CoinPostで今最も読まれています

イーサリアム大型アップグレード「Shapella」完了、仮想通貨相場には大きな変動見られず

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

マクロ経済と金融市場

12日の米NY株式市場では、ダウ平均株価は前日比38ドル(0.1%)安、ナスダック指数は102ポイント(0.8%)安で取引を終えた。

3月の米消費者物価指数(CPI)は、市場予想の5.1%を僅かに下回ったことで買い戻しを誘ったが、一方で変動の大きなエネルギーと食品を除くコア指数は市場予想通りの前年同月比5.6%上昇と高止まりした。

その後発表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、参加者の多くがターミナルレート(最終金利到達点)の見通しを引き下げた一方、FOMC前相次いだ米国の銀行破綻を念頭に、金融不安および景気後退リスクへの警戒感を滲ませた。

関連:米国株反落 米3月CPIやFOMC議事要旨に反応|13日金融短観

関連:仮想通貨投資家にもオススメの株式投資、日米の代表的な仮想通貨銘柄「10選」

仮想通貨市況

暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比0.4%高の30,146ドルに。

BTC/USD日足

厚めのレジスタンスライン(上値抵抗線)に差し掛かり売り圧力が強まることも想定されるが、上抜ければ2021年の強気相場のレンジへ移行することから、中・長期的な強気トレンド転換も視野に入る。

上海アップグレード完了

イーサリアム(ETH)のメジャーアップグレード「上海(Shapella:Shanghai+Capella)」が、予定通り日本時間7時半頃にハードフォークを通じて実装された。2022年のThe Merge(ザ・マージ)以来の大型アップグレードとなる。

改善提案「Ethereum Improvement Proposal(EIP)4895」の実装により、ステーカーおよびバリデーターのステーキング預金および報酬の引き出しが数年越しに可能となった。20年12月にイーサリアム(ETH)のステーキング機能が導入されて以来初。

関連:イーサリアム「シャペラ(Shapella)」、メインネット実装完了

イーサリアム・エクスプローラー「beaconcha.in」によると、アップグレード完了後の30分間で5400ETH(1000万ドル相当)の出金申請が処理された。引き出し方法は、これまでロックされていた累積分のステーキング報酬のみを引き出す「部分出金」と、バリデーターを解除して32ETHの預入金ごと引き出す「完全出金」の2種類存在する。

Glassnodeの分析によれば、これまでにステーキングされた累計1,800万ETH内、上海のアップグレード後の1週間で実際に流動化するのは、1%未満の推定170,000ETHの売却に留まる。

これまでのステーキングの累積報酬額の内、約10万ETH(250億円相当)のみが引き出され売り圧力になると予測するものの、引き出し制限により1日あたりのアンステーク量は限られている。

ステーキング解除のリクエスト処理にかかる時間は、イーサリアム・プロトコルによって決定されるため、混雑している場合は申請から数週間〜最大数ヶ月程度のタイムラグが生じる場合がある。

即時の流動性を求めるニーズに対応するため、コインベースの場合はコインベースアプリでステークされたETH(ETH2)をcbETHにラップすることで、DeFi(分散型金融)運用することもできる。

Glassnodeは、1週間で累計報酬合計と引き出し可能な預入額の最大153万ETH(29億3000万ドル)が全て売却されるという最もネガティブなシナリオさえも、昨今の週平均出来高で吸収しきれる範疇との見方を示した。その場合は週平均出来高が2倍に上昇し、ETH価格が約8.7%下落する可能性があるものの、FTXショック時の相場変動幅より遥かに低いと試算している。

Glassnode

米SEC(証券取引委員会)の提訴、及びウェルズ通知発行を受け、米暗号資産(仮想通貨)取引所クラーケンやコインベースでは、米顧客向けのステーキングサービスの終了を余儀なくされており出金申請に向かうものと見られる。

関連:イーサリアム(ETH)ステーキング報酬の出金状況と今後の見通しは?

Blockworks Researchによると、イーサリアム(ETH)の時価総額は約2,300億ドル。1日の出来高は約43億ドルに達する。13日昼時点でイーサリアム(ETH)価格は前日比2.1%高となっており、ビットコイン(BTC)の0.4%高を上回っている。

現時点ではETH価格には大きな変動はなく、直近高値圏をキープしている。

ETH/USD日足

その他の銘柄では、FTXの取引所トークンであるFTTが前日比80%急騰した。

FTT/USD週足

昨年11月に経営破綻したFTXの債務整理を引き継いだ法務チームが、今年7月を目処に暗号資産(仮想通貨)取引所FTX再開を見込んだ事業再建計画を提出する見込みだと発表したことが背景にある。

FTXの破産弁護士であり新最高経営責任者(CEO)のジョン・レイ氏は今年1月、資産清算および事業売却を進める過程で、再開の可能性を検討するタスクフォースの立ち上げを明かしていた。

実現可否やリブランディングの有無は定かではなく、投機的な値動きに警鐘を鳴らす声もある。

関連:FTX、仮想通貨取引所再開を検討

過去に掲載したマーケットレポート一覧はこちら

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
05/07 火曜日
17:54
米決済大手Visa「ステーブルコイン取引高の約9割はbotによるもの」
決済大手Visaは、仮想通貨ステーブルコインについての記事を発表。ステーブルコイン取引活動の90%はボットなどによるものだと分析している。
14:32
米SEC、Invescoの「イーサリアム現物ETF」の可否判断を最終期日まで再延期
米国証券取引委員会は、InvescoとGalaxy Digitalが共同で申請した イーサリアム現物ETFの可否判断をさらに延期すると発表。次回の期限は7月5日で、これが最終期限となる。
14:22
米マラソンデジタル、ケニア政府とビットコインマイニングで協議
米上場ビットコインマイニング企業マラソン・デジタルは、ケニア政府と、仮想通貨政策やデーターセンター開発などで話し合っていると述べた。
12:30
前週末にかけてビットコイン大幅反発、ETFフローに好転の兆し
暗号資産(仮想通貨)相場は前週末にかけてビットコインが大幅反発し、暴落していたアルトコイン値を持ち直した。グレースケールGBTCへの資金流入など、ビットコイン(BTC)現物ETFのフローにも好転の兆しが見られる。
10:58
Bitwise幹部、コインベースの事業を分析
仮想通貨に非友好的な米国の規制環境をコインベースは利用できているとBitwise幹部が指摘。特に印象的であると感じる点を2つ説明した。
10:42
米SEC、証券法違反をロビンフッドに警告
米SECがロビンフッドにウェルズ通知を送付し、証券法違反を警告した。同社の仮想通貨事業を提訴する可能性が浮上したが、SECの対応を疑問視する声も上がっている。
05/06 月曜日
14:00
LayerZero、不正なエアドロップ受取を抑制へ
クロスチェーンプロトコルLayerZeroは、トークン配布の際の不正行為シビル・ファーミングを特定すると発表した。自己申告期間も設けている。
12:30
ビットコイン、累積トランザクション数が10億件に到達
仮想通貨ビットコインは、これまでの累積取引数が10億件を超えた。最近では現物ETF承認の他、Runesやオーディナルが取引数をけん引している。
12:00
不動産投資とは|種類や利点、運用方法を仮想通貨投資家向けに解説
仮想通貨投資で得た利益を別の投資先に分散したいと考える方も多いのではないでしょうか。この記事では、不動産投資の基本概要から応用的な投資手法までをご紹介します。
05/05 日曜日
19:00
ふるさと納税受入額が約1兆円に、最新人気自治体ランキングTOP10
自治体のPR活動や魅力的な返礼品の充実により、受入額と受入件数は増加し続けています。本記事では、「ふるさと納税の寄附額の推移」や「人気の自治体ランキングTOP10」「ビットコインを受け取る方法」の3つを解説しています。
16:00
ふるさと納税とは|投資利益に対する税金を軽減できる仕組みを解説
ふるさと納税とは、応援したい自治体の活性化や地域振興を促すことを目的として、その自治体に「寄附」をする制度です。寄附額から2,000円を差し引いた全額を、所得税や個人住民税から控除され、自治体が定めた返礼品を受け取れます。
12:00
Phantomウォレット使い方、ソラナを使ったポイ活(エアドロップ)の始め方・セキュリティ対策
この記事ではソラナの主要なPhantomウォレットで、暗号資産(仮想通貨)のポイ活(エアドロップ)の始め方。リスクと安全対策を解説します。新規ウォレットの作成方法から、詐欺の事例、セキュリティ対策までを網羅。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|個人マイナーのBTC採掘成功に高い関心
今週は、仮想通貨ビットコインについて、個人マイナーのブロック生成成功、米マイクロストラテジーの買い増し、ARKのキャシー・ウッドCEOによる価格予想に関するニュースが最も関心を集めた。
05/04 土曜日
19:00
「Web3.0 - 分散型テクノロジーの未来」Gavin Wood(ギャビン・ウッド)氏講演レポート
この記事では、Gavin Wood(ギャヴィン・ウッド)氏の「Web3.0 - 分散型テクノロジーの未来」東京大学とMbSC2030共済の講演をレポート。社会での「真実」と「信頼」の役割や分散型社会の構築についての洞察、CBDCや経済分散化の討論を紹介します。
16:00
FXの「スワップポイント」とは|概念や特徴、おすすめ運用方法も解説
スワップポイントとは、2カ国間の通貨の金利差によって発生する利益または損失のことを指します。ポジションを保有する日数に応じて毎日発生し、仮想通貨のパッシブインカムに似たインカムゲインを期待できます。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア