CoinPostで今最も読まれています

株式市場リスクオフでゴールド相場急伸、ビットコイン市場は買い優勢

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

マクロ経済と金融市場

20日の米NY株式市場では、ダウ平均株価は前日比250ドル(0.75%)安、ナスダック指数は128ポイント(0.96%)安で取引を終えた。

パウエルFRB議長の講演内容や米長期金利の上昇を受け、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めの高止まりを懸念する見方が強まったことが背景にある。

また、緊迫化する中東情勢の影響によってセンチメントをさらに悪化させており、リスク回避売りが先行しているようだ。

米主要株指数

関連:好決算でNetflix高騰、パウエル議長発言に株市場反応|20日金融短観

関連:仮想通貨投資家にもオススメの株式投資、日米の代表的な仮想通貨銘柄「10選」

仮想通貨市況

軟調な株式相場と比較して、安全資産とされる金(ゴールド)相場は買い優勢だ。1トロイオンス=1810ドルの安値から急速に切り返し、16日時点で1978ドルまで上昇した。

ドル建ての金価格 週足

暗号資産(仮想通貨)市場もビットコイン(BTC)は堅調に推移しており、20日にかけて前日比3.25%高の1BTC=29,215ドルまで値を戻した。

BTC/USD 週足

30,000〜31,000ドルのレジスタンスライン(上値抵抗線)では上値が重くなることが想定されるが、ブレイクできれば買い方が勢い付くか。

暗号資産(仮想通貨)市場の今後の見通しについては、来年4月頃に予定されるビットコイン半減期前後の見解で特に賛否が別れている。

モルガン・スタンレーのエグゼクティブ・ディレクターであるDenny Galindo氏は、24年4月頃に想定される次回半減期について、「現在のデータに基づくと、仮想通貨の冬は過ぎ去りつつあり、仮想通貨の春が来る可能性が高いことを示す兆候が見られる」との見解を示した。

同氏は、「農家が真冬に苗を植えることを避けるのと同様、仮想通貨投資家は投資効率を高めるため、次の春が訪れるのを待っている。」とし、過去の相場のデータを分析すると、歴史的にビットコインの底値は、ピーク時から12〜14ヶ月後に発生している。最高値からの平均ドローダウン(下落幅)は約83%に達するとした。

サイクルの谷に近づくと、多くのビットコインマイナーが降伏し、損失を理由に稼働停止する傾向にある。この影響でディフィカルティー(採掘難易度)が大きく低下した場合、谷底に近い可能性がある。

また、ビットコインにどれだけの資金が投資されたかを示すサーモキャップ倍率では、ビットコイン価格とサーモキャップ倍率が低いほど谷を示し、高い倍率はピークを示している。

なお、JPモルガンのアナリストは、グレースケールの裁判結果を受け、アーク・インベストの最終承認期日である24年1月10日よりも早く「ビットコイン現物上場投資信託(ETF)が承認される」との予想を示した。

最大手資産運用会社ブラックロックの申請する「iシェアーズ・ビットコイン・トラスト(iShares Bitcoin Trust)」の最終承認期日は24年3月15日であるが、その前の第三期限の1月15日までに動きが出る可能性も考えられる。

現物ビットコインETF(上場投資信託)申請の米国証券取引委員会(SEC)審査リスト。審査期間:連邦官報での公表から最大240日以内。出典:Bloomberg Intelligence(Federal Register)

関連:JPモルガン強気予測「ビットコインETFの承認は来年1月まで」 グレースケールやブラックロックに新たな動き

JPモルガンのアナリストらは、規制当局は同じタイミングでの一斉承認に踏み切るのではと予想しているが、承認されたとしても、すぐに暗号資産(仮想通貨)市場の“ゲームチェンジャー”になる可能性は低いと見ている。

一方、昨今のマクロ経済の状況から慎重な見方も少なくない。

ブルームバーグのアナリストであるマイク・マクグローン氏は、金融相場環境に巻き込まれかねないとして悲観的な見通しを示した。

「高金利とマネーサプライの減少により、株式やビットコインのようなリスク資産への意欲低下が懸念され、半減期が訪れても(一部の市場参加者が期待するような)ビットコインの上昇にはつながらない可能性がある」との認識を示した。

ファントム財団ディレクターのAndre Cronje氏もこれに同調。The Blockに対し、「不動産市場は減速し始めたばかりでありバブル崩壊はこれからだ。不況の波は本格的に始まっていない」との見解を示した。

前回のビットコイン半減期は20年5月に訪れたが、その2ヶ月前にはコロナ・ショックで1BTC=3,000ドル水準まで暴落していた。

その後のFRB(米連邦準備制度)の金融緩和政策が重なっていたこともあり、過剰流動性相場の恩恵を十分に享受した結果、同年12月にかけて1BTC=20,000ドルの過去最高値を更新した経緯がある。

アルトコイン相場

米SEC(証券取引委員会)がリップル社幹部2名への告訴取り下げ(告発棄却)に合意した。

SECは以前、証券法違反との認識を示す機関投資家向けのXRP直接販売を幇助したとして、リップル社のブラッドリー・ガーリングハウスCEOと元幹部クリスチャン・ラーセン氏を起訴した。

最高法務責任者であるStuart Alderoty氏は「これは和解ではなく、SECの降伏だ」と強気の見解を示した。

関連:米SECがリップル裁判でCEOらへの告発棄却 XRP急騰

これに先駆け今年7月、リップル社は個人投資家に向けた暗号資産(仮想通貨)取引所でのXRP間接販売は証券法違反にはあたらないとする判決にて、部分的な勝利を収めていた。

なお、ビットコイン投資ファンド「GBTC」のビットコイン現物ETF(上場投資信託)転換をSECに非承認されたことを巡り、グレイスケール・インベストメンツが起こした裁判でも、近日中に米SEC(証券取引委員会)の敗訴が確定する見通しだ。

SECは先週、異議申し立て期限までに控訴しない方針を固めていた。

関連:上場投資信託「ビットコインETF」とは|ブラックロックの申請が注目される理由

関連:1年を切った次回ビットコイン半減期へのカウントダウン、市場動向と専門家の予測は?

過去に掲載したマーケットレポート一覧はこちら

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
05/12 日曜日
11:24
来週のビットコイン相場はPPIとCPIに注目、ネガティブならチャネル下限試すシナリオも|bitbankアナリスト寄稿
GW明けのビットコイン(BTC)相場をbitbankのアナリスト長谷川氏が分析。ビットコインチャートを図解し、今後の展望を読み解く。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|トランプ前大統領の異例発言に高い関心
今週は、米フランクリン・テンプルトンによる仮想通貨ソラナのレポート発表、ビットコインの累積トランザクション数の10億件到達、ドナルド・トランプ氏による異例の発言に関する記事が最も関心を集めた。
05/11 土曜日
15:00
ビットコイン上のステーブルコイン発行計画 Taproot Assetsのテストが進行
Lightning LabsのCEOエリザベス・スターク氏が、暗号資産(仮想通貨)ビットコインのブロックチェーンにステーブルコインを導入する新技術「Taproot Assetsプロトコル」について解説。ライトニングネットワークを使った即時、低手数料の国際取引が可能に。
14:00
「Friend.TechなどでBaseがイーサリアムL2を主導」フランクリン・テンプルトン分析
フランクリン・テンプルトンは、仮想通貨ブロックチェーン「Base」がFriend.Techなどソーシャルファイに牽引され、今後も代表的なイーサリアムL2であり続けると予想した。
12:45
日本代表団、スイスのDFINITY本部を訪れる
平将明氏および加納裕三氏を含む日本の代表団がDFINITY本部を訪問。DFINITYが推進するInternet Computerは、高速で広範なブロックチェーンベースのプラットフォームで、スマートコントラクトとデータシャーディングにより、効率的なWeb3アプリの開発を可能にする。
11:20
米SEC、コインベースの仮抗告を却下するよう申し立て
米SECは仮想通貨取引所コインベースとの裁判で新たな書類を提出。コインベースが証券性をめぐり求める仮抗告を退けるべきだと申し立てている。
10:00
著名投資家マーク・キューバン氏、SECゲンスラー委員長を批判
著名投資家マーク・キューバン氏は米大統領選挙で仮想通貨も争点の一つになると意見した。また米SECのゲンスラー委員長に批判を向けた。
09:00
米大手銀ウェルズ・ファーゴ、複数のビットコイン現物ETF銘柄を保有
ウェルズ・ファーゴを含むいくつかの金融大手はビットコインETFが1月にデビューしたのち、それらの取り扱いを開始した経緯がある。
08:00
米ARK、イーサリアム現物ETFの申請からステーキング要素取り除く
現在、5月中に仮想通貨イーサリアムの現物ETFが承認される期待はすでに大幅に後退。専門家らはその可能性を2ヶ月前の約70%から25%に引き下げた。
07:30
J・ドーシー氏「2030年のBTC価格は100万ドル超へ」
2030年のBTC価格は100万ドル超まで上昇する可能性があると強気な見方を示すなど、ジャック・ドーシー氏が仮想通貨ビットコインの魅力を語った。同氏は以前からビットコインを支持している。
07:00
ソラナJupiter、モバイルアプリのリリース時期発表
モバイル版の最新情報のほか、Jupiterは第三回のLFG投票の予定についても情報を公開。来週あたりに新たなローンチパッド候補の仮想通貨プロジェクトを公開し、5月22日から投票を開始する。
05/10 金曜日
18:29
SBIとチリーズ、スポーツファントークンで提携
SBIデジタルアセットホールディングスとChilizが戦略的パートナーシップに関する基本合意を締結。日本で合弁会社を設立し、スポーツファンにファントークンを提供する。
18:26
L2 Blastチェーン基盤の分散型取引所「DTX」とは トレーダーの優位性を解説
暗号資産(仮想通貨)デリバティブトレーダーの間で関心の急増する分散型取引所「DTX」のメリットや優位性を解説。DTXはイーサリアム(ETH)レイヤー2のBlast(ブラスト)チェーン基盤であり、DTX Fuelによるエアドロップも示唆されている。
18:10
NTTドコモ、新会社設立でWeb3・AI事業など強化へ
株式会社NTTドコモは2024年7月に新会社「NTTドコモ・グローバル」を設立する計画を発表。NTT Digitalも傘下に集約し、Web3やAIを活用したグローバル事業を強化する。
14:48
バイナンス、大口顧客DWF Labsによる市場操作報道を否定
大手仮想通貨取引所バイナンス(グローバル版)は、ウォール・ストリート・ジャーナルが報道した、同社のVIP顧客DWF Labsによる市場操作と内部調査に関する疑惑を強く否定した。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア