する必要があり、ここでの閾値は、デジタル資産がこれらの法律の下で「証券性」の定義を満たすかどうかにある。

一方、米証券取引委員会(SEC)は18年、イーサリアムについて「分散化したネットワークを持つ仮想通貨は、”有価証券”には該当しない」との判断を下しており、米商品先物取引委員会(CFTC)は、19年に開催された国際カンファレンスで、「イーサリアムは、コモディティにが該当する」との見解を示している。

Ripple社が提訴された件は、類似した性格を有する他のアルトコインにも波及するおそれが否めない。

その点において、ビットコイン、及びイーサリアムはすでにSECから”お墨付き”を得ていることになるため、一層資金が集中する可能性が高い。

2. CMEのイーサリアム先物

米商品先物取引委員会(CFTC)の認可を得ることができれば、米最大手デリバティブのシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)にて、イーサリアム先物取引が、21年2月8日より開始される。

CMEは、2017年12月よりビットコインの先物取引を開始しており、先物取引の建玉は10億ドルを超えるほど市場規模が拡大している。CMEは、複数のスポット市場の合計価格でインデックス価格を算出する「価格設定方法」を導入することによって、投資家のリスク軽減にも努めている。

規制当局の認可を受けたETH先物上場は、金融商品としてイーサリアムの信頼性を引き上げるとともに、現物投資におけるエクスポージャーをヘッジするための需要が見込まれており、主に機関投資家からの”高い需要”を示唆する。一方、CMEでETHショート(売りポジション)の選択が新たに生じることで、必ずしもポジティブな側面だけとは限らない。

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3. グレースケールの投資信託

デジタル通貨を主な投資事業とするDigital Currency Groupの子会社である米グレイスケールは今年10月、主力商品のビットコイントラスト(GBTC)に続く金融商品として、イーサリアムトラスト(ETHE)がSEC(米証券取引委員会)の報告会社「Reporting Company」に登録されたことを発表した。

財務状況の監査結果などSECへの報告が義務づけられることから、金融商品としての信頼性向上が機関投資家の呼び水となることが期待されており、イーサリアム高騰の追い風となっている。

グレースケールが公開する運用資産データによれば、6月5日時点でイーサリアムトラスト(ETHE)は約3.4億ドルだったが、ビットコインが史上最高値付近の19,500ドルまで上昇した11月25日時点では、約15億ドルと5倍規模まで膨らむなど大口の資金流入が確認出来る。

GrayScale

グレイスケールのデジタル資産は、米大手コインベース・カストディが管理・保管しており、ビットコイントラスト(GBTC)などの投資信託は、さまざまな理由から、暗号資産を直接保有できない機関投資家の需要を満たす窓口として機能する。

4. 好材料と市場の思惑

イーサリアムは、2.0は、通貨のコンセンサスアルゴリズムが「PoW」から「PoS」へ移行するほか、DeFi(分散型金融)市場が急拡大する中で必要なネットワークの処理速度(=スケーラビリティ問題)を大幅改善するための重要なアップデートであり、dApps(分散型アプリケーション)市場などエコシステム(経済圏)の発展にも大きな影響を及ぼす。

このようなユースケース及び実需につながる好材料が21年以降にかけて控えていることから、中・長期保有を見据えたポートフォリオ組成に発展しやすいものと考えられる。

  • フェーズ0:2020年(バリデータを管理する「ビーコンチェーン/Beacon Chain」実装)
  • フェーズ1:2021年(ユーザーが利用する「シャードチェーン」実装)
  • フェーズ1.5:2021年(シャードチェーン・メインネット稼働、PoS移行)
  • フェーズ2:2021年〜(シャードチェーンの全稼働)
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5. 需給面とテクニカル分析

そのほか、価格に影響する重要な要素のひとつに需要と供給のバランスが挙げられる。

ビットコインは、今年5月の「半減期」を経て採掘するマイナーによる供給が細るなか、新型コロナ対策の大規模金融緩和の影響により、米ドルのインフレヘッジを目的とした機関投資家の資金流入が価格高騰を促した。

一方、イーサリアム市場の需給も良化している。

ビーコンチェーンの稼働及び、「ステーキング」需要ですでに約200万ETH(1400億円相当)がロックアップされており、預け入れられたETH数は増加の一途をたどる。32ETH(約200万円)をデポジットコントラクトに預け入れステーキングすることで、株の配当利回りを彷彿とさせるバリデータ報酬を得られるためだ。

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しかしながら、ビットコインが17年末の過去最高値を大幅に更新するなか、イーサリアムの過去最高値は18年1月に記録した1,420ドル(約15万円)」となっており、現在の700ドル(72,500円)は半値戻し水準に留まる。

ETH/USD週足(コインベース)

イーサリアムの年初来最安値は、今年3月のコロナ・ショック時で90ドル(9,300円)だったが、次世代チェーン2.0のローンチや今夏のDeFi(分散型金融)相場もイーサリアム需要を強く喚起し、ビットコインを上回るパフォーマンスをみせてきた。

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過熱感のあるビットコインがさらに反落するなど調整局面入りすれば、比較的相関性の高い銘柄として巻き込まれる可能性もあるが、このまま続伸した場合、800ドル(83,000円)の上値抵抗線が意識されることになりそうだ。

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